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【読書】日本人が知らない! 世界史の原理
出版情報
新聞広告を断られる本
茂木誠と宇山卓栄の対談本。茂木は現役予備校講師で宇山は元予備校講師。二人とも世界史担当だ。通史を語らせるとしたら、これほどふさわしい二人もいないだろう。茂木も宇山も積極的に文筆活動も動画などの配信活動も行なっている。茂木の現在の興味は縄文時代で、公演旅行のたびに地元の史跡などを訪れているし、宇山は世界中を旅して現地の人たちとの対話や現場の臨場感を肌で感じ執筆などに活かしている。
現在のアマゾンでのランキングは世界史一般で5位である(2024年7月中旬)。茂木は本書が日経新聞での広告をドタキャンされたと言っている(もぎせかチャンネルYouTube)。茂木にとっては2回目の広告拒否だ。田中英道と茂木との対談本『日本とユダヤの古代史&世界史』も広告拒否にあっていた。だが売れ行きは好調だそうだ。「マスメディアが報じない」。このことそのものがブランドとなる時代なのだ。それだけ、何かにとって都合の悪い、事実、真実が書いてあるのだといえるのではないだろうか?そしてすでに日本は言論統制下に入っていること、マスメディアの権力への忖度ぶり、凋落ぶりがはっきりしてきたのだ、と。
本書はとても読みやすい。おふたりの話がこれほどまでに噛み合うとは。どんどん引き込まれ、サクサク読み進められる。
そして目から鱗が何枚も、落ちた。
現在を読み解き、未来への指針としうる、そんな歴史本だ。ぜひ、お手に取ってお読みになることをお勧めする。
本書の目次
はじめに ― 画期的な世界史通史の対談本! 宇山卓栄
第1章【古代―東西の二大帝国と日本】(ユダヤ人の正体、中東危機の淵源;ローマ帝国、移民によって栄え、移民によって滅ぶ;中国帝国の権力構造を言語から読み解く;古代インド、アーリア人がもたらした宗教;日本人と日本国の起源)
第2章【中世―モンゴル帝国が与えたインパクト】(中国人はどのようにハイブリッド化されたのか;ロシアというやっかいな隣人―ウクライナ戦争の淵源;ヨーロッパの国々はどのように誕生したのか;「イスラム」というグローバリズム;「先住民」の世界史)
第3章【近世―世界的な「大戦国時代」】(大航海時代、新大陸先住民族のスペイン化と混血;「国家」、「国民」はいつ生まれたのか?;朝鮮を独立させたのは誰か?;明朝と清朝―絶対権力の腐敗と朝貢システム;徳川日本は世界有数の重武装中立国家だった)
第4章【近代―大英帝国と国民国家】(「市民革命」は、なぜ西欧だけで起こったのか;イギリスの世界支配、覇権の構造;プーチンはなぜ、ロシア皇帝を敬愛するのか?;『大分岐』―「豊かな中国」が「貧しいヨーロッパ」に負けたのはなぜか;日本はなぜ近代化に成功し、朝鮮は失敗したのか?)
第5章 【現代―アメリカの世紀と共産党の野望】(「三枚舌外交」がユダヤ人とパレスチナ人の争いの元になったのは本当か;アメリカ民主党の偽善と腐敗の遺伝子「フランクリン・ルーズヴェルト」;日米関係の世界史―アメリカの残虐性の根源とは?;冷戦、NATOがロシアを追い込んだ―ウクライナ戦争の本質;中国共産党を生み出したもの)
おわりに ー 茂木誠
太字は私が特におもしろく読んだもの
日本人が知らない世界史の原理とは
原理とはweblioによれば「原理とは、ある現象や事象が起こる根本的な理由や法則を指す言葉」だそうだ。
本書には、明示的に「日本人が知らない世界史の原理とは」を示していない。ふたりの予備校教師の事実を積み重ねた上での対談から、読者なりに読み解く趣向になっている。
あえていえば、「現在の現象だけ見て、どちらが良い、悪い、と言っていても何もわからない。理解は進まない。また『どうすればよいか』も、わからない。歴史の中にこそ、その答えがある」と言ったところだろうか?
