マガジンのカバー画像

わたしのおきにいり

9
運営しているクリエイター

#日記

祖父

祖父

「最初はグー」を初めてわたしに
教えてくれたのは、祖父だった。

初孫のわたしを誰よりも可愛がってくれて、
誰よりも遊んでくれた。

わたしのいちばん遠い記憶、たしか3歳頃。

いつも一緒にお風呂に入って、
白いタオルを湯船に浮かべてクラゲを作ってくれたのを、よく覚えている。
古い団地、風呂場のコンクリート壁に少しカビが生えていて、その独特の匂いが好きだった。
お風呂上がりには、アンパンマンのアイ

もっとみる
手

わたしの娘はまだ1歳3ヶ月なのに、もう4度目の風邪を引いている。5度目かもしれないが、忘れてしまった。

えくぼの浮いたもみじ饅頭のような手で、目を閉じたままわたしを一生懸命に探すのがとても可愛らしい。熱を出して寝込んでいる相手に「可愛らしい」は不謹慎かもしれないけれど、可愛らしいのだ。本当に。

まだおしゃぶりの外れない娘を眺めながら、わたしも幼い頃おしゃぶりがやめられなかったという話を、母親か

もっとみる
見えない愛ほど伝わるもので。

見えない愛ほど伝わるもので。

私の親友は、ちょっと変わっている。

落ち着きがなくて、ギターの音が嫌い。

よくひとりで鼻歌を歌っている。
夜だろうが、お構いなしだ。

執筆中の私に、
何度も「遊んで」とせがむような迷惑な奴で、
機嫌が悪い時は、邪魔だと思うこともある。

でも、愛おしい親友なのだ。

ベランダから差す太陽の暖かさを身に纏って、
私のカーディガンをブランケット代わりに、
気持ちよさそうに昼寝をする。

恋人と抱

もっとみる
ストロベリーウィークとフレンチトースト

ストロベリーウィークとフレンチトースト

ふと、食パンを買ったことを思い出した。
卵と牛乳、たくさんの砂糖があればいいので楽だ。

私がふやかしたドッグフードを食べていた小さな飼い犬は、
いつの間にか、1歳を越して体が大きくなっていたし、
冷凍ボロネーゼにツナを入れて食べることしかできなかった私は、
いつの間にか、フレンチトーストを作れるようになっていた。

ストロベリーウィーク。世間ではそう呼ぶらしい。

私のストロベリーウィークは名前

もっとみる