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#229-1【虎に翼語り】第1週(1) 「はて?」沙莉寅子爆誕!

今日もお読みくださってありがとうございます!

今日は寒かったですね!
半袖で出て羽織を忘れてしまい一日寒かったです。
実は先週も同じことをやらかしてユニクロでカーディガンを購入したところだったので今日は我慢しました。
あな愚かなり。


【虎に翼語り】開幕!

NHKオンデマンド会員になり、いよいよ虎に翼の第一回からの視聴を始めました。

ひゃっほうそいつあすてきにゆかいだ!

ちびまる子ちゃん2巻その11『まるちゃんの町は大洪水』の巻より引用

ということで、我が屋では絶賛トラつば祭り開催中でございます。

タイトル画像は、明治大学博物館で開催中の「虎に翼展」で展示されていた伊藤沙莉さん(たぶん直筆)の寅子イラストです。かわいい。

明治大学博物館の『虎に翼展』
衣装やセット、実際の明治大学女子部の制帽なども見られます。

ということでまずは、第1週(第1回から第5回)について、感じたことをネタバレありで書いていきたいと思……っていたのですが、初回で肩に力が入りまくっていて超長くなってしまったので1回ずつに分けることにしました。
第2週以降はたぶんもう少し力が抜けて短くなっていくと思います。
最後までやれるかなあ、やれるといいなあ。

第1週 The 1st stage "vs Mother Haru"

第1週タイトルは、「女賢しくて牛売り損なう?」。

女賢しくて牛売りそこなう 慣用句
女は、利口のようでも大局を見通す力が無く、目先の欲にとらわれて、かえって事を仕損じるというたとえ。
【初出】浄瑠璃・出世景清(1685)

小学館 精選版 日本国語大辞典

トラつばの各週のタイトルは最終週を除き「女」が入っている古いことわざに「?」をつけたもの(最終週は「虎に翼」)です。
そうやって旧来の価値観の鼻を明かしていくのが小気味良いです。

第1週は、物語全体のプロローグ + 1面ボス(母・はる)を倒すまでの冒険です。旧式の価値観の社会を描きながらも、おかしみと愛嬌たっぷりに物語を勢いよく起動させる展開が見事。

オープニング

物語は、川(おそらく多摩川)に一艘の笹船が流れていく映像から始まります。最終回で寅子(伊藤沙莉)が法律を船に例えて話す場面につながっているのでしょう。

時は終戦後、日本国憲法が公布された新聞記事、特に14条を寅子が河原で読んで涙しています。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法 (shugiin.go.jp)

この物語はほんとうに第14条を大事にしている。
どなたかも書いていらっしゃったけれど、自分が日本国憲法を学んだ時には、少なくとも建前上では人間が平等であることなど当たり前だと思っていて、あまり重きを置いて学んだ印象がありませんでした。

第14条が大写しになった次のカットは、河原にたどり着いた笹船。川面に陽光が光り輝いています。

うちのテレビではうまく撮れなかった……

小さくてはかない笹船と呼応しているのは、戦後法曹の世界でまだ何者でもない寅子にも思え、キラキラの陽光は日本国憲法がもたらした希望の光の最初の一筋に感じられます。

場面は変わって、寅子が荒廃した街を通って東京地裁に向かうシーン。街の荒廃ぶりがまるでRPGゲームのように現実感がなかったです。ファイナルファンタジー8でガーデン(傭兵養成学校)がこんなかんじにボロボロになる場面があったような……。

寅子は人事課を訪ね、事務室の奥まで進んでいきます。
そこにいたのは裁判官・桂場(松山ケンイチ)。

「虎に翼展」展示パネル

物のない時代らしく、驚くほどほっそい焼き芋を食べています。
鼻の頭にその焼き芋の皮がくっついているのはこれまた最終回で桂場翁の額に桜の花びらがついているのと呼応しているのでしょう。
最終回では寅子がこの花びらを取ってあげるのですが、さすがにこの時点では指摘することすらしません。
最終回観てからの1回目、最っ高!です!むふー

 

第1話 「はて?」沙莉寅子爆誕!

かくも胸アツなオープニングから一転、若くてかわいい寅子の仏頂面のアップから名作主題歌ムービーを経て、女学校卒業間近の寅子の見合いの場面に移ります。

機会があったらぜひ見てほしい、たった数秒の間に詰め込まれた仏頂面バリエーションの豊かさを!!
伊藤沙莉さんの演技力の高さよ……小鼻の使い方が本当に見事でねぇ……。
不満のときに小鼻がきゅーっとしぼみ、得意げのときにはふんっと広がる、小鼻の表現が本当に愛らしくて素晴らしい!

「俺にはわ・か・る☆」

兄・直道(上川周作)はいいキャラしてんなあ……。
わたしがリアタイしたときには直道は戦死後だったので、こんなにおもしろアニキだったとは知らなかった。
のっけから口ぐせ「俺にはわかる」を言っている。
家出して大阪の梅丸少女歌劇団(前作『ブギウギ』の舞台。こういう細やかなリンクにもリスペクトを感じます)に入ろうとした寅子を、優三(仲野太賀)と駆け落ちしようとした、と勘違いしています。すごいのは、この時は的外れなんだが後でちょっとだけ当たるというところ。

記念すべき初「はて」は……?

また、記念すべき寅子の初「はて」は、母はる(石田ゆり子)との下記のやりとりでした。

寅子「結婚した自分に全く胸が躍らない」
はる「くだらない!」
寅子「……へっ?」
はる「そんなふわふわした理由のために家族に迷惑をかけて。女学校まで行かせたのに情けない!」
寅子「はて……。女学校は勉学に励む場所でしょ?えっ、そこで得た知識を卒業後に生かしたいと思うのは、普通のことでは……。」

うむ。
「はて」でしかない。

この「はて」、あまちゃんの「じぇじぇじぇ」よろしくトラつばのキーワードになりましたね。
違和感を見ないふりしないために、思考を停止しないために大事な、象徴的な言葉選びが素晴らしいと思います。
これから何か疑問を感じる場面に出くわしたときに「はて」と言えば、「ああトラつばのアレね、何か疑問点ある?」と円滑なコミュニケーションを助けてくれること請け合いです。
でもこれ、脚本に「はて」って書いてあってもそれをどう表現するか役者さんはすごく難しいと思うのですよね、日常的に使う言葉ではないので。それをこれだけ真剣に、でも愛嬌をもって表現した伊藤さん、すごい(そればっかり)。

どーゆうナマイキなのよォ

第1話の終盤にかけては、母はるの「『はい』か『いいえ』でお答えなさい」や見合い相手の太一郎(オリラジ藤森)の「分をわきまえなさい、女のくせに生意気な」といういかにもな台詞が並びます。

いかにもだけど、現代の問題です。
ちびまる子ちゃんでは、同性のみぎわさんにまる子が「まるちゃんのくせにナマイキよ」と言われる場面がありました。

『ちびまる子ちゃん』3巻その19「丸尾君 3学期学級委員選挙いよいよ出馬」の巻から引用

この場面で怯まずに「どーゆうナマイキなのよォ」と怒れるまる子……なかなかこうは言えないですよね。実はすごい子だったんだ。

ごく最近でも、東京オリンピック組織委員会会長だった森喜朗元首相が、会議で「(女性は)わきまえて」と発言したことが原因で辞任したことがありましたね。

 第2回に続きます!

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