また「強者や勝者が声だかに唱える歴史だけ見ていてもわからない。さらにその背景にあるものまでよく見なければ」も。
宇山がはじめにで述べている、
本書は…歴史や現在に対する、広範な考え方や捉え方を、通史という大きな枠組みの中で、読者の皆様とともに、学ぶことを目的にしています。
その目的は、もちろん達しているだろう。茂木はさらに日本の歴史を客観的に理解するためには世界史的な視点が必要なのだと言っている。
日本史は世界史の一部ですから、日本は同じような経験を諸外国と共有しているのです。
モンゴル帝国による侵略は、日本も朝鮮も中国もロシアもイスラム世界も経験しました。
大航海時代には、大砲で武装した西欧の艦隊がアフリカとアジアの沿岸を襲い、中南米にも襲来しました。種子島へのポルトガル人来航は、その一環だったのです。
19世紀、産業革命で強大化した西欧列強による世界分割もアジア・アフリカ諸国がみな経験し、ペリー来航はその一環でした。
危機の時代においてわれわれの祖先がいかに対応し、死に物狂いで独立を守ってきたか。諸外国との比較の中でそれを知れば、この国を守っていこうという気持ちになり、あなたの明日からの生き方も変わってくるでしょう。
本書の目的や意図は上記の茂木による「おわりに」につきるだろう。本書はその意図通りに立派に目的を果たしている。
この本も手元に置いておいて、何かことが起きるたびに読み返して、自分なりの深掘りの縁にしたいと思わせる書籍だ。
ぜひ、手に取ってお読みになることをお勧めしたい。
以下では、特に面白いと思った項目を中心に簡単に内容を紹介する。基本的に自分向けの備忘録である。ネタバレを読みたくない方は、どうぞ、ここで離脱してくださいませ〜。
第1章 古代―東西の二大帝国と日本
ローマ帝国、移民によって栄え、移民によって滅ぶ
宇山は2022年から2023年にかけて、米国の主要都市であるシカゴ、ニューヨーク、ロスなどを回ったという。どこも移民の浮浪者で溢れていた、とp31。
宇山:フィラデルフィアには、ケンジントン通りという場所があり、そこは薬物依存症の人々が集う場所で「ゾンビタウン」と呼ばれています。移民のドラッグセラーがそこら中で…薬物を販売していました。…こんなにヤバい場所は見たことがありません。
大統領のお膝元ワシントンD.C.も例外ではありません。…移民…を推進しているバイデンのお膝元に、移民を大量に送っており、彼らがテント村を作っているのです。
かつてローマ帝国も移民受け入れにより、社会が荒廃し、遂には滅亡しました。ローマは初期の頃、移民受け入れで成長しましたが、しかし、結局、移民政策が帝国の圧迫要因となっていきます。
茂木:移民政策は労働力受け入れによる経済成長等、効果的な側面がある一方で、運用の仕方を間違えると、移民が主導権を握るようなことにもなり、社会に混乱を生じさせるということをローマ帝国の歴史が教えてくれます。
ざっくり粗い解像度の要約をすると、ローマ帝国が行った移民政策は「自国民と同じ権利を与え、政策決定権を与える」というものだった。巨大な帝国は財政難で、領土拡大のために傭兵を雇う必要があった。そして財政難のために給料を支払う代わりに、権利を与えていったのだ(実際にはローマはその建国の時から法による支配を掲げ、共和制であり、法は権力側を縛るものでもあった。詳細については、本書を読んでいただければ、と思う)。
うーん。日本は今、お金をばら撒いて留学生などを呼び込み、あるいは、家族帯同などの権利を与えることで移民を呼び込もうとしているように見えるのだが…ローマ帝国の轍を踏もうとしていませんかね?
