自分のアラは見えにくい
大好きな銭湯。
ここでもわたしの逡巡は止まりません。
入浴前に髪や体の汚れを落とす為の洗い場でもそう。
このシャワーを選べば、隣に人はいないし迷惑にならないかな。
シャンプーは右側にあるやつを使えばいいのかな。いや、向こうの人は左側のを使っている。じゃあ左側のやつを使おうかな。
とか。
わたしは、怒られるのが滅法苦手なので
(人から注意を受けるのは、最上級の動揺をもたらすから)
なるべく人の逆鱗に触れないように、
透明人間のような、
植物のような、
空気のような、
いるようないないような、
そんな存在でありたいのです。
ある日のこと。
なるべく一生懸命気を付けて人の迷惑にならないようにシャワーで髪を洗っていたわたし。
洗い場で、どなたかの怒号が響き渡りました。
「すいません!
シャワーがこっちに
丸当たりなんですけど!」
わたしに言ってるのか?
とビクッとして、慌てて声の主を探しました。
たぶんわたしの後ろにいる人が言ったのだろう、と見当はつきましたが、つい先ほどまで髪を洗う為に顔を伏せていた為に初動が遅れ、確信が持てません。
わからん。
わからんが、わたしに言った可能性が高いだろう。
と思い、とりあえず
「ごめんなさい!」と謝りました。
わたしの謝罪についてのコメントは返ってこず、周りの方々がわたしに対してちょっと憐れみの目を向けただけでその場は収まりました。
(あんな言い方しなくてもいいじゃないねぇ…)
と、近くのおば様が目で伝えてくださる。
ありがたい。
会釈を返す。
その後、更に細心の注意を払って髪を洗い終えたわたしは、次に体を洗い始めました。
その時。
わたしに注意をしたと思しき方が、ミストシャワーで顔を洗い始めたのです。
なぜ分かったかと言うと、
シャワーが
こっちに
丸当たりだったから。
さっきわたしに目配せしてくれた方にも同じくその方の発した飛沫が降り注いでいたらしく、わたしたちはまた目を見合わせて苦笑しました。
あなたのシャワーも、人に迷惑かけてますよ!
(言わないけど)
電車の中でもこういうこと、あるなぁと思い至りました。
劇的に邪魔なポジション取りをしている人が、誰かにぶつかられる度にそちらを睨んでいる
みたいなこと。
人に迷惑をかけられることについては非常に敏感だけど、そもそも自分も人に迷惑をかけていることについては鈍感、ということ。
わたしも、わたしなりに出来る限り気を付けて洗髪しているつもりでしたが、シャワーの圧が強すぎた、あるいはシャワーの角度などに配慮が行き届いていなかったのかもしれません。
とりあえずもう怒られるのは嫌なので、他の方を観察するなどして洗髪方法についての見識を深めたいと思います。
何ジロジロ見てんのよ!って怒られないように気を付けながら。
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