マガジンのカバー画像

まほろば流麗譚

73
運営しているクリエイター

2024年10月の記事一覧

月に濡れる。沖田総司の物語

手前味噌なんですが、「月に濡れる。」好きなんですよね。

「まほろば始末譚」がこの形に戻るのは、やっぱり「月に濡れる。」の影を追ってるのかもしれません。

荒削りで読みづらい!全くもって読者様には迷惑かもしれないこの物語は、少し前まではいつか書き直してみたいと思っていました。

ただ自分でも読み返す事があるんですが、どうにも弄れない勢いみたいなものがあるんです。

だから今はこのままで良いと思って

もっとみる

老獪望郷流れ小唄 3

「待たせたね。」

そこに、皆川良源が戻ってきた。

「先生、そいつは?」

勇也は良源が手にしている物を聞いた。

「こいつは刀の先っぽだよ。今、刃を焼いてきた。
 人様の肌に当てるんだからね。」

折れた刀の先端の鋭利な部分から続く場所に布が巻かれて持ち手になっている。

「さあ、木の破片を取り除こうか。少し痛いが、本当
 に良いかい?」

老夫婦に優しく微笑みながら、再度問いかける。

「あ

もっとみる

老獪望郷流れ小唄 2

「ああ、こいつは、、」

「どうですかの、先生様ぁ。」

お婆さんの左脹脛を触った皆川良源に、お爺さんは心配そうに尋ねた。

「あんたたちは山仕事をしてたんだね。」

「へい、、何で分かりますかいの。」

「いや、何ね。このお婆さんの足に、木の破片が刺さ
 ってるんでね。こいつは随分と古いようだ。」

「あらま、そんな事まで分かるんだねぇ。」

お婆さんも驚いた様子でいる。

「多分、足に刺さった

もっとみる