第2章 中世―モンゴル帝国が与えたインパクト
「先住民」を中世の章に持ってきたのは、アイヌが最初に文献に登場するのがモンゴル帝国の公式記録である『元史』だからだろうp160。
「先住民」の世界史
本項目では、ヨーロッパの先住民であるバスク人・ケルト人と共に、日本の先住民と呼ばれているエミシやアイヌの人々についても述べている。
まず茂木(多分宇山も)の立場を明確にしておくと、アイヌを先住民とすることには反対している。ただしアイヌは少数民族ではあるが。
茂木:誤解のないように言っておきますが、アイヌは日本の少数民族です。独自の自然崇拝、絶滅寸前のアイヌ語、壮大な叙事詩『ユーカラ』、独自の衣装デザインなどすばらしいものです。日本文化の民族多様性を示す貴重な文化財として守っていくべきだと私も思います。しかしそのことと、科学的根拠に乏しい「アイヌ先住民説」とは別なのです。
茂木:「先住民族は世界のもっとも不利な立場に置かれているグループの一つを構成する。…多くの先住民族は政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられてきた。…彼らは迫害を恐れてしばしば難民となり、時には自己のアイデンティティを隠し、言語や伝統的な生活様式を捨てなければならない」
これは国際連合(UN)広報センターのHPからの引用です。
北米やオーストラリアの先住民については、この国連声明の通りでしょう。彼らの権利や名誉は回復されなければなりません。しかしすべての先住民がこのような迫害を受けたわけではなく、ケルト人はイギリス人と、エミシは日本人と完全に同化しています。アイヌは鎌倉時代に渡来した少数民族であり、先住民という定義が当てはまりません。
そして、莫大な公金がハコモノに費やされ、利権団体に公金がばら撒かれることになった「アイヌ先住民決議」2008年(平成20年)は間違いだった、と結論づけているp164-p166。
現在科学的にわかっていることについては、本書を読んでみてほしい。あるいはさまざまに説が唱えられているので、そういうものを参考にしてみるのも良いのでは、と思う。私は最近澤田健一氏のYouTube番組『縄文人の日本史 縄文人からアイヌへ』を視聴して大変面白かった。アイヌがどこからきたかに関しては、この説だけではなく、まだまだいろいろと研究の道半ばというところなのだろう。
私は2000年代にほんの少し先住民族・少数民族系の活動に首を突っ込んでいた。「アイヌ新法」もできてよかったじゃん、と思っていた。賛成票を投じた国会議員たちも、「うん、伝統文化、守ること、大事だよね」と、単純に思っていたに違いない。
もし、何か間違いがあったのだとしたら、アイヌの人々を日本人と(文化的に)切り離すような作用があったことと、公金チューチューを許すような建て付けだったことだと思う。
自身がアイヌであり、アイヌ民族、アイヌ語の研究者であった知里真志保博士の嘆き「現実にはアイヌ文化は明治以前に滅びてしまって、 そのあとはいわばアイヌ系日本人によってその文化が多少とも保たれてきたわけ です」と、茂木のいう、
茂木:明治時代には日本が帝国主義の時代を生き抜くために、アイヌの日本人化が強要されたのは事実です。民族の言葉を禁じられて悲しい思いをした人も多いでしょう。その一方で、日本人として懸命に働き、徴兵にも応じ、日本のために貢献してくれたアイヌの方たちもたくさんいます。彼らは日本人と混血し、今では完全に日本人になっているのです。
完全に日本人となっているかどうか、自身でそう思いたいかどうか、は別の話だが、「日本人として懸命に働き、徴兵にも応じ、日本のために貢献してくれたアイヌの方たちもたくさん」いたということもまた事実である。
こういうさまざまな思いや葛藤は、すぐには無くならないし、すぐに無くそうしてはいけないのでは、とも思う。それぞれを大切にして、ゆっくり時間をかけて癒していくことが肝要なのではないだろうか。それを食い物にする行為=公金チューチューこそが、慎むべきことなのではないだろうか?多分、こういう事象を食い物にしたい=公金チューチューしたい、何かグループは「傷を癒すことそのもの」に反対、なのかもしれない。いつまでも、公金チューチューしたいので。
日本人化の過程を
歴史的必然で、仕方がなかったのだ
日本人とともに協力しあった出来事も多数あった
物質的な豊かさがもたらされ、幸せな側面もあった
日本人化されても、それは「権利の上」でであって、文化的な自由は担保されている
とみるか、
他にやりようがいくらでもあり、
暴力的で
常に強制され、いやいやな協力でしかなく
日本人化されることで大切なものが奪われた、それは(永遠に)補償されなければならない
とみるか。また、文化摩擦の上での「癒し」とは何なのか、私たちはまだ全然途上なのだ。なんの結論も得られていない文化・文明の中で暮らしているに過ぎない…。
その上で、食い物にする行為=公金チューチューの芽を摘む知恵を日本人は身につけるべきなのではないか?私はそう思うのだが、みなさまはどう思いますか?
