マガジンのカバー画像

ポエム・その他

15
運営しているクリエイター

記事一覧

【詩】陽光のカケラ

陽光のカケラ
硝子瓶に閉じ込めた

振ると 微かに
音がする

小さな小さな結晶みたいに
しゃらしゃらしゃら

お守りにしていこう
この先もずっと
光を見失わないように

その先にあるのは
果てなき 暗闇

アリスを追って

こぼれていく かけらに
意味があるのか、あったのか

そんなこと

どうでもよかった
どうだってよかった

「意味」に意味なんてなくて
あの子はただ理由が欲しかっただけだ

空洞化していく言葉じゃ軽すぎて
何も繋ぎ止められやしない

【ポエム】溶け残る

今日も、よくがんばった

そんなことを思う間もなく
気がついたら眠っていて
どろどろのまま目が覚めて
溶けかけのまま1日を過ごして

今日もまだ「私」の形は残ってる

【ポエム】眩惑

あたしが あなたに眩んでいる間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

あなたの残像に恋する間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

その姿も声も、幻で、不確かで
何にも触れない この指先が
あなたの背中をかする時

あなたは ただの瓦礫になるのだわ

【ポエム】白き月の光

月が夜だけのものだと
誰が決めた?

闇に生きるものたちが眠りにつき
陽の下で生きるものたちが目覚める前

暁の空の色は
消えていく月の光は

今だけは確かに
私たちに降り注ぐ

青天のヘキレキ エピグラフ

水の音がする
私の鼻先で
私の耳元で
私のえらの横で
私の首筋で
私の腹の下で
私の尾を包み
私を取り囲むすべて

平穏の音がする
私の鼻先で
私の耳元で
私のえらの横で
私の首筋で
私の腹の下で
私の尾を包み
私を取り囲むすべて

悪意の音がする
私の遥か上 水の無い場所で

嘆きの音がする
私の遥か下 水の無い場所で

エブリスタで投稿した、オリジナル小説「青天のヘキレキ」のエピグラフです。

もっとみる

雨夜に祈る

さあ、耳を澄まして聞いてみて
窓の外、何の音が聞こえるかな?

そう、雨の音
今日は、雨の日のお友達のお話です

雨の夜
月明かり
眠れなくて目を覚ましちゃった

さあさあ しとしと
さあさあ しとしと ぽたっ ぽたっ
ひんやり ひんやり 聞こえてくるのは
密やかな ため息のような、雨の音

車の音も 風の音も 聞こえません
なあんにも聞こえません
雨の音が すべてかき消してしまうから

まんまる

もっとみる

【ポエム】心の底で

約束したんだ
あの日の僕と

何度、空を見上げたって
何度、地に臥したって
何度、忘れてしまったって
何度、足が止まったって
何度、この手が動かなくなったって

思い出してしまったんだ、だから
始めよう、ここから

他の誰でもなく
ただ、僕のためだけに

【ポエム】夢物語

消えていく

寝物語も
夢物語も
全部全部

母さんがくれたわくわくも
貴方がくれたどきどきも
無かったことになっていく

だからまた語ってよ
私のそばで
私の隣で

私が眠るその時まで

【ポエム】トンネル

ずっと一緒に
永遠に
果てなきトンネルに終わりはなくて
いつまで歩けば赦される?

トンネルごと壊してしまおう
限りを、区切りを、終止符を
もうこれ以上、歩かなくてもいいんだよ

喜びたまえ
後続よ
ここがトンネルの最奥だ

【日記】2019.2.12 誕生

目覚めとともに感じた痛み
間隔をあけてもう一度、もう一度
弱い痛みが波のように

あぁそうか、ついにあなたは出てくるのね
この温かい揺りかごから

遠のくことはなかれど
強まりもしない痛み
考えあぐねているの?
今出るべきか出ないべきか
もう少し、明るくなるまで待とうか

4時間後、ようやく再開したようで
痛みはどんどん強まって
間隔もどんどん短くなって

体から溢れる血と痛み
でも大丈夫
耐えら

もっとみる

【ポエム】止まり木

自由を求め、それに応える翼を得た
けれど、空は果てなく広い
ひろい空に、ひとりきり

空を渡り続けることに疲れたら
止まり木でひとやすみしよう

私を地面につなぎとめる鎖ではなく
自由に飛び立つことのできる止まり木

そんな止まり木がたくさんあったら
もう、孤独な空も怖くはない

【ポエム】アイスカラー

とん、とん、た、た
そこかしこで、しずくの音

き、ぱき、ぱきっ
地面からは、氷の音

公園の遊具に、家々の屋根に
ほのかに雪が舞った朝

空はアイスカラーに塗られていた

しんとして、きんとした
蒼い朝

薄雲の向こうの朝日の熱は
雪どけの音を生む

【ポエム】朝の月

静謐の空に在る 白の月
朝を迎えてなお 彼女はそこに居る

夜 彼女を取り巻く星々が
すべてを照らす星の輝きに
消されて見えなくなってしまっても
雲のあいだ その蒼天に
彼女は在る

闇夜の黄金の輝きはなく
ただ 白く白く
冬に舞う羽根と 同じ色で