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書くのが苦手でも、「読まれる文章」を書く方法/『きむら式童話のつくり方』

ベストセラー『あらしのよるに』の作者である木村裕一さんが、創作の秘密を語った『きむら式童話のつくり方』を読みました。

この本で知ったのですが、木村さんは文章を書くのが苦手なのだそうです。しかし苦手だからこそ、得意なものが生まれたとこの本で述べられています。

どういうことかというと、木村さんは「きれいな比喩を使った表現」や「詩的な文章」は苦手ですが、「普段日常生活で使っている会話」なら書けたそうなのです。

そこで、書けることを書いていたら、それが個性になってしまった。木村さんは、この力を『老人力』になぞらえて「ダメ力」と名づけています。


そして本書のなかで、
「ボクの文は、会話の面白さに特徴があるのだとしたら、それはダメ力なのである」
とおっしゃっています。

ダメ力、いいですね。

弱点をなくせ。苦手意識をなくせ。多くの人はそう言いますが、「何かが絶対的にできない」ということは、個性でもあります。少なくとも他にはない個性を生み出すエネルギーともいえます。

大切なのは「弱点をなくす」ことではなく
「弱点を活かす」ことではないでしょうか。

そのとき人は、「長所」と「ダメ力」という二刀流で勝負ができます。

ただ、佐々木小次郎もいいですが、巌流島で勝ったのは宮本武蔵です。それを考えると、いま自分のことをダメだなと考えて悩んでいる人ほど、宮本武蔵になれる可能性が大というわけです。

そのためには「自分には何ができて、何ができないか」を知ることが大切。

木村さんは苦手な文章のなかで、「自分には何が書けなくて、何が書けないか」を把握して、全般的には苦手だけれど、個別でいえばなんとかできることに力を集中させました。

それが大人も子供も読んで楽しい、木村さん独特のリズム感のある文体をつくったわけです。

そしてもう一つは「苦手なことは苦手なままで、やりたいことをやるにはどうしたらいいだろうか」と具体的に考えることだと思います。

同じものに対して苦手意識を持っていても、人によって解決方法は違います。だからこそ、そこに他の人にはない個性がにじみ出てくる。

壁にぶつかって、自分のダメさを感じて落ち込んでしまうことは多いものですが、そのダメさのなかにこそ次へと続くチャンスもある。それを忘れたくないものです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!

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つくだとしお|書籍編集者×作家
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