第3章 近世―世界的な「大戦国時代」
朝鮮を独立させたのは誰か?
宇山がいうには現在の日本の出版業界などの言論空間には、「朝鮮」という言葉を使わせないような圧力がある、というp196。だが、そもそも「朝鮮」は古代にさかのぼる歴史的な呼称でp197、前1世紀シナの前漢の歴史家 司馬遷の『史記』に記載があるp198。そして朝鮮人自身が「朝鮮」という国号を誇りにしていた。現に北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」であり、北朝鮮も韓国も「朝鮮」を使うなと日本に要請したことはないp197。何を忖度しているのだろう??
本書によれば、元、明とも、さらにそれ以降も、「朝鮮」は、いわゆる「主権国家」として、シナ帝国と対等な付き合いはできなかったp199。
宇山:…李王朝は明に藩属しており、朝鮮王は明の一諸侯王に過ぎず、その領土も明の帝国の一部に過ぎず、主権を持った国ではなかったからです。「朝鮮」はあくまでも地域を表す名として、明が下賜したものなのです。
茂木:「主権国家」の概念は東アジア・東南アジアにはなく、各国の君主が中華帝国の臣下としての礼儀を守る藩属国でした。これをやらなかった「無礼者」が、北方遊牧民と日本です。
そういうわけで、李朝の国王は、国王であっても人々は「陛下」ではなく「殿下」と呼び、「万歳」ではなく「千歳」と叫び、痩せて作物が取れなかったので、貢物として女性たちを差し出さなければならなかったp200-p201。悔しかっただろうなぁ。
そして、このようなシナ帝国への朝鮮従属の長い歴史を断ち切ったのは日本だった。
茂木:欧米諸国から各国平等の主権国家の概念を学んだ日本はアヘン戦争で弱気になっていた清国と交渉し、対等な外交関係を結ばせることに成功します(日清修好条規 1871)。
清国と対等な外交関係を結ぶことになった日本。ここで大問題になったのが、清国の藩属国である朝鮮との関係だった。結果として、
日朝修好条規
第一条 朝鮮国は自主の邦にして、日本国と平等の権利を保有せり。
「朝鮮は独立国家で、日本とは対等」。これが事実。決して不平等な条約では、ない。ただ不幸だったのは、ソウルを流れる漢江の河口の江華島を日本軍が占拠して脅した上でのことだった。
茂木:「日本と清国が対等」、「日本と朝鮮も対等」となれば、当然、「清国と朝鮮も対等」とならざるを得ません。
ここから、朝鮮国内で清国からの独立を目指す「開化派」と、清国との伝統的な藩属関係を続けたい朝鮮政府(事大党)とのすさまじい権力闘争が始まるp203。日本はもちろん開化派を、清国が事大党を援助し、これが日清戦争の要因となる。
えええ〜。バックについているもの同士が、直接戦っちゃうって!現在から見ると洗練されてない…。でも両国ともそれだけ切実だったのだろう。
日清戦争の結果、清国は朝鮮の独立を認めた。日本は朝鮮を独立させたのだp204。
茂木:下関条約*も、第一条が重要ですので見てみましょう。
下関条約(1895)
第一条 清国は朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国たることを確認す。よって右独立自主を損害すべき朝鮮国より清国に対する貢献典礼は、将来まったくこれを廃止すべし。
「貢献典礼」とは、清国に対する朝貢の儀式のことです。朝鮮女性たちを長年にわたって苦しめ続けた「貢女」の制度も、この下関条約によって全廃されたのです。
*註:日清戦争の結果、下関において日本と清国の間で結ばれた条約
台湾の人々は今でも大勢、下関条約が結ばれた春帆楼に観光に訪れるという。春帆楼は老舗ふぐ旅館で現在でも営業中だ。下関条約によって台湾は日本の領土となった。台湾の人々は「下関条約によって清国の圧政から解放された」と高く評価しているというp204。
宇山:下関条約で独立を達成した当時、朝鮮人たちはこれを非常に喜びました。そして、中国への隷属の象徴であった「迎恩門」を取り壊しました。…1897年、独立の記念として、新たに「独立門」を同じ場所に建てました。
茂木:現在もソウルに残る「独立門」を、多くの韓国人は日本からの独立を記念したものと勘違いしています。…「独立門」は日本への恨みを表したものではなく、感謝を表したものなのです。
だが現在、韓国の多くの若者が「独立門」を日本からの独立を記念したものと勘違いしているという。同じ敷地内に勘違いさせるような施設をわざと配置しているかのようだ。
少なくとも日本人は正しい歴史事実を知っておく必要があるだろう。
茂木は「「自国を犠牲にしてまで他国を助ける」のは余計なお世話である。これが韓国併合の最大の教訓であると私は思います」p207。
この教訓が韓国併合に当てはまるかは、また別途考えるとして、少なくとも現在のウクライナ支援には当てはまるだろう。その資金を能登半島に回せよ、貧困にあえぐ日本の子どもたち、奨学金返済で困っている日本人の若者たちに使えよ、と思う日本の人々は多いのではないだろうか?
