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夜のそらさんが生きていた


このアカウントを立ち上げた頃は
性同一性障害(MtF)当事者として
あたしも情報を必要としていてですね、
ほかのMtF、ほかのセクマイたちの書いたものを、それはそれは熱心に読んでいたものなのですが。




情報収集とは別の地平、
あまりにも書かれた文章が綺麗で、
訴える内容は煽情的で。
夜のそら/Aセク相談室
さんの原稿は、
毎回毎回とても楽しみにしていました。





けっこうまとまった金額をプレゼントしようとしたら(※あくまでわたしの金銭水準での話です)、なぜか彼女のサポート欄は閉ざされていたりして。
コメントを書いても返事は返ってこないのが通常で。
親しく付き合っていたのとはほど遠い、
あたしなど赤の他人なのですが。




トランスジェンダーだとかLGBT当事者だとかいう以前に、ひとりの読書家として、このひとの書いた文章にはとても魅かれるものがあったのです。





♡♡





『Aセク』というワードから分かるとおり、
このひとは恋愛対象を持たないし、セックスは男女問わずお断わり。





なので『女性になりたい』わけでは
決して無かったのだとは思いますが。



すくなくとも『男性でいる』ことは
完全に不可能な、
絶対的に耐え難いものとなり、
それでためしに
女性ホルモンや睾丸摘出をやってみたら
『女性として埋没できた』
ことが、殊の外快適だったそうで。




(ある種の闘争心が尽きたから??)
女性としてひそやかに周囲の環境に溶け込むことが可能になったことで、これ以上、Aセクの論者として執筆を続けることが不可能になったといって、彼女はnoteから引退してしまいました。




賛否や共感の有無を大きく超えて、
このひとの文章が
あたしは大好きだったので、
引退宣言はショックだったのですが。




しかし同時に、
涙なしには読めない最終回には、
葛藤と軋轢に満ちた世界から、
やっと落ち着いて暮らせる場所へと
流れ着いたことの安心感が語られていて。



まぁだから、
読み手としては残念だけれども、
『戻ってきてほしい』とは
絶対に言う気にはなれない終わり方で。




あたしも当事者なので分かりますけど。
性同一性障害その他、性別にまつわる問題は
とてつもない苦悩と苦痛を本人にもたらし、
なおかつそれが解決することは絶対にない。




なので、
根本解決はしていないけれど
『女性として埋没できたから』
Aセクとして活動するのはやめます、
というのはとても理解できるのです。





そして
noteをやめた彼女は消息不明になり。
まさか性別にまつわるテーマで
これ以上なにか書くとは思えなかったので、
これが永遠の別れなのだと思っていました。




ところがですね。




五月あかりさん、プロフィールはほぼ非公開ですが





①身体の性で見ると、男性から女性へと性別移行した
②しかし本人は性自認を持たず、性同一性を持たず、だから女性になりたいと望んでいたわけではない(※Aセク=アセクシャル)
こんな属性の持ち主が、
そうそうそこらへんにゴロゴロいるわけないよね!



③そして何より、この文章!文体!ああ!




夜のそらさんですね??
ああ!あなたは、
夜のそらさんなのですね??!?










♡♡





こういうのって、
ネタバレ厳禁なのだろうか??




本人はアセクシャルを名乗っているが
広義には彼女はMtF(男→女)であり、
出版の題材としてはじつに適切なことに
FtM(女→男)のあきら氏との往復書簡が
書籍化されていた。




表向きは、
そして、物語の序盤においては、
ふたりの関係は
『トランスジェンダーとしての異性同士で』
手紙のやりとりをしてみました、
というだけのものなのだけれど。





Aセクの彼女に
恋人の話は厳禁?
恋人という呼び名は厳禁??




─────なのかもしれないけれど。




作中でやりとりしている手紙が
フィクションであるとは、
ちょっと考え難いので。




とてつもなく困難に満ちた人生を歩んできた
夜のそらさん(五月あかりさん)は、
散々な紆余曲折の末に、
あきらさんとしあわせになりました💖




本人はアセクシャルを名乗っているのだし、
恋人ができてよかったね、と言われて、
そのまま認める人なのかは分からないけど。





あたしとしては、
この本をラストまで読んで、
報われた気分になったのです。




フィクションはハナっから
絵空事としてしか読めないあたし。
でも、
あの夜のそらさんが
しあわせになれたことには、
リアリティーを感じるし、真実を感じる。



こんなにも複雑な思考の持ち主で、
こんなにも情念のこもった文章を書く
あなたと、
ぴったり息を合わせて、紡ぐ言葉を合わせられる男性なんて、そうそうこの世にいるはずもないのだから、
どぅか、この奇跡を大切に。
どうか、おしあわせに。
貴女の消息が知れてよかったです💖



🐤🐥🐤🐥🐤🐥🐤🐥🐤
#忘れられない恋物語
#夏の思い出
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