【創作】今週書いた短歌9/8~9/14
いよいよ秋ですね。二十四節気の白露(朝露が木々や草花の葉に降りる時期)が過ぎ、いよいよ十五夜、お月見の季節です。秋の恵みを楽しみつつ、今週もX(旧Twitter)や短歌のSNSサイト57577などで短歌を詠みました。まとめてみましたので、よかったら楽しんでいっていただけるとうれしいです。
9月8 日(日)
一首、発表しました。お題は「青」。歳をとっても心だけは青臭くありたい。そして自らの未熟さを自覚しながらも、それでも自分らしく生きていきたいという思いを込めて詠みました。
歳降りて生きて悪いか青臭く我こそ年代物の青柿
9月9日(月)
全部で3首発表しました。まずは「嘘」をお題に考えてみました。イソップ童話の「オオカミがきた!」も頭に入れつつ、少年の人生を詠んでみました。
そして残りの2首は9月9日の菊の節句をお題に考えてみました。二つとも「連れ合いが相方の長寿を祈って菊を生ける姿」「バスタブに散らされた菊の花」という絵が浮かんだので、そこから組み立てていきました。
狼が来るぞ少年歯車抜け出して孤独の果てに狼が来るぞ
菊香る目覚めた朝に連れ合いが永らえたまえと捧げし一輪
バスタブに菊を散らすか恋の花この一瞬に君こそが
9月10日(火)
この日は6首も詠めました。まず1首目は#おはよう短歌に挙げた短歌です。朝がゆの易しい味をイメージして詠みました。
そして、次の2首は「バイク」をお題に考えました。はじめのほうの短歌は、映画マッドマックスで荒野を走るバイクを思い出して詠みました。そしてバイクといえばツーリング。バイクの楽しさってなんだろうと考えて詠んでみました。
次の1首は「浴びながら」というお題で、お風呂の楽しさをイメージして詠みました。
最後の2首は「趣」をお題に詠みました。
朝がゆの優しき味に雲一散 晴れ渡る空に新しき夢
バイク乗り、お前は果てない荒野の先をただひたすらに明日に向かって
走るたび紅葉が風に溶けていく バイクと私が一つになる瞬間
体がほどけて崩れていく湯を浴びながらまどろむ永遠に
古都巡り食を巡れば趣ばかり この手を握りつ箸は止まらず
趣のある暮らしとは平凡のなか 素晴らしきを知り愛おしむこと
9月11日(水)
この日は五首詠みました。まず1首目は、「おはよう短歌」で挙げた1首です。「おはよう」という言葉の繰り返しが気持ちよかったので、そこから組み立てていきました。
次の2首は「命」をお題にした短歌です。「1%」「メトロポリス」という言葉が降りてきて、それを元に組み立てていきました。
次の1首は「汚」は「汚れた服」を勲章に見立てて詠んでみました。そして最後の一種のお題は金魚。命の切なさを詠んでみました。
「おはよう」「おはよう」「おはよう」と仲間の笑顔に陽は限りなく
1%を積み重ね僕らは命を磨いていく
死にたくなるよなメトロポリスで私は命の歌をうたう
冒険さ 満面の笑顔でうそぶくわが子の 汚れた服には勲章のあと
縁日で金魚を掬って金魚鉢大事にしたのに夢の向こうへ
9月12日(木)
木曜日は5首発表しました。はじめの1首は「おはよう短歌」で挙げたものです。その次の2首は「化粧」というお題から考えました。はじめの1首は紀貫之の「土佐日記」の書き出しをもじって詠んでみました。そしてもう1首は「紅をさす」という言葉が降りてきたので、それを元に組み立てていきました。
次の1首は「浮」をお題に考えました。夜船に揺られながら月をながめている風景と「一握の砂」という言葉が浮かんだので、そこから広げていきました。最後の1首は「思い切り」をお題に考えました。投げて打たれるというイメージから、告白と失恋というイメージが広がってきて、こんな短歌ができあがってきました。ちなみに改稿とある短歌は、発表時から推敲を重ねて少し短めに直しています。
朝日浴びそのまばゆさに背伸びする今日1日は光と始まる
女もすなる化粧というを男ながらに紅引くならば還暦だてらに夢あふれけむ
(改稿)
紅をさす心の仮面に紅をさす 秘めたる思い勇気いまこそ私の命に(改稿)
浮かんでる夜舟にゆられ月を眺めつつ すべては走馬灯一握の砂
思いきり投げた恋の火場外ヘ飛ぶ 投げきった自分に天晴れとエール
(改稿)
9月13日(金)
そして金曜日は5首詠みました。まずは1首目「おはよう短歌」ですが、恋人たちにとって初めての「おはよう」ってどんな意味があるんだろうと考えて、こんな短歌を詠みました。
次の2首は「髪」をお題に考えました。はじめの1首は通りすがった人から香る洗い髪の匂いから、中国古典の「邯鄲の夢」という話を持ち出してきて読みました。そして、次の1首は自分を含めた老いた大人たちに対してのエールみたいな短歌です。
最後の2首は「魔」がお題でした。はじめの1首目はご存じ「魔女の宅急便」へのオマージュです。そして次の1首はピーターパンのネバーランドを引っかけてみました。
朝焼けの光がふたりを祝ってる「おはよう」は絆を繋ぐはじまりの歌
風そよぎ洗い髪にてすれ違う残り香胸打つ甘さに揺られ 1分邯鄲の夢をみる
銀髪が乱れ汚れて野良犬のよう 老いに奪われしものを奪えよ狼
十三歳新米魔女の宅急便空駆け笑顔と優しさ届けに
魔をもって人生変えられるなら いっそこの世をネバーランドに
9月14日(土)
今週最後の短歌は3首です。まずは「おはよう短歌」に挙げた1首です。ちょうど時期が24節気の白露にも近いので、「朝露」からイメージを転がして詠んでいきました。
最後の2首はお題が「神」。1首目をつくろうとしたとき「神駆ける」という言葉が、出てきました。神を走らせるものはなんだろうと考えて、出てきたのが「ワルプルギスの夜」。魔女と魔王の宴ですね。そこから「神魔向かいて」という言葉が出てきて、短歌ができあがりました。
次の1首を詠もうとして出てきた言葉が「神はいませり」という言葉です。クリスマス・キャロルの「もろびとこぞりて」に「主はいませり」という言葉がありますよね。「主はいらっしゃる」という意味なんですが、そこから「神はいませり」という言葉を引っ張ってきました。
そして、短歌を書くなかでいま自分の中で起こっている現象を短歌にして、その結句として「神はいませり」を使いました。
朝露の光輝く木々の葉きらり小鳥囀ずり水晶転がりいとをかしかな
神駆けるワルプルギスの昏い夜 神魔向かいて世界はいかに
神宿るその言霊に導かれ短歌を詠みし神はいませり
今週は28首詠みました。
来週も楽しく詠んでいこうと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
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