第4章 近代―大英帝国と国民国家
この章は、全般的にどれも面白く、何かを特にピックアップすることができなかった。どれも、現在起きている出来事と絡めて解説しているので、興味深く読み進めた。
第5章 現代―アメリカの世紀と共産党の野望
本章ではピックアップはしなかったが「アメリカ民主党の偽善と腐敗の遺伝子「フランクリン・ルーズヴェルト」」「日米関係の世界史―アメリカの残虐性の根源とは?」も非常に面白かった。どの国との関係性も注意深く吟味する必要があるが、アメリカも例外ではない。そのことがよくわかる項目であった。
「三枚舌外交」がユダヤ人とパレスチナ人の争いの元になったのは本当か
イギリスの三枚舌外交とはどういったものか?アラブ、フランス、ユダヤの三者とそれぞれ下記三つの協定を結んだことを、三枚舌外交という。
1915年10月 - フサイン=マクマホン協定(中東のアラブ独立・公開)
1916年5月 - サイクス・ピコ協定(英仏露による中東分割・秘密協定)
1917年11月 - バルフォア宣言(パレスチナにおけるユダヤ民族居住地建設・公開)
それぞれの関係者にいい顔をして、イギリスに有利な外交を展開しようとした、と揶揄する言葉である。宇山は次のようにいう。
宇山:イギリスの「三枚舌外交」の矛盾と…よく指摘されますが、実際にはそれほど、矛盾したものではありませんでした。…アラブ人とイギリスとフランスのそれぞれの支配領域について、実際には、ほとんど重複していませんでした。パレスチナはイギリスの委任統治下となり、フセインやファイサルもそれを受け入れました。
…ヒジャーズ王国建国を支援するなど、アラブ人との約束を守り、パレスチナにおいては、先住民における権利を守りながら、ユダヤ人の入植を認めていったのであり、「三枚舌外交」として非難されるべきものではない…
茂木:…イギリスは「二枚舌」か「1.5枚舌」というのが妥当なところでしょう。
では何がパレスチナ問題の原因となったのか?
宇山:イギリスの責任を殊更に強調し、イギリスを黙らせようとするシオニストのプロパガンダについても考慮せねばなりません。自分たちは「三枚舌外交」の犠牲者であるというポジションが盛んに喧伝されたのです。
宇山:パレスチナ紛争の直接の原因は1947年11月、アメリカや国連が認めたパレスチナ分割案(ユダヤ人国家創設)にあります。しかし、このことについては、どういうわけか、教科書や一般の解説書などでは、その内情と実態に、きちんと言及されません。
ひゃー。つまり、これがどん深闇ということか。
宇山:ユダヤ人シオニストはパレスチナ分割案を国連で認めされるために、アメリカをはじめ各国関係者にカネをばら撒いたとされます。…分割案をごり押しできたのはカネの力であるとされるのです。
茂木:アメリカの関与についてはっきりさせましょう。シオニズムの最大のスポンサーはニューヨーク、ウォール街の国際金融資本です。彼らの大半はユダヤ系で、祖先がロシアやドイツで迫害され、アメリカに逃げてきた人たちです。
彼らも生き延びるために、必死ではあったのだ。そして、カネをばら撒き、反対意見にあえば、「ドイツのホロコーストを喧伝し、迫害を受けたユダヤ人が「避難地」を確保することは当然の権利と主張」したp310。「分割案に賛成しなけば、ホロコーストを認めないナチス主義者、歴史修正主義者などのレッテル貼り」もされたというp310。
国連、大統領選も巻き込んで、カネを大量にばら撒くプロパガンダを行ったp310。
宇山:パレスチナ分割案は非常識極まりない案であり、また戦争を誘発する案でもあり、欧米を除き、多くの国が反対しており、本来、否決されるはずのものでした。しかし、ユダヤ人シオニストは激烈なロビー活動とカネのバラマキにより、特にラテンアメリカ諸国の関係者を賛成側にひっくり返しました。…イスラエル建国後、ユダヤ人とパレスチナ人の紛争が本格化し、それが今日まで続きます。
茂木:アメリカのユダヤ人の人口は2%に過ぎませんが、ウォール街を握っているユダヤ資本が巨大な政治力を持つに至りました。この「ユダヤ・ロビー」の存在が、アメリカを必要以上に中東問題に介入させ、イスラエル贔屓を続けさせた。これがパレスチナ問題の本質です。
私たちは今日ほど、拝金主義から距離を取る必要があり、今日ほどそれが困難である、と実感する時も、ない。「本来、否決されるはずのもの」。これってIHR改正やWHOパンデミック条約に当てはまらないだろうか?
