「察して欲しい」は通用しない

『自分でできる対人関係療法』を読了した。

読み終えてまず思ったのは、この本は、対人関係に強いコンプレックスを抱いている私にとって、バイブルとなり得るかもしれないということだ。本を読んだだけで、心が救われたように感じる。

そもそも対人関係療法とは、「重要な他者」との「現在の」関係に焦点を当てて治療するものだ。私にとっての重要な他者は、同居人や家族になるだろう。

そして、「重要な他者」との問題は、「相手への期待が不適切であること」か、「コミュニケーションが貧弱であること」により起きることがほとんどということだ。

私は人への役割期待が大きいので、相手への期待が不適切と言うのはまさにその通りだし、自覚しているところだ。そして、コミュニケーションが貧弱というのも、私にぴったり当てはまる。言い合いになると沈黙してしまう。

この本によると、コミュニケーションにおいて、沈黙することが最もよくないことであるらしい。そりゃそうだ。コミュニケーション自体を拒否しているのだから。

そして、「相手への期待が不適切であること」と「コミュニケーションが貧弱であること」のこの二つは、密接に関係している。コミュニケーションが貧弱だと、相手への期待を言葉にして伝えることができないからだ。相手は自分が何を求められているのかも知ることができないから、期待が適切かどうかすらわからない。

言葉にしないと相手はわかってくれない。コミュニケーションにおいて、「察して欲しい」は通用しないのだ。そんな当たり前のこともできていなかったことを気づかされた。

そして、この本では、自分の行動や、相手との関係性の中で芽生えたモヤモヤが何に起因しているのかや、そのモヤモヤをどのように解消していけば良いのかについて、わかりやすい言葉で解説されている。

実際の症例を例に挙げながら、一人ひとりがどのように対人関係の悩みを治療したかが紹介されていて、その具体例をもとに、対人関係療法の実践の仕方について書かれているのだ。

紹介されている人の中には、「私をモデルに書いたのではないか」と思えるほど共感できる人物もいた。同じような悩みを抱えている人が立ち直って行った過程が描かれているから、私はまだ手遅れではないと思えて安心した。

対人関係療法は、長い時間を要する治療法だから、自分で治療しようと思ったら、さらに長い時間がかかるだろう。対人関係についてはもうかなり長いこと悩んでいるし、プロに相談してしまうのもありなのかなと思えた。

これかもきっと、対人関係が上手くいかないことで悩み続けることになるだろう。対人関係で落ち込んだときには、この本のことを思い出したい。きっと助けになってくれると思う。

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こ林
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