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Dance Locale ”場”と”時”をつなぐスマートたち➄

こんにちは。
本日ピックアップさせて頂くのは、Storyboxと同じオーストラリアのシドニーで行われたDance Localeになります。

Dance Localeはシドニーが所属するニューサウスウェールズ州の都市計画部門(NSW Department of Planning, Industry and Environment)と Sydney Dance Companyによるコラボレーションによって行われた創作フィルムです。

このコラボはThe NSW Festival of Placeというプロジェットの一つのプログラムとして行われております。

*スマートって何?と定義が気になる方はこちらへ。
 
読むのがめんどくさい!という人は映像だけでも見て下さい。圧巻の映像美と身体的表現が織りなすアートはかなり見応えがあります。

The NSW Festival of Place 


こちらのプロジェクトの始まりはコロナに対する措置としてロックダウンにあります。
ウイルスのまん延により、人々が建物外や一定の距離以上は身動きが取れない状況となり、特にオーストラリアが厳しい措置を行った国の一つでした。
この措置によって、その価値が見直されることとなったのが”場”の意味であり、”公共空間”の存在意義でした。
コロナが私たちにその土地土地にある公共空間の持つ価値や、培われてきた”場”と”文化”への謝意を表現するため、企画されたプロジェクトです。
*私の意訳かつ簡略化してます。なので、英文も載せます。

“It’s been an unusual year and this is not your usual kind of festival – it's a chance for us to build on the new perspectives the pandemic has brought to our local public spaces, which we have come to appreciate and value more than ever this year… The Festival of Place kicks off a year-round celebration today to inspire us all to enjoy our public spaces and generate ideas for how we can feel good about the places where we live, work, learn and play.”

NSW Department of Planning, Industry and Environment 発表文から引用。(一部)


Dance Locale


The NSW Festival of Place の看板プロジェクトとして行われたのが、 Dance Locale です。
ローンチは発表文と同じ2020/10/8に行われ、Sydney Dance Companyに所属するアートディレクターのRafael BonachelaさんとフィルムメーカーのPedro Greigさんによって場所のキュレーションが行われ、5つの場所をピックアップし、場所が持つ美しさや多様性、空間と社会の本質的な相互的関係の表現にフォーカスし、ダンスパフォーマンスが行われました。

スローガンの ”the place where you live" が端的でこのコンセプトにはまっていてきれいですね。

① Parklands

Parklandsは、Western Sydney Parklands(ウエスタン・シドニー・パークランズ)というシドニーの中心地から約40kmほど離れた位置にある5,280ヘクタールを要する公園(オーストラリア1大きい都市公園)です。

私の感想ですが、ヒトが生物として生き抗ってきたバックボーンを感じたように思います。

② Riverlands

Riverlandsは、Sydney Olympic Park という中心地から13kmほどの場所に位置し、Storyboxの舞台となった City of Parramatta に管轄されている街区の1つです。Sydney Dance Company は、この20年ほど前にオリンピックによって(再)開発された街区をシドニーの縮図(microcosm)と表現しています。

個人的には、序盤の駐車場のパートにぐっとくるものがありました。
場所の選択・ダンスの振り付け・全体としての踊るタイミング、ここにある種支配されている社会の中で取り繕って見せている多様性を感じました。
*少々批判的レビューですが、あくまで個人的感想なので・・・

③ Coast

こちらに関しては、明確な位置は記載されていないのですが、恐らく「Maroubra to Malabar Coastal Walk」のルート内だと思います。
*もし、ここだよ!というのが分かる方がいらっしゃったら、是非教えてください。
ここでは、新しい時(時間・日・歴史)が来ることやランドスケープの美しさにフォーカスしたと書かれております。

都市計画に関わるものとしては、映像が段々引きになって今のリアルを見させられる感じが印象深く残りましたが、説明の通り、美しさが全面に映し出されております。
後は、夜明けに一方向を向いている様がなんだか儀式的に思えました。

④ Harbour

ここは、オーストラリアとあまり縁のない人でも分かるのではないでしょうか?
オーストラリアといえば!?という紹介のたぐいでよく使われる場所の一つ、オペラハウスからダーリング・ハーバー、シドニー国際会議場など近代的な場所にフォーカスしてつくられております。現代建築の持つエネルギーを表現したフィルムです。

②番目のときにも表現されていましたが、ダンスの延長にあるパルクールをすごく意識させられた映像でした。後は音楽もあるのか、何かと戦っている感覚を感じましたね。

⑤ Wagga Wagga

Wagga Wagga は 首都キャンベラに近い(*シドニーよりは)都市です。
Wagga Wagga は ニューサウスウェールズの中心地及びその周辺領域で暮らしていたとされる先住民 ウランジュリ(the Wiradjuri)の方々の言語による言葉で "a place to dance" を意味します。
*オーストラリアでは、その土地土地の先住民の方たちの言語を用いた言葉をまちの名称にしていく流れが近年あります。そこには大きな意味を持っていると私は思っております。

このフィルムは ”a place of dance and celebration” の真意を最終章として描いたとされています。
(どうしても言語的にうまく訳せませんでした。)
ですが、体感としてはその片鱗を十分に感じ取れる作品です。
(事前知識をどれだけ持っているかにかなり左右される作品でもあります。)

私的解釈ですが、最初の舞台はbon fire(焚火)を表現しており、その後の場面では川沿いでの生活・本流と支流が交わることの意味等が表現されているように思います。
私の勉強不足なのですが、すべての自然物・そしてそれらによって生み出される現象にそれぞれ意味を持たせているのが先住民の方々(ここは詳細化せず総称として)の特徴の1つです。日本でいう神教に少し近しいものがある気もします。

火や火を囲うこと、水と土・淡水と海水・本流と支流のそれぞれが交わること、そういったものやことにそれぞれ名前がつけられ、大切にされておりました。
全体を通して自然が出てこないことはないですが、一番ルーツの部分が如実に描かれていたと思います。


あとがき

今回はいかがでしたか?
ある意味コロナかでないと映像化の難しいものであり、とても貴重で素晴らしいプロジェクトでありプログラムだな。と思いました。

Pedroさんは、ランドスケープにある幾何学パターンは初期段階におけるアプローチに大きな影響を与えた・・・パフォーマーと共に(場/空間を)探索し反応することで表現(choreography)を洗練していった。とコメントされております。

この言葉に、それぞれの場の設計を担当した建築家やランドスケープアーキテストが返答するような、オープンセミナーがあったら、受けたいな。思う掘りがいのある言葉です。(マニアックですよね・・・)

英語ですが、気になる方はそれぞれのURLから覗いてみて下さい!

Sydney Dance Company
Dance Locale
The Uluru Statement
ウルルステートメントは先住民(The First Nations)の立場を初めて公の場に示された重要なステートメントです。*日本語もあります。

本日もお付き合い下さり、ありがとうございました。


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