現在のワクチン禍も例外ではないのではないか?特に国連という組織を舞台にしている点において。武見厚労大臣も関わりの深いWHOは国連の下部組織なのだ。
中国共産党を生み出したもの
毛沢東が日本軍の活躍を「ありがたい」と思っていたことはご存知だろうか?そして、毛沢東の愛唱歌は日清戦争時代の日本の軍歌であったことは?それだけ、毛沢東と日本軍は近しいものだったのだ。
茂木:…1964年、北京を訪問した日本社会党の佐々木更三委員長が日中戦争について謝罪したとき、毛沢東はこう答えました。
「何も謝ることはありません。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしました。…日本の皇軍なしには、私たちが権力を奪取することは不可能だったのです。…」
第一次世界大戦後、好景気に沸いた米国は株価暴落を引き金として、世界大恐慌へと突入していった。ニューディール政策など景気刺激策を行ったが結局第二次世界大戦が起きるまで景気が回復することはなかった。そういう時代背景の中、日本では貧富の差が拡大し、ソ連の計画経済や共産主義が「特効薬になるのでは」と期待され、共産党そのものは解散させられたが、共産主義自体思想そのものは大きく取り締まられることもなく、軍部や政界などに蔓延していった。その結実が一つは北一輝を思想的支柱とする226事件であり、もう一つはスパイゾルゲ事件である。
茂木:京大のマルクス主義経済学者に河上肇という人がいます。…キリスト教人道主義からマルクス主義へと転向し、日本共産党にも入党しています。
この河上に師事したのが近衛文麿で、首相になると隠れマルクス主義者で側近を固めました。
この側近らがゾルゲや尾崎秀実、のちに日本社会党結党に尽力する風見章らであった。
1937年に盧溝橋事件や、日本人居留区の日本人や朝鮮人を虐殺する通州事件など一連の騒動が起きる。
茂木:…軍に潜り込んだ共産党員、もしくは共産党の協力者が引き起こした事件であろうと私は考えています。
宇山:私も同様に考えます。ソ連と連携した中国共産党の策謀があり、…一連の事件によって、日本人を怒らせ、大陸に日本軍を引き込むことが狙いであったと。
日本軍と蒋介石軍を戦わせ、中国共産党が漁夫の利を得ようとしたのだ、と。そして米国は日本にハルノートを突きつけ、日本が米国との戦争に突入することで、「日米開戦がソ連を救った」のだp360。当時の米政府内にソ連への協力者がいても「まったく不思議では」なかったp361。
そして60万人ものシベリア抑留者。
茂木:…シベリア抑留者60万人はソ連が一方的に拉致したのではなく、大本営の承認のもと、ソ連側に「引き渡された」ことになります。大本営はソ連の対日参戦を知りながら、むしろ積極的にこれを受け入れたのです…。…
宇山:同様に、毛沢東が権力を握れたのは、蒋介石政権が日本との戦いで疲弊したからです。また、大日本帝国崩壊の悲劇は、権力の中枢を内部から蝕んでいた隠れ共産主義者を排除できなかったために起こったのです。
ぎゃ〜。そんなこと、考えたこともなかった…。ソ連を積極的に引き入れた大本営の参謀は後の伊藤忠の会長、瀬島龍三だ。共産主義諸国との取引で成績を伸ばしたという。小説『沈まぬ太陽』などのモデルになった人物だ。
戦前の日本の権力の中枢にいた隠れ共産主義者たちのその後は…
宇山:いわゆる敗戦利得者たちが政界・官界・学界に入り込み、裏側から日本を操り、日本を貶めていくのですね。戦前の日本を「軍国主義」として完全否定し、「自虐史観」を作り上げながら、アメリカとも協力していったわけですね。
そっか…。GHQの自虐史観が、などとお題目のように唱えていてもダメなんだ…。日本の権力中枢に隠れ共産主義者がいて内部から蝕んでいた…。現在はそれがグローバリストに置き換わる…。内部から蝕んでいることは変わらない。繰り返されている…。
