紫藤春香(はるちん)
複数愛者(ポリアモリー)・文筆家📚寄稿「図書新聞」/朝日新聞社「かがみよかがみ」山崎ナオコーラ賞大賞受賞/note『女の子なんだから勉強しなくていいよ、と言った父は死にかけるまで仕事をやめられなかった』等
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現状は「革命」的改善の余地があまりある/『#Metooの政治学 コリア・フェミニズムの最前線』 (鄭 喜鎭 ・編、金李 イスル ・訳/大月書店)
#Metooという文字列は、昨今世界中あらゆる地域で深刻な意味を持つようになった。本書の副題は「コリア・フェミニズムの最前線」とあるが、そこで展開される権力の不均衡と被害者への抑圧は、米国とも日本とも驚くほど近似している。 2017年末のハリウッドを起点として始まった性暴力・セクハラの被害者たちの告発と支援者たちとの連帯は、わずか数カ月後、韓国でも大きなムーブメントとなった。直接のきっかけになったのは2018年1月29日にソ・ジヒョン検事が韓国の放送局JTBCの看板ニュース
紙の上ではなく、路上から。上からではなく下からのフェミニズムが必要だー堅田香織里「生きるためのフェミニズム パンとバラの反資本主義」
本書はまさに「99%のためのフェミニズム」を語る本邦では極めて珍しい書籍の一つである。もちろん参照されたのは、2019年に刊行され、2020年に邦訳もされ話題となった『99%のためのフェミニズム宣言』(シンジア・アルッザ、ティティ・バタチャーリャ、ナンシー・フレイザー共著/恵愛由・訳・人文書院)である。とはいえ、本書で語られる「パンとバラの反資本主義」及び「99%のためのフェミニズム」について日本で語るには、広く前提が共有されているとは言い難い状況だ。 「99%のためのフェ