君が思い出になる前は
誰しも大切な人と致命的に折り合えない瞬間というものはあり、それは誰かにとっては浮気であり、借金であり、アルコール中毒や暴力や隠された犯罪歴であり、ある型をもった不義理であり、どんなに愛し合っていたとしても、そのような軋みがあった後では決定的に心理的安全性が損なわれ、共に暮らせなくなる出来事があるように思う。
これまでのわたしであれば、若く、愚かで、未来への可能性に満ち、異性(ほぼ異性愛者であるわたしにとっての"異性"という意味での「異性」)に対して、あくまで「性的対象」=個