「イタリア全20州、マンマを訪ねて3000里」マンスリーレポートVol.13(2023年1月)
みなさま、チャオです!
さて、新年もあっという間に1ヶ月経ちましたね。
「イタリア全20州、マンマを訪ねて3000里」、今月は新たに2州のマンマを訪ねることができました。
また、大学では書かれていない料理史を辿る「イタリア農民料理のオーラル・ヒストリー」を研究していますが、おばあちゃんを訪ね、昔の農民の料理を習い、ますますイタリア料理の理解が深まりつつあります。
そんな様子をお伝えします!
今月のレポート:ヴェネト州(No.13)
13州目は、イタリア北東部ヴェネト州へ!
今回は、また一段と深い旅でした。
何が深いかというと、マンマの料理の一皿の奥にそれぞれ「Vita(生活・人生)」がありありと存在するからです。
例えば「Salsa pearà」。
これはVerona周辺の特有のソース。古くなったパンを擦り、お肉と野菜をひたすら長い時間茹でるボリートのブロードと沢山の胡椒を混ぜ、弱火で長い時間をかけて作ります。
ボリートのお肉は良い部位ではなく、家畜を屠殺する農民が余り物を腸詰にしたコテキーノやリングア(舌)など。
寒い冬、薪ストーブで部屋を暖めながら、ストーブの上の鍋も温める。
子供たちが古くなったパンを擦り、ソースを作る。
お肉も野菜もホロホロになった頃に、みんなが食卓に付く。
盛り付けの最後にたっぷりのペアラ・ソースをのせて、日曜日のランチを頂けば、心も体も温まるうちに、日曜日の午後が過ぎていく。
そんな情景がここにあるのです。
他にも様々な見たことのない料理を見せて頂きました。
クレープのブロード
古パンのタルト
郷土サラミTastasalのリゾット
などなど。
古くなったパンが色んなレシピに登場したり、暖炉の火を使って長い時間煮込む料理が多かったり。
食材やエネルギーや時間を無駄なく使って美味しい料理を作る、マンマの知恵がたくさん詰まった料理の数々は宝物です。
今月のレポート②:ウンブリア州(No.14)
第14州めばウンブリア州へ!
イタリアのど真ん中、「緑の心臓」といわれるウンブリア州。
そんな土地の家庭料理とは。
これぞ、文化の交差点。
エミリア・ロマーニャのパスタ、トスカーナのパンやビスコッティ、マルケの鶏料理、ラツィオの肉料理など、接する州の料理が少しずつ形を変えながら混ざって、ウンブリアの食卓に上がってきます。
例えば、マンマが作ってくれたラグー。
ウンブリア州で「ラグー」というと、挽き肉と塊肉を混ぜるのです。
まるでラグー・ボロネーゼとラグー・ナポレターノの合いの子のよう。
両方の良さが出るので、結果とても美味しいです。
私の尊敬するイタリア料理史の教授がいうように、この世界には純な文化は一つもないのですが、ここまであらゆる州の影響がぎゅっと取り込まれた食文化もまたレアです。
文化の交差点を背負った土地の宿命ですね。
他にも、
ペルージャ風レバーペースト
鳩の煮込みや
ゴッビという郷土野菜のパルミジャーナ
などなど。
イタリア農民料理を訪ねて三万里@Poggetto, Bologna
ボローニャ大学の研究では、文字として歴史に残らない庶民料理を、家庭を訪ね、一緒に料理をし、オーラルヒストリーで解き明かしていきます。
内容詳細はこちら。
今回は、ボローニャ郊外の92歳のおばあちゃん宅を訪ね、農民料理を習いました。
自分たちが育てたものだけで生きる農民たち。そんな彼女たちの知恵が生み出す料理は、シンプルで本当に美味しく、何よりも温かい。
ディープな料理「Mariconda」を教えて頂きました。
論文にも一層力が入ります!
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