東京ヘテロトピア "場”と”時”をつなぐスマートたち④
こんにちは。
本日、ご紹介させて頂くのは「演劇」の真意を追求すべく、都市を使い社会と演劇を接続していく創作活動を展開されている、高山明さんを中心とした創作ユニットPort Bさんです。
Port Bさんの活動はどれも魅力的なものばかりなのですが、その中から本日お話させて頂きたいのは、「東京ヘテロトピア」です。
*個人的には「マクドナルドラジオ大学」もすごく好みなのですが、今回は割愛させて頂きます。気になる方はこちらに美術手帖さんで取り上げられた記事のURLを添付しておきますので、読んでみて下さい!
*スマートって?と定義が気になる方はこちらへ。
まえがき
皆さんは通勤・通学などでまちへ向かう時/まちなかを歩いている時、イヤホンやヘッドホンをしていますか?
ワイヤレス仕様の物も今ではかなりの発展と遂げ、街中を歩いていてヘッドホンやイヤホンをしている人を見ない日はありません。Spotify等のサブスクサービスの台頭もあり、音楽が自由かつより手軽に手に入ります。
また、一方でRadiko(ラジコ)などのアプリでもあるように、放送局から電波を流しサウンドを提供するクラシックなスタイルも一定数の支持を今なお得ております。
本日ご紹介させて頂く東京へトロトピアは、そんな現代の人々の都市の生活に上手く焦点を合わせつつ、でも人々の目からは見えないようになってしまっていた”場”の側面をラジオの技術を使って伝えていくものになります。
東京ヘテロトピア
東京ヘテロトピアはヘテロトピアシリーズの先駆けのプロジェクトです。
ヘテロトピアは英語で 'heterotopia' と表記し、heteroと辞書で検索すると、heterosexualityの略意としてCambridge dictionaryでも出てきますが、本来はother (他・別・異)の意として接頭辞(単一の語句に掛け合わせることによって意を成す語)で、 topia は楽園や場を示す語句です。どちらもギリシア語からきているもので、ヘテロトピアはユートピア(存在しない理想郷)と対義的に使用されることの多い語句です。
ネーミングが絶妙だな。と個人的に感銘を受けていたので、タイトルの解説を書かせて頂きましたが、つまり ヘテロトピア とは同一空間の中に存在し、異を放つ空間と私は解釈しています。
(まちにある森林や神社、劇場やメイドカフェ等、それらはまちを構成する1要素でありながら、他とは違うことを如実に醸し出しています。)
つまり、東京ヘテロトピアとは多くの人(マジョリティ)が見落としている東京のまちをマイノリティたち(が見ている視点から周波数の技術を用いて伝えていくプラットフォームです。
東京都内の指定された13か所に行き、指定の周波数に合わせると、その場所にまつわるマイノリティの物語が聞こえてくるもので、多くの物語は日本語を母国語とはしない人たちによって生み出され、日本の詩人・小説家(管啓次郎、小野正嗣、温又柔、木村友祐)が書き下ろしています。
私はこのプログラム自体は参加できていないのですが、高山明さんの講演を受講させて頂いた際のとあるエピソードが今も頭に残っております。
それは、東京都内の工事現場で働く外国人の方が東京の土を見て、過去に大きな火災があったことを汲み取り、それを高山さんにお話した。というエピソードで、彼らは日本史を勉強していないが、土を見て関東大震災の片鱗を感じることができる。
土に関する知識やあれば分かることなのかもしれないが、どのような知識・バックグラウンドを持つ人がその景色を見ているのかによって、その場所に対する感情が変わる。ことを示す事例で、東京ヘテロトピアは知的探求心への刺激・インクルージョンの意等を浮き彫りにしてくれるプラットフォームです。
こちらに付属のガイドブックのコンテンツを一部紹介してくれているサイトのURLを添付しておきますので、是非ご覧になって下さい!
あとがき
いかがでしたでしょうか?
スマートデバイスって何?と困惑された方もいらっしゃるかもしれませんが、通信技術がそこに伴っていればそれはスマートだと私は思っております。
つまり、実体的/非実体的な姿・形から最新技術感を出している必要はない。ということ。
都市計画的な視点でお話すると、これはマイノリティの方たちのストーリーをどう伝えていくか(彼らを正面から認知し共感し受け入れるため)ということの大切さを表してくれているように思います。ゲーム性の要素も入口として、大きな鍵ですね。
高山明さんの考えはとても面白くてたくさんのメモを取ったのですが、違和感(=ミステリー、不具合、ぎこちなさ)を楽しむ。という言葉と、いきすぎたシンボル化による思考停止に対する警鐘。の話はとても納得させられるものでした。
Port Bの公式WebとInstagramのURLはこちらに!
2021年に本を出されたみたいなので、是非読んでみて下さい!
(私も帰国したら買って読もうと思います。)
場と音に関する記事を過去に書いたので、興味がある方は是非こちらも読んでみて下さい。
本日もありがとうございました!