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【備忘録・おかもとさん(仮)】
【備忘録・おかもとさん(仮)】
すっかり年も明けて2025年の1月も終わろうとしています。
先ほど、介護施設スタッフのグループラインに
「おかもとさん(仮)が、いつものデイサービスに行くように『行ってくるねー』と手を振って引っ越していかれました」
と連絡が入って泣きそうになった。
実は、昨年取った介護ヘルパーの資格を遊ばせていたので、1月から週に2〜3日サービス付高齢者施設に派遣ヘルパーとして入っている。
介護についての本を書こうと思っていたが、親の介護しかしたことが無い。
そこでリサーチも兼ねて派遣スタッフとして介護施設に入ってみたら、これが聞きしに勝る仕事。
8時間働く日は、私のスマートウォッチの万歩計は必ず2万歩を超える。
まだ週に2〜3日、ひと月しか働いていないが「おかもとさん(仮名)」は、食事を終えるたびに必ず私を呼ぶ人だった。
70代そこそこの、私とたいして歳が変わらない女性。
「あのさー、何が何だかわからないんだけど、この後どうしたらいい?」
いつも泣きそうな顔で食後にそうおっしゃる。
アルツハイマー型認知症で、現況把握ができない。
ケアハウス、特養、介護施設には様々な形態、種類があるが、いずれも人生の終焉の縮図。
私が働く施設には60代〜90代まで、約40人の方々がおられるが、
それほど年老いて見えない方もほとんどの方が認知症を患っていて1人では生活できないのだ。
慣れない仕事の中で、時間に追われながら仕事の段取りを覚えていく。
OLで働いて以来40年ぶり(笑)に「職場」と言える場所で。
そんな年明けだったが、食事のたびに毎回私を呼ぶおかもとさん(仮)には特別親近感を持って接してもらった。
彼女にお子さんが居るのか?ご主人が居るのか?何もわからない。個人情報は私たちには知らされないからだ。
明日、3日ぶりに出勤したら、
「おかもとさん(仮)」はもう居ない。
別の施設に移ることは聞いていたが、
彼女はいったいどんな人生を送ってきたのだろう?
どんな楽しみがあり、どんな哀しみがあったのか?
「何もわからない」今、それは幸いなのか?不幸なのか?
いずれ、そう遠くないうちに
私もあちら側へ行くことになる。
その時に
「何もわからない」状態になってもなお人は生きていかなければならない。
理想とするは、誰にも内緒で釣りに出かけたまま、渓流のどこかで行方不明になり、人知れず土となる死に方だが、
借金取りは、必死で私を探すよな〜
長谷川薫か行方不明になったら、
どうぞ、決して探さないでくださいませ。
人知れず土に還ります。