「子ども会議」でメニューを決める料理教室
1.どうして子ども会議をしてメニューを決めるの?
料理教室を始めて20年、キッズ料理教室を7年にわたり行ってきました
ことしも えみさんとキッチンオーケストラ開催しています!
キッズの料理教室では、以前はメニューを決め、子どもたちと一緒に料理を作る形式を取っていました。
しかし、息子の留学を機に私自身が学んだ「languageArts(言語技術)」
子どもたちにぜひ「languageArts(言語技術)」を学びながらお料理ができる機会を作りたいと思い お料理教室のやり方を変更しました。
それが【子ども会議】をしてメニューを決める形です。
languageArts(言語技術)の学びを取り入れたいと思った理由は
自分の意見を伝える力
自分と違う意見を聞く力
違いを楽しみ、話し合いをする力
これらを育んでいきたいと強く思っているからです。
これらのスキルは、日本の教育や文化の中ではなかなか身につかないものだと思っています。日本では、相手の思いを汲む「思いやり」を重視する教育が主流です。日本の親は「思いやり」を持つ子どもに育てたいというのが 希望のNo1だというアンケート結果を本で読みました。
これはとても素晴らしいことで日本人の大事にしている文化です。
しかしこれだけでは、次世代の子どもたちがもし異文化の方々と仕事をしたりする機会が増えた時、「相手が意見を伝えて根拠を述べ、自分は意見を述べない」
相手のことを思いやることが一番と思っていたら・・・
大体が、「他人の決めたことに従う」という形になるのではないでしょうか?
「思いやり」は大事ですが、自分の意見を持たない、伝えないという行動になってしまっては、今後困難に直面する可能性が大きいのでは?と考えるようになりました。
子どもが、与えられたものを素直に受け入れ、懸命にすることはとても大切ですが、受動的な学びより、能動的な意欲がプラスされる学びの方が効率がいい!
そして自分の意見を伝えることや自分で選択することもとても大事だと思っています。
「食べたいメニュー 」「作りたいメニュー」を会議の中で伝えながら決める場では、自分の意見を伝え、相手の意見を聞く。違う意見を話し合いで決めていく。
会議で料理を作るメニューが決まったら、それを皆で作るという経験を通じ、子どもたちが持っている自己表現力や主体性を育てる。それが、将来的な国際的な活躍に備えることにつながるのではないかと考えています。
「食べたいもの」「作りたいもの」「誰かに食べて欲しいもの」などを 話し合って決めるという工程は、講師のこちら側としては材料はたくさん用意する必要するデメリットがあるのですが、(牛・豚・とり・ミンチ、ハム・ソーセージ プラントベース 季節の野菜など)それ以上に、子どもたちの表情は、与えられたメニューをこなす時よりも、イキイキしていて、能動的に感じています。
2.会議の方法、日本基準と世界基準は違う?
多数決とくじ引きが多い日本の学校と、意見をぶつけ合う欧米の学校の教育の違いには、文化的背景や社会的な価値観の違いが反映されていると思います。
主な違いを挙げてみますが、個々の学校や地域、それから個人の性格や家庭環境によっても異なりますので、一般的な傾向として理解してください。
■日本の学校(何かを決める際、多数決、くじ引きが多い)
集団主義と協調性に重きを置く 日本の教育は、集団主義や協調性を重視する傾向があります。多数決やくじ引きは、個人の意見よりも集団の意見を尊重するために用いられることがあり、グループ全体での統一感を育むことが目的とされます。
道徳的価値観 日本の教育では、道徳的な価値観や義務を重んじる教育が行われることがあり、多数決やくじ引きは、公平さや公正さを示す手段として捉えられることがあります。
緊張回避 日本の文化では、緊張感(意見の相違をぶつけ合うこと)を避けることが一般的。異なる意見をぶつけ合うことが緊張を生む可能性があるため、多数決やくじ引きを用いることで、和やかな雰囲気を保つことが重視されます。
日本では意見を伝えることや言葉にすると、「わがまま」と捉えられることがあったり、「場の空気を読まない」「人のことを考えない」などネガティブな印象の場面もあります。これはハイコンテクスト(文化の共有性が高く、言葉以外の表現に頼るコミュニケーション方法を指す。)など、要因は文化と教育さまざまなものからきているものだと考えます。
■欧米の学校(意見を伝える)
個人主義と自己主張 欧米の教育では、個人の自己主張や意見を尊重する文化があります。学生たちは自分の意見を発表し、議論やディベートを通じて主張を強化することが重視されます。発言をしなかったら教室にいないのと同じで点数もゼロという話を聞いたことがあります。
批判的思考(クリティカルシンキング) 欧米の教育は、批判的思考や問題解決能力を育むことに重点が置かれることがあります。(クリティカルシンキングは、日本の親が「思いやり」に対し、欧米では親が子どもに一番身につけてほしいスキルだとデータにありました。)意見をぶつけ合うことで、自分の考えを論理的に支持し、他者の意見にも敬意を持つ姿勢を養います。
開かれたディスカッション 意見の対立や議論が建設的であると捉えられていて、オープンなディスカッションを通じて、多様な視点から学ぶことが重視されます。
これらの違いは、何か一つを変えてどうなるというものではありません。
教育の目的や社会的な文化に影響を受けていますので、一概にこちらが良くて、こちらが悪い、日本の教育が悪いということを言いたいわけではありません。
それぞれの教育システムが学生たちの成長と発展に適したものであるのですが、教育が変わり、大学受験が変わる。新指導要綱が・・・など日本も変化を必要とされていると感じています。
親である私たちも、世界のコミュニケーションについて知ったり、子どもへの声かけを変えることで、受動的な学びの世界から、こどもが能動的に好奇心を持つ学びへと変えることができるのではないかな? cocokitchenの料理教室は、そんな変化(自分で決めて行うなど)を楽しめるような時間になればとキッチンオーケストラを企画しています。
3.【子ども会議】が「多数決」か「あみだくじ」だったころと今のキッチンオーケストラの変化
キッチンオーケストラは2022年夏にスタートしました。
2022年夏のテーマは「米」
2022年冬のテーマは「ケーキ」
実は最初のころは、【子ども会議】は日本スタイルで行われていました。
日本スタイルでは、一人ひとりの意見を尊重するため、結果、くじびきやあみだくじを使って意思決定していました。
しかし、何か違う気がしてきたのです。くじびきやあみだくじを使うことは「言語技術」のトレーニングにはなっていないと気がづきました。
そして改めて、言語技術を別の場所で学びを深めることにしました。最初の学校では、日本は良くないというような教わり方が多くあったのですが、改めて、世界のコミュニケーションの違いを知り、文化、教育についても考えることができました。
日本スタイルと欧米スタイルの違いを図を用いて考えると、頭ですっきりと理解することができて、特に会議の仕方について顕著な違いを理解できました。なので【子ども会議】も 言語技術を使った世界共通の会議のルールという方法に変更することにしました。
子ども会議ではまず、会議ってなに?どうしたらうまくまとまるまる?などを考え、図を用いて、どういうふうに会議を行うかをお伝えしています。
その方法に変更してからは 会議の時間が大幅に短くなりました。
くじびき、あみだくじを作る必要もなくなり、周りの顔色や空気を読むようなこともなくなりました。
2023年春のテーマは「麺」、2023年夏のテーマは「Pizza」です。
表を見ながら最初に何から決めていくといいかを話し、、みんなで意見を交換して作るものを決めるています。
あみだくじやくじびきを使わず、「言葉」を使って行う会議は、とても有意義で、何より子どもたちがみな 「自分で決めたメニューを作る」ということでとても意欲的です。
4.意見を持つこと、伝えることの練習を子どもの頃から鍛えよう!
子どもの頃から「意見」を持って、その理由を述べることができたら。
相手に伝えるために言葉を用いて表現する練習をすることは、将来の成長と成功に大きく影響を与える重要な要素だと思っています。
◎ 自己表現力の向上
意見を持ち、それを言葉で表現することは、自己表現力を養うために重要です。自分の考えや感情を的確に伝えることができれば、他者とのコミュニケーションがスムーズになります。
◎自己主張の重要性
自分の考えや価値観を自信を持って主張することは、自己を大切にすることにつながります。自己主張ができる子どもは、将来の人間関係や職業上でよりよい結果を生み出す可能性が高まります。
◎問題解決能力の向上
意見を持つことは、自ら考える力を養うことに繋がります。子どもたちが自分の意見を発表し合うことで、新たなアイデアや解決策を生み出す力が育まれます。
◎コンフリクト(論争・争い・衝突)の予防
意見の違いは避けられないものですが、それを話し合いの場で積極的に出すことで、対立やコンフリクト(論争・争い・衝突)を未然に防ぐことができます。
◎異なる意見を尊重
子どもたちが意見を持ち合い、それを尊重することで、異なる意見やバックグラウンドを理解する力が育まれます。子どもたちの時代は、みんな同じ日本人で仕事ができるとは限りません。多様性を尊重する社会を築くためには、このような意見を持つ習慣が重要だと思います
というわけで、子どもの頃から意見を持ち、伝えることの練習をすることで、自己成長や社会参加、対人関係の質の向上など、さまざまなメリットが得られると言えます。
「料理」のメニュー決め。 たかが料理。されど料理。
自分の口に入るもの、今から食べるものを何にするか?
身近なことから子どもたちが、自分と違う意見を持つ子たちと意見交換や伝える場を大切に育んでいくことの経験をお届けしたいと思っています
大人の言語技術を学ぶオンラインクラスや、
月に一度、料理教室をしている自宅にて、対話会も行っています。
興味持ってくださった方、ご一報ください!