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#時代ファンタジー
老獪望郷流れ小唄 5
何度も頭を下げて離れていく老夫婦を見送ると
「いやぁ面目ねぇ、先生。全く気付けなかった。開け
っぱなしの家だから、気は張ってんだが。」
鉄斎が詫びてくる。が、気付かなかったのは良源も同じ事だ。
「いや、そういう家だから却って良いのさ。俺や鉄っ
あんなら気配は見逃さねぇしな。」
「まあ、いつもならねぇ。正直、全く分からなかった
んでさあ。」
鉄斎は頭の良い男だ。詫びてはいるが、それよ
何度も頭を下げて離れていく老夫婦を見送ると
「いやぁ面目ねぇ、先生。全く気付けなかった。開け
っぱなしの家だから、気は張ってんだが。」
鉄斎が詫びてくる。が、気付かなかったのは良源も同じ事だ。
「いや、そういう家だから却って良いのさ。俺や鉄っ
あんなら気配は見逃さねぇしな。」
「まあ、いつもならねぇ。正直、全く分からなかった
んでさあ。」
鉄斎は頭の良い男だ。詫びてはいるが、それよ