そのことを私たちは知る必要がある。
ぜひ本書を実際に読んでほしい。目から鱗が何枚も落ちまくるのでは、と思う。
ちょっとばかり気になったこと
本書の世の中への貢献に比べたら、ホント些細なことなのですが、ちょっとだけ。
私は一時期チベット語をかじる…とまではいかず、ほんのちょっと舌先で味わってみる!?ぐらいの学びをしたことがある。その上で、無知を承知の上で述べるが、語族を「シナ・チベット語族」とひとくくりに分類するのは、かなり無理があるのでは、という印象がある。そして、本書がその説を丸のまま採用していることをとても残念に思っている。
シナ語とチベット語は語彙的にも文法的にもかなり異なるように思う。また、シナ語派とチベット・ビルマ語派の共通祖語は見つかっていない。もちろん、こうしたことを専門に研究している方とその方たちの努力には心から敬意を払いたく思っている。一方でシナ語とチベット語を一括りにしてしまうことで、見えなくなってしまうものがあるのでは、と危惧している。
まず、語順がシナ語がS+V+Oであるのに対して、チベット語はS+O+Vであり、チベット語には助詞がある。少なくとも、格助詞はあったはずだ。チベット語の助詞については、『チベット語になった『坊ちゃん』』に詳しい(あるいは詳しかったはず)。この項目は近々に調べてアップデートする予定である。
そういうわけでチベット人とは、言語的にも(少なくとも文法的にも)、DNA的にも世界の他の地域と比べると日本人とある程度の近さがあるということは述べておきたい。
引用内、引用外に関わらず、太字、並字の区別は、本稿作者がつけました。
文中数字については、引用内、引用外に関わらず、漢数字、ローマ数字は、その時々で読みやすいと判断した方を本稿作者の判断で使用しています。
おまけ:さらに見識を広げたり知識を深めたい方のために
ちょっと検索して気持ちに引っかかったものを載せてみます。
私もまだ読んでいない本もありますが、もしお役に立つようであればご参考までに。
著者 宇山卓栄の本
著者 茂木誠の本
下記の本も新聞広告を拒否されたそうだ。
縄文人からアイヌへ
こういう説も、ある、ということで。
澤田健一氏: 縄文人の日本史 〜縄文人からアイヌへ〜
前編
後編
質疑
知里真志保の生涯
林千勝
瀬島龍三をモデルにしたと言われている小説
瀬島龍三に対する評価
下記のような厳しい評価をする人もいる。
チベット語関係
以前この本を持っていて、手放した。
下記の本は、現在も出版社から販売されているにも関わらず、アマゾンで普通に検索しても出てこない。何が起きているのだろう?ナニカにとって都合の悪い情報なのだろうか?
WHOから命を守る国民運動
WHOパンデミック条約反対のデモ
WHOパンデミック条約反対のデモ 東京
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) May 31, 2024
🪧 世界保健機関(WHO)が進める、新型コロナワクチン接種などに関わる #パンデミック条約 IHR(国際保健規則)の改正案に反対する大規模デモ「WHOから命をまもる国民運動・大決起集会」が31日、東京都心の日比谷公園で行われた。スプートニク特派員が伝えた。… pic.twitter.com/TlGhB6u9xn
コロナワクチン禍
第一回口頭弁論が8月19日15時、東京地裁となります。原告も増える中、負けられない戦いが始まります。 pic.twitter.com/cHCUyFDziU
— 鵜川和久 (@sousyou13) July 20, 2024
noteにお祝いしていただきました。よかったら読んでみてください。
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