【実験】イタリア人はいつも絶好調なのか?
日本に住んでいた頃には一切聞かれず、イタリアではしょっちゅう聞かれることが2つある(もしかしたらそれ以上あるかもしれないが、今でも「あっ、またか」と思うのは2つだ)。
1つは宗教、もう1つは、「come stai/come sta?」、つまり"How are you?"である。
日本では、友達同士でも、取引先との会話でも、「調子どう?」とか「ご機嫌いかが?」なんて言い合った覚えはなかった。少なくとも私が日本に住んでいた15年以上前、30歳頃まではなかったと記憶している。
それがイタリアに来るやいなや、毎日何度も連絡を取り合うような取引先でも、毎日凝りもなくその質問をするのだ。
複雑な持病でもない限り、毎日劇的に体調など変化しないと思うし、例えばクレーム処理でガッツガツ喧嘩している時に平気な声色で「ご機嫌いかが?」と聞かれると、余計にキレそうになるが、そこは一瞬堪えて、無視し、本題に入る場合もある(無視するのは「ワタシ」だけだと思う…苦笑)。そしてどんなに具合が悪くても、たとえば足を骨折しようが、家に泥棒が入ろうが、身内が亡くなろうが、返ってくる言葉は一緒、「bene(もしくはbenissimo)」、つまり"いいよ(絶好調だよ)"である。
そういう状況が数年続いたある時、持病の片頭痛とストレスで絶不調の日が続いた。それで、いつも通り、「シマ子さん、ご機嫌いかが?」と聞かれた後に、「male, male, malissimo(絶不調もいいとこです)」と答えてみることにした。
私という人は実に素直で好奇心が旺盛なのだ😂
そんなこと誰も言わないだろうから、どんな反応が返ってくるか見てみたかったのだ。
いつも通り、ナポリの某社①に電話をする。
当時は運悪くナポリに取引先が多く(ナポリ人は凄く真面目か、すごく適当で嘘つきかどちらかで、最初の数ヶ月はなかなか見分けがつきにくく、当時は後者の取引先ばかりとやり取りをしていた)、某社①の次は某社②、その次はトスカーナの某社Aで次はベネトの某社B、ミラノに2社電話してまたナポリの某社③、という具合で、ナポリの方言までわかるくらい彼らと話していた。メールだと余計に誤魔化されるので、敢えて抜き打ちで畳み掛けるように電話していた。
そういう経緯もあり、実験として、某社①と②、そしてミラノの風変わりな一社に試してみることにしたわけだ。
【反応】
某社①
メーカー「Buongiorno Sig.ra Shimako, come sta?(シマ子さん、おはようございます、ご機嫌いかがですか?)」
私(キターーーーーーッ)「Buongiorno Sig.S, male, male, malissimo(おはようございます、Sさん、絶不調もいいとこです)」
メーカー「----------(20秒くらい沈黙、少し裏返った声で)Be,bene----------(しばし沈黙)Dunque(え~っと)---」
実験成功度★★★★
某社②
メーカー「Buongiorno Shimako, come sta, tutto bene?(シマ子さん、おはよう、かわりないですか?)」
私(しめしめ)「Buongiorno Sig.ra R, male, male, malissimo(おはようございます、Rさん、絶不調もいいとこです)」
メーカー「Ah, ma caspita(あら、なんてことでしょう)----------(20秒くらい沈黙)A proposito(えーっと)---」
実験成功度★★★
ミラノの某社
メーカー「Ciao Shimako, come stai, tutto bene?(シマ子、おはよう、どう、かわりない?)」
私(いいぞっ)「Buongiorno M, male, male, malissimo(おはよう、Mさん、絶不調もいいとこよ)」
メーカー「Ma come mai? Cos'è successo?(えっ、どうしたの?何かあったの?)」
実験成功度★
というわけで、ナポリでは飽くまでも挨拶として、建前として「お元気?」と言っているだけで、別に相手の状況などには興味はなく、ミラノでは、勿論挨拶でもあるけれど、もっと親身で、言葉としてきちんとして捕らえ、反応する傾向にあるのかな、という結果を導き出した。
勿論、人にもよるし、ミラノには他の州から出てきている人も多数いるので、ひとくくりにはできないが、南の町の人よりも通じ合える部分はあると思う。