#246【劇評・絶賛】劇団四季『ゴースト&レディ』3回観てきたレポ(1/4)
今日もお読みくださってありがとうございます!
今日は劇団四季『ゴースト&レディ』を3回見ての感想を書きます!
略称は「ゴスレ」って言うそうです。りーちゃんに聞いて初めて知ったけど、確かに「ゴースト&レディ」って長いですものね。
くらたが観た3回ともフロー役が谷原さんだったので、真瀬フローでもっかい観たい。でも前予(前日予約)もまっったく取れないので、千穐楽かその前日の配信で観ようかと思っております。
1回目の感想はこちら。
原作読みたてで、原作との違いが気になってしまった、という内容。
でもでも、今回は、原作読んでからほどよく時間がたち、心の底から「劇団四季のゴースト&レディ」を楽しめた、ということを、4回にわたって書きます!
概観
あらすじ
あらすじは公式サイトから引用させていただきます。
実在した人物フロー(フローレンスナイチンゲール)の人生を、シアターゴーストのグレイという架空の人物とともに追っていく、女性の一代記かつファンタジーかつラブストーリー。
ナイチンゲールの人生を、今、舞台化する意味
「クリミアの天使」と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールを主人公にしたファンタジー。
原作は2015年に描かれた藤田和日郎さんの同名漫画です。
世界史というか……今現在も続く話ですね。
改めて、ロシアは何かの「保護」を理由にして他国に干渉して南下を、ずーっと繰り返しているんだなあ……。
2015年にこの物語を描いた藤田さんの先見性も、ウクライナ戦争が長期化する今この時にこの演目を初演したカンパニーもすごい。
パンフレットには、池上彰さんによるクリミア半島の歴史の解説記事が掲載されています。
パンフレットに池上解説かぁ……四季ってやっぱりすごいよね。
内容に関するあれこれ・前半(1幕目分)
「神が話しかけるのはいつも若い女」
神の啓示を受けたというフローの話にシアターゴーストのグレイがいう台詞が「神が話しかけるのはいつも若い女」です。
フローが天啓を受けたのは、劇団四季パンフレットによれば16歳。
15世紀フランスの軍人、ジャンヌ・ダルクを思い出しますね。
ジャンヌが神の声を聴いたのは13歳ごろ(Wikipediaより)。
今年2024年1月、劇団四季創立70周年を祝して、『ひばり』が自由劇場で上演され、観に行きました。ネットの四季ファンのサイトによれば、劇団四季は周年行事で10年おきに上演しているそうです。
ジャン・アヌイの戯曲を舞台化した『ひばり』は劇団四季が創生期から上演しているジャンヌ・ダルクを主人公とした会話劇です。
観に行くまで知らなくて、ミュージカルでないことに驚きました。
でも、まっすぐでひたむきで凄烈なジャンヌはとてもとても良かったです。
ナイチンゲールの新作を開幕させるこの年の初めに、劇団創生期から70年大切に演じ続けてきたジャンヌ・ダルクの演目を上演したのは、強い意志を感じます。
ゴスレとトラつば……この2作品が同時期に描かれた偶然
上流階級の娘フローは、看護師になることを家族から反対されています。
このゴスレ3回目を見たころ、ちょうどNHK朝ドラ『虎に翼』を頭から見直しているところでした。
ゴスレとトラつばには共通点があります。
『虎に翼』は2024年4月1日から放映が開始されました。
一方『ゴースト&レディ』は2024年5月6日開幕。
この、よく似た2作品が同時期に世の中に出たことは、おそらく偶然でしょう。
しかし、かたやNHKの朝ドラ、かたや日本で有数のミュージカルカンパニーが、打ち出した新作のテーマが期せずして類似であったことは、時代の気分とも言うべき、今こそ考えるべき問題であると、わたしは読み取りたい。
100年も200年も前の女性の物語が今、「現在の問題」としてとらえられる……この人類の歩みの遅さには驚愕しますが、せめてこれから大人になっていく若い人たちには、少しでもましな、より歩きやすい道を歩いてもらいたい。
そのために、わたしは語りたい。
お嬢ちゃんが親に「反抗」?
また、先日スレッズで、「現代欧米では日本に比べて『反抗期』がない」という言説を見ました。欧米では子どもの人格を認め一人の人間として扱うため、日本で言うような反抗期が起きない、との趣旨でした。
劇中の内容に沿えば、19世紀イギリスでは上流階級の娘はより良い家へ嫁ぐことが義務とされていたようすでしたので、欧米で子どもを一人の人間として扱うようになったのも、ここ1~2世紀の話なのでしょう。
おりしも、先日のライムスター宇多丸さんのアトロクで、『虎に翼』の脚本家・吉田恵里香さんが紹介していたオーストラリアのアニメ『ブルーイ』。
この作品の紹介の中で、子どもの人格を認め一人の人間として対等に扱う両親を描いていてとてもいい、という話がありました。
なんと明日10月26日(土曜日)から、テレビ東京で放映されるそうです。
ディズニープラスでも配信中、とのこと。くらたも見て見よーっと!
そういえば、くらたが大好きな絵本『エイドリアンはぜったいウソをついている』の主人公の母親も、主人公に対しての距離感がとっても良かった。
↓ 『エイドリアンはぜったいウソをついている』の話はこちら ↓
「女は感情的」問題
クリミアへ渡ったナイチンゲールたち看護婦の一行に軍人が「女は感情で動くから軍隊には邪魔だ、帰れ」と言います。
この件については、下記の記事内「『女は感情的』問題について書き尽くす!」の項で書き尽くしているのでここでは割愛します。
この局面では、グレイのアドバイスを得たフローが、
「うっかり買い込んでしまった食材を余らせるのはもったいないから、兵隊の皆さんにお料理を差し入れさせてくださいませんか?どうかお願いします!」
という演技で、"強か"に、軍隊に自分たちの存在を受け入れさせます。
世界一効く薬は
無事に戦地の病院に入り込むことができたフローたち一行。
食事の改善だけでなく、掃除に洗濯と衛生環境を改善します。
そこで甲斐甲斐しく働く彼女たちが歌うナンバーが、「世界一効く薬は」。
前2回見た時はまだ母の治療は序盤だったので、シスターたちが働き踊る姿に、『天使にラブソングを』に似てる楽しいシーンだな、くらいに思っていました。
でも今回、母の闘病後のわたしは、まともに食らってしまった。
泣くような雰囲気のシーンじゃないのに、号泣。
そう、そうだよね、わたしがやってきたことは間違ってなかった。
また、がんばろう。
また、コロナ禍に大病した伯父に何もしてあげられないまま、伯父が亡くなってしまったことも思い出されました。
あれがもしコロナ禍じゃなかったら、もっと会いに行けてたら、もっと近くで応援できていたら。
その後悔も込めて、母にはできるだけのことをしたいと改めて思ったシーンでした。
また、
という歌詞も沁みた……。
医療従事者のみなさんってほんとにそうなんだよね……。
母の主治医も看護師さんもみんな、そう。
ありがたい。
10年前にくらたが熱中症で救急搬送されたときに、ひげモジャ熊医師に点滴一本打ってもらえずクソ対応されて歩いて帰らされたことはいまだに恨みに思っているのですが、同じ病院とは思えない。
みなさん、とても忙しそうなのに、明るくて優しくて話聞いてくれる。
明日に続きます!