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綿矢りささん著 女性同士の恋愛を描いた長編小説


個人的感想:★★★★☆


あらすじ:

【第26回島清恋愛文学賞受賞作】
 「私たちは、友達じゃない」25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣(あい)は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏(さいか)に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。
 東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――。
 綿矢りさ堂々の新境地! 女性同士の鮮烈なる恋愛小説。

引用元:Amazon『生きのみ生のままで』商品ページ


感想:

 綿矢りささんによる女性同士の恋愛を描いたこの物語が発売されると知って、発売日を待ちに待って購入しました。今でも作中の2人に会いたくなって、たまに読み返してはその世界に没頭する大好きな作品です。

上下巻に分かれているぐらいの長編ですが、そんな長編がとても心地がいい。
こんなにも長い間、2人の物語に没頭というか入り切れることが嬉しくて。

 同性愛を題材にした長編小説を探すのは一苦労。さらに同性愛のなかでも、女性同士となると余計に作品は限られてしまい、ずっととても寂しい思いを抱いていました。そんななか、綿矢りささんによるこの作品が発売されると知ったとき、その瞬間に安心感に近い感情を抱いたのを覚えています。

うまく表現できないけれど、発売されて書店で目にしたときに謎の安堵感(関係者でもないのに、いったい誰なんだって感じですが)を抱いたことを今でも覚えています。

 丁寧に描かれる2人の気持ちや、繊細な描写に引き込まれるうちに読み進めていたら、上下巻そのまま読み終わってしまった……っていうぐらいの没頭感でした。

登場人物が、本当に今もどこかに生きているのではないかと感じるほどにリアル。私自身、有楽町駅付近の飲み屋さんを通過する際などには、探してしまうほど。実際にいたらあんな感じなのかな、と妄想を膨らませながら、登場人物を現実世界で探してしまう不思議な体験をしてしまいます。そして現実のどこかにも、2人のような人たちがいてほしいな、なんて願ってしまうそんな素敵なお話でした。


 ぜひ作品を読んでほしいので詳細には書きませんが、ふと二人に会いたくなって本棚から上下巻を抜き出しては読み耽ってしまう、そんな作品です。

読むかどうか迷っている方は、ぜひ!




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