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橘いずみさんの名曲「太陽」に助けられて、希死念慮を乗り切った話/うつ抜けできるかな日記#5

抗うつ剤を服用するようになって6週間。季節は桜の頃を過ぎ、初夏になっていました。

症状の改善を目指して服用した抗うつ剤でしたが、思ったほどの効果を見せず4回目の診察日がやってきました。

「具合はいかがですか」
 と、先生。
「すみません。少しはよくなっている気もするんですが……」
「う~ん。そうですか……。では新しい薬を増やしてみましょう。意欲も高まるし、痛みを抑える効果もあります。頭痛にも効くかもしれません」

と処方されたのが、SNRIと呼ばれる種類の抗うつ剤です。いままで服用していた薬はSSRIと呼ばれる種類の抗うつ剤で、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの量を増やす効果があるものでした。対してSNRIは、セロトニンにくわえてノルアドレナリンの量を増やす効果のある薬ということでした。

翌日、さっそく服用してみました。すると「やらなきゃ!」という気持ちがしました。ただSNRIもSSRIと同じように、効くまでに2週間ほどかかるとのことだったので、いわゆるプラシーボ効果だったのかもしれません。

しかし、この間にも希死念慮と、理由のわからない焦りイライラ、そして頭痛が毎日私を襲いました。それに輪をかけたのが抗うつ剤の副作用です。

こんなとき私は希死念慮から我が身を守るために、ひたすら音楽を聴いていました。一番よく聴いたのは、橘いずみさんの「太陽」という歌です。

ねぇ どうかあなた死なないで
何でもいいから 生きていて
あなたの存在があるから
何とか 私は生きられる

橘いずみ 太陽

思うんですが、人の命をつなぐのは「あなたに生きていてほしい」という誰かの思いではないでしょうか。

10年も前のことなのに私はいまでも覚えています。私が「死にたい」といったとき、「つくだに死なれると困るんや」と、ちょっと泣きそうな声で言った親友の言葉を。その言葉があったから私は、いまも生きてます。

そして、うつ病になってわかったことがあります。

私の病気を知ると、
思いもよらぬ人が心配してくれたり、声をかけてくれました。
それだけで、いままでの自分の人生は間違いではなかったと思えました。

そして、私は誰かにとって「生きていてほしい」「元気でいてほしい」
という存在でもあるのだ、ということをはじめて自覚できました。

それは「私がいると、自分が得をするから」という功利的な理由ではなく
私が生きている、ただそれだけでうれしいという素直な理由。
本当にありがたいことです。

それから、もうひとつ気がついたことがあります。

死にたくて、死にたくて、こんなに苦しいのに
いつだって、心臓は生きようとして鼓動を続けているということです。

本人がどんなことを考えようとも、
私たちの身体は、最後まで生きることを諦めようとしません。
つまり、私たちは「生きるために、生きている」のです。

私は今日を生きるのがつらいときには、あと10分だけ生きることを頑張ってみるようにしています。そして10分生きていることができたら、1時間頑張ってみる。今日を生ききることができれば、すごいことです。

人生というのは、そうした10分の積み重なりでできています。
そして、生きていれば状況が変わってくることもあります。
さらに、状況が変われば人生も変わってきます

今回のまとめ#5

今回のうつ抜けのヒントをまとめてみます。

  1. あなたが生きている。ただ、それだけで幸せになる人がいることを知る

  2. あなたの心臓は、生きることを最後まで諦めない

  3. 人生は10分の積み重ね


ちなみに、うつ病については、いわばエピソード0としてこんな記事も書いています。

前回は、「うつ抜けノートの作り方」について書いています。

はじめましての方も、いつも来てくださる方も、
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

それではまた来週、金曜日にお届けしようと思います。

これからも「うつ抜け」に役立ちそうな記事を書いていきますので、
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お願いします^^

明日が、皆さんにとって穏やかで心安らぐ日になりますように!




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つくだとしお|書籍編集者×作家
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