ままならないから私とあなた
本を読んでます。実は実は実は、お恥ずかしいことに20ウン年間生きてきて、両手で数えられる程度の読書数しかこなしてこなかった人間なのですが、11月から今までの約5ヶ月間で、20冊以上の本を読了しました(!!!!)ので、なんだか生き急いでるというか、実質50歳オーバーみたいなとこあるというか、そんな感じであります。
まだまだ読書について語るには未熟にもほどがあるんですけど、朝井リョウさんの「ままならないから私とあなた」を直近で読み終えて、またも凄いものを読んでしまった……と恍惚とした気分に未だ浸っておりますので、記憶に新しいうちに、オススメついでに感想をつらつら綴っておこうと思います。
◼︎ ざっくりあらすじ
プログラミング等を駆使して効率よく生きていこうとする女の子と、面倒くさいことにこそ人間らしさがあって、そこに重きを置いている女の子ふたりの物語、という感じ。
ふたりのいろんな考え方の比較があって面白かったんだけれど、例えば、
・ 塾に行かずにタブレットで勉強することは、塾に足を運ぶ移動時間を省けるのかもしれないけど、外に出ることによって得られたかもしれない新しい交流や発見の機会を逃してるんじゃないか
とか、
・ 小学校からの幼馴染の男の子と8年間付き合うことと、アプリで条件を絞って検索して出会った人との結婚、素敵な人と出会ったという結果は同じなのに、どっちが偉いとか差があんの?
とか。
アプリの話でいうと昨年、知人が結婚をしたのですが、聞けばマッチングアプリで知り合った方との結婚だそう。小学生の頃からネット依存症だった私からしてみれば、やっと時代が私に追いついてきたかという感じです嘘です。
実際、効率がいいと思う。効率がいいっていう言い方がちょっと、無機質で冷たい印象を与えてしまうからいけないんだと思うんだけど、だって友達に男の子紹介してもらってみ?
「どうもこんばんは初めましてバツバツと申します趣味はマルマルで性格はサンカクサンカクって感じですお酒強いです煙草は吸いません犬でも猫でもなくうさぎ派ですよろしくお願いします」なんて10行にも及ぶLINEとか寄こしやがったら秒でブロックしたくなる衝動に駆られるけど紹介してくれた友達の顔は立てたいから熱心に同じボリュームの文章を送り返すしご飯にも行くし愛想も振る舞うんだけど正直禿げそうになるよねってことを考えると、マッチングアプリである程度、どうしても外せない条件を絞っておく(例えばその友達は、『煙草を吸う人だけは絶対にNG!』とのことで、喫煙者をはじめから除外して検索をかけていたらしい。)のは、非常に効率的だと思うわけです。
便利になった、効率的になったからといって、恐れるほど人間らしさがなくなっているのかというと、そうでもない気がする。変わったら変わったで、人の関わり方もそれに合わせて変わっていくわけで、というかきっと今までもそうやって変化してきたのだろうし、自分が適応できないからって変化を非難するのは、違うんだろうなあ。
そんなことを言いながら私も、先日6周年を迎えたパズル&ドラゴンズが、パズルを動かすことのできるデフォルトの操作時間を4秒→5秒に延長しました〜〜って発表した瞬間は「指増やすのは甘え」とか古参ぶったツイートをしたんだけれど、これって親世代の大人たちが「俺らが学生の頃は教室にクーラーなんてなかった」って嬉しそうに話すのと一緒なんだよなあと、後から猛省しました。パズルの操作時間は短いより長いほうがいいに決まってるし、暑い中ダラダラ汗を流しながら勉強するより、快適な空間で勉強するほうがいいに決まってるのにね。
私が読んだ朝井リョウさんのお話たちは、主人公が少し達観していて、どこか正当性があって正義っぽいふうに見せかけて、後半でズドンと地獄に突き落としてくるようなお話が多い気がします。けれど最後は、なにが良いとか悪いとか、誰が正しいとか正しくないとか、そういう結論は下さずにするりと終わるから、読了後に、「うわあ」と思う。
うわあ。
人間を書けるって凄い。以上です。
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