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【医師エッセイ】 児童精神科医 医師の失言2024
■当直だからこそバッタリ会える人
日勤が終わり当直に入るころのスキマ時間。夕食のお供にコンビニへと行きます。この時間になると、いつも行くコンビニでは賞味期限切れ間近の商品に値引きシールが貼ってあるので、自分の食べたいものを食べるのか、値引きシールのものを優先するのか悩ましいところです。
院内のルールで当直は50歳から免除となるので、51歳の私は当直者の中では年長者です。年長者がコンビニの商品の前で腕組みしていたら、私の世代であれば年長者が選び終わるまでじっと待っているのが常識でした。しかし、今は違います。何も言わずに脇からすっと手を伸ばして、商品を取っていくのが当たり前だからです。
(あっ値引きシールの焼きうどんとられた。ヤバイ。食事のメニュー考え直さないと)
心の中でそう思い、慌てて他の商品に目を移す……なんてことは日常茶飯事です。結局その日は、値引きシールに献立を決められて、サンドイッチとカツカレーを買いました。
当直時間になるこのコンビニでまず、私は気持ちを切り替えます。そして当直中の行動は救急外来によって左右されるものです。大体患者さんは23時を過ぎると数が少なくなります。だから当直医師の行動も似たり寄ったりです。医局、救急外来、廊下でなじみの顔とバッタリ会うということはザラです。
それが2024年、小児科当直がなくなりました。もともと小児科当直は人件費などを考えれば不採算ですから仕方がありません。いつもならできていた当直中の会話ができなくなり、会うことも話をすることもめっきり減ってしまいました。
■家でバッタリ会う息子との会話
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