大学に入って「すごいな!」と思った人
大学に入ってまずびっくりしたのが、帰国子女の多さです。
知り合った数名でランチを食べに行ったら、急に英語で会話が始まるのですね。最初は「こいつらできる人間アピールか?」と思っていたのですが、彼ら曰く、英語の方が話しやすいと。聞くと皆さん「イギリスに何年」「オーストリアに何年」「おフランスに何年」いらっしゃったということで、挙げ句の果てには「え!同じ中学校じゃーん!(アメリカで)」と意味不明が出たり。
私が「えー!君も東北出身なんだ!」と喜んでいるレベルとはわけが違うのです。
そんな方々をみて「あ、これは大企業に就職するのは無理だな。敵うはずがない。」と思い、ドロップアウト一直線になりました。
しかし、しかし!それから20年たったいま振り返ってみると、当時思っていた景色とはずいぶん異なるもので。というお話をします。
早々に学業でドロップアウトした私は「クラブDJ」という活路(?)を見出すのですが、そこで出会った人たちがとんでもなかった。
多くの人は「クラブ」「DJ」と聞くと、オラオラでイケイケで、とにかく悪いことしかしない感じ、とお思いになるでしょう。しかし実際は違います。そういう人たちもおりますが、大半は私のようにノーバイオレンスな、どちらかというと引っ込み思案のナヨナヨ系です。そういうメンツでクラブイベントを開催するものだから、もうお客さんの方がイケイケで、我々が狼狽えてる…。そんな感じでした。
それはさておき、この活動をしていく上で最も大事な考え方が「主役は踊り手(お客さん)」であるということ。来場くださったお客さんに楽しんでいただくことが仕事なので、「どうだ!オレかっこいいだろ!?」みたいなノリでいくと大変なことになります。
そんなわけで、お客さんを喜ばす策を張り巡らす必要があります。まずは選曲のためのレコード探し。これがまさに狂気で、レコードを買うために鬼のようにバイトする、昼飯はおにぎり(自作)のみ、ペットボトルは買わない…などなど、とにかくストイックな生活が必要です。
さらにイベントに向けてのミーティングがまた地獄。飲み屋でウェイウェイ言いながらやってるのかと思いきや、薄暗いコーヒー屋で冷や汗を流しながら、胃を痛めながら話を詰めていきます。
当時、メンバーがだいたい同い年で構成されているイベントに末端中の末端として参加していたのですが、オーガナイザー(同い年)が本当にすごくて、細かいところまで鬼の形相で迫ってくる。内心「もっと楽しもうよ」と思っているのだけど、妥協は許さない。なぜなら「お客さん」を主体に考えているからです。
結果、その頃の渋谷(全国規模でも)で最大級のクラブにおいて、最多集客(平日)を叩き出しました。このイベントは2ヶ月に1回のペース(確か)でやっていたのですが、いつもすごい人の数。たかだか20歳くらいの集団がこんなことをしているので、界隈からは「奇跡」と言われたり。
この時のメンバーが、私が大学時代にあった「すごい人」たちです。みなほぼ同い年ですが、レコードに対する情熱、イベントに対する責任感が尋常じゃない人たちでした。
だいたいが大学生だったわけですが、みな学業は(もちろん)あまり芳しくない。しかし、そういうイベントをやっていたことが評価され就職の口を見つけたりもできました。そして40代に突入したいま、みなそれぞれの業界の出世頭として、日本を代表するハイクオリティな仕事をしています。おそらく先述の帰国子女たちよりも。
そのメンバーとは最近でもよくご飯を食べに行ったりしますが、仕事に対する姿勢も、当時一緒に遊んでいた頃と全く変わっていない。むしろ当時の活動が、いまの活躍の礎になっているようです。
「大学に入ってから何をすべきか?」という質問を生徒だったり、保護者の方だったりから聞かれることもありますが、その際には「学校の外に身を置くこと」とお伝えしています。もちろんサークル活動などは楽しいし、意義深い。でもそれとは別に「お金」という尺度で自分が評価される場を持って欲しいなと。
自分で何かを始めてもいいし、バイトでもいいのですが、タスクをこなすだけの時間給業務ではなく、自分の動きが「お金」としてダイレクトに反映されるものがいいと思います。人が何をしたら喜ぶのか・おもしろがるのか、ということを実践できる場は大学の外にしかありません。皆さんがもし、社会人になって活躍したいと願うのであれば、その実践は勉強よりはるかに大事なことかもしれません。
他の意見はこちらから↓
clue zemi の詳細・お問い合わせはこちら↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?