登山電車と箱根の外湯巡り(その2)
(その1)では、初めての大平台のお湯が予想以上に良く、箱根の温泉郷の魅力が一段上がりました。今回は、登山電車の後半、宮ノ下から、終点強羅までの外湯のご紹介です。登山電車の見どころ+アルファでお届けできるか…。
大平台から宮ノ下へ
さて、大平台駅はスイッチバックの駅で、ここから上大平台信号所という最後のスイッチバックの場所に至ります。このあたり、春は桜、初夏はアジサイ電車の時には満開の紫陽花が続く、撮影スポットです。
80‰の勾配が続いてトンネルを抜けた後は、今度は半径30mという急カーブが宮ノ下まで何か所かあります。山の中腹を、谷通れば右カーブ、尾根に当たれば、左カーブというところでしょうか。
宮ノ下は、箱根七湯の一つで、開国以来、外国人観光客に愛された温泉場で、今でも外国人観光客