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英語を探せ#47-春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝
日常や人生を見直すような英語を探しています。
冬がくると「冬はつとめて (早朝)」そして春が来ると、「春はあけぼの」と思い出します。さて夏と秋は何だっけといつも思います。そのたびに調べるのですが、すぐ忘れます。
「春はあけぼの」で始まるの文は四季折々、季節の変わり目には思い出す名句です。高校生の頃、こんなエッセイが書ける人になれたらいいな、と思ったものです。残念ながら日本文学とは全く違う方向に進んでしまいましたが。
つい最近、清少納言の「春はあけぼの」というエッセイはどう英語で訳されているのかと、ふと疑問に思いました。
NHK語学講座「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」で枕草子(The Pillow Book)で英訳を知りました。Simple Englishですから意味がわかりやすくていいのですが、でも心の中に風景と感動が広がらない。
日本文学は最後まで言わないほうがいいようです。俳句も説明すると詩にならない、と聞きました。シンプル・イングリッシュのように、美しいと言ってしまうと、説明だけで終わってしまう。実際の詩歌では言わないでおくことで、読者の頭の中に映像が広がります。これが日本文学の美というものでしょうか。
春はあけぼの "For spring, it is the dawn that is most beautiful.”
夏は夜、月のころはさらなり "For summer, it is the night that is most beautiful. It is better when the moon is out."
秋は夕暮 "For autumn, it is the evening that is most beautiful.”
冬はつとめて(早朝) "For winter, it is the early morning that is most beautiful.”
春秋冬の句は七音、夏は五音です。俳句や短歌でも使用される五音と七音は、日本語ではリズムとして印象に残るようです。日本の詩歌は、七音と五音のリズムを繰り返す形式と聞きました。歌人でもあった清少納言は、自然と使っていたのかもしれません。
景色は冬から春にかけては、あけぼのと早朝が美しい、夏から秋にかけては夜と夕暮れが美しいようです。陽が上がる頃、そして陽の沈む頃は美しいのです。私たちは太陽とともに生きていて、美もそこにあるんだな、と思います。Simple English で簡単な英語に翻訳されて気づくこともあります。
万葉集の大伴家持以来、春は花、秋は月、冬は雪という日本の美「雪月花」に対抗して、清少納言は新しい美を付け加えようとした、とも思いました。夏には月がないほうがいいとも言います。常識を違った角度で見るような奇知、反骨の人だったのかもしれません。
クーラーもなければストーブもない中での季節の移り変わりは、もっと身体や心に影響したと思われます。とくに京都は夏暑く冬寒いので有名です。音も光も明かりも少なかったでしょう。そしてゆっくりと時間が流れていたでしょう。
私たちはいつのまにか、この句に影響されて春のあけぼの、夏の夜、秋の夕暮れ、冬の早朝は美しいと思っているのかもしれません。どの季節でも、さらに海外でも、夜明けや夕暮れは美しい。それらは普遍的な美です。それを清少納言は、京都の季節の移ろいの中での、さらに一瞬の美をとらえたのです。そして清少納言の見つけた美は、1000年後の私たちの心に生きているようです。
付け加えて日本の美としては雪月風花もあるようです(wikipediaから)。夏として風が付け加わります。夏風もいいですね。俳句の季語だと、初夏の風、薫風、涼風、黒南風、白南風など多彩です。とくに五月の薫風はいいですね。
さらに加えると、MageでAI画像生成しようとしたのですが、Mageだと日本の美しい景色、重なる山々と湿度の高い霞む空が生成できず、手持ちの写真にしました。日本の美にも特殊性があると思いました。