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「読書酒紀」 13回目 放送後記 テーマ:制服

※番組が終わるたびに、パーソナリティが番組の感想を語り、番組中に取り上げた本のリンクと紹介をしていきます。

13回目リンク


チョコレイト
 テンパリングを
  怠るな

読書酒紀第13回、今回も先攻で話し手を務めました瀬山です。
最近、お菓子作りが私の中でn度目の流行をしておりまして、オランジェットというお洒落菓子を仕込んだんです。
工程のなかに、チョコを溶かしてコーティングするシーンがあって、ここでテンパリングという作業が必要になってきます。手法はいくつかあるのですが、どの方法でも重要になってくるのが温度管理です。
チョコの温度を50℃まで上げた後、34℃まで下げるみたいな話なんですが、センサーで計るタイプの温度計を持っていない限り果てしなく面倒な作業でして…サボっちゃいました。
その結果チョコの油脂分が表面に浮き出るファットブルーム現象なるものが起き、カビのごとき白い紋様が…。お洒落菓子にあるまじき姿になってしまったのです。
読者諸賢におかれましては、チョコ菓子に気軽に手を出すべからず、手を出すならばケチらずにセンサータイプの温度計をお買い求めください。

さて、今回我々が取り上げたテーマは「制服」でしたね。
私は制服というものを中学校の3年間しか身に着けなかったうえに、そもそも衣類に自分なりの興味を持てたのが高校2年生以降という有様でして、ゼロ家言状態で今回のテーマに臨むことになりました。現在の職場においても着用義務のある制服はありません。
そのためか、相方は広めに視野を持って、職業制服も含めて論を展開していましたが、私は「制服」という言葉のイメージに引っ張られて、ほとんど学校制服についての話をしていました。
学校制服の当事者として取り上げられるのはほぼ女学生であり、結果として女子制服の話をすることに。
夜の公園で熱心に女学生の制服についての話をする成人男性二人組...…、通報待ったなしです。職質をされたときにどう受け答えするかの準備を怠ってはいけませんね。

今回紹介した3冊の本

①『コンビニ人間』村田沙耶香 著
押しも押されぬ大ベストセラー。
社交性や社会常識といったものを身に着けずにコンビニバイトとして生きてきた古倉恵子。四十手前に差し掛かり周囲からの干渉が恵子の閾値を超えてしまう話、と私には読めてしまった。
一人称視点でありながらも、主体性の極めて薄い主人公による語り口が、読み手の主体性の這入り込む隙間を作り出す作品。

②『学校制服の文化史 日本近代における女子生徒制服の変遷』 難波知子 著
日本における学校制服の変遷とその受容の歴史を、服飾史と教育史の両視点から再編する。
入門編として読むにはやや硬派に過ぎ、私自身は隅々まで読み込めなかったが、それはひとえに内容の濃密さゆえである。
当時の学校制服導入に関する議論や学校側の見解、学生自身の私見に至るまで、その網羅性はすさまじく、学校制服を語る際には必読の一冊と言えるだろう。

『繭、纏う』原百合子 著
彼女たちの着る制服は髪で出来ている。だから「制服が息する音」が聞こえる。
原百合子先生のポエジーに富んだ台詞回しと紙上に踊る髪が視線を捉えて離さない作品。
印象深いシーンが多すぎて紹介しきれないため、序盤のワンシーンだけ。
第2話のラストに、後輩の制服のために断髪をする3年生が描写される。生命の源たる主人から切り離された髪は、しかし瑞々しさと美しさを保ったまま保管ケースに収納され、編まれるときを待つ。
その姿はまさしく、棺桶に横たえられた亡骸であり、保育器の中で眠る赤ん坊である。

『読書酒紀』番組URL
https://open.spotify.com/show/36X5GlyHQcAavgvrcUvIf2

お便りフォーム(いただいたお便りは必ず番組で紹介します)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf5FXfc1gEew5YN27tg3rdPEa-AZgViEM0khg_QiHzSCQukVw/viewform


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