
【積読書記録】三十路女は分が悪い
人生相談が好きだ。
人が思い悩んでいることを知ると、自分の悩みがちっぽけに感じる。また、誰かの回答を知ることで、考え方に深みが出るような気がして「一つ賢くなったぞ」と安心して床につけるような心持ちになるのだ。
今回の書は、壇蜜著「三十路女は分が悪い」だ。
壇蜜が自分の元に届いたお悩みに回答している。
質問者に寄り添った回答が多いのがよい。第三者から見た時に「これは質問者が悪いだろう」と思うような内容でも、質問者のためになり、心が軽くなるようなアドバイスができるのはさすがである。
壇蜜の回答の中で繰り返し出てくるキーワードがある。
「心のコスプレ」だ。
つまり、悲劇のヒロインの「心のコスプレ」をするとか。
モテすぎて困る転校生の「心のコスプレ」をするとか。そういうことである。
「心のコスプレ」は誰にも迷惑をかけない。自分だけの喜びだ。
先日、「久保みねヒャダ」(トーク番組)で、「朗読劇ごっこ」というのをやっていた。
「朗読劇ごっこ」とは、みんなで感情を込めて台本を読む行為である。
「感情を込めて文章を読むのって楽しいよね!」ということである。
わかる。感情を込めてお芝居をしながら文書を読むのは楽しい。
誰かに見せるのはもっと楽しい。
「久保みねヒャダ」で朗読したのは「恋のヘキサゴン」だった。歌詞も感情を込めて読むと面白いよね☆
そう。成り切っている自分を誰かに見られるのは恥ずかしい。
周囲から冷ややかな目で見られるのは誰しも辛い。
だったら、心だけ「コスプレ」してしまえば良いではないか。
辛い出来事があった時には、不遇のヒロインのコスプレを。
今が頑張りどきなのであれば、スポ根ものの主人公のコスプレを。
そうやって、自分の心に一枚ベールをかけて、成り切らせることで少しでも楽しく日々を乗り切ろうという提案なのである。
恋愛の冒頭で楽チンな思いをするほど後々の現実に傷つくものです。
男運が悪い、という言葉は自分で言ってはいけません。相手にもまた「女運が悪かった」という思いを芽生えさせて悪循環のループを招くから。
その既婚者の余裕や優しさといった魅力を形成しているのは彼の配偶者でもある、と。パートナーに守られ、育てられた人だから、あなたにとって魅力的に見えるようになったのです。そう考えると、たちまち二人だけの世界を冷静に見直せるようになると思いませんか。
なんて含蓄が深い言葉だろう。だから私は壇蜜が好きなのだ。こういう、少し人生を達観しているところが、本当に好きだなあと思う。
しばらく私の壇蜜ブームは続きそうだ。