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2024年10月の記事一覧
老獪望郷流れ小唄 3
「待たせたね。」
そこに、皆川良源が戻ってきた。
「先生、そいつは?」
勇也は良源が手にしている物を聞いた。
「こいつは刀の先っぽだよ。今、刃を焼いてきた。
人様の肌に当てるんだからね。」
折れた刀の先端の鋭利な部分から続く場所に布が巻かれて持ち手になっている。
「さあ、木の破片を取り除こうか。少し痛いが、本当
に良いかい?」
老夫婦に優しく微笑みながら、再度問いかける。
「あ
老獪望郷流れ小唄 2
「ああ、こいつは、、」
「どうですかの、先生様ぁ。」
お婆さんの左脹脛を触った皆川良源に、お爺さんは心配そうに尋ねた。
「あんたたちは山仕事をしてたんだね。」
「へい、、何で分かりますかいの。」
「いや、何ね。このお婆さんの足に、木の破片が刺さ
ってるんでね。こいつは随分と古いようだ。」
「あらま、そんな事まで分かるんだねぇ。」
お婆さんも驚いた様子でいる。
「多分、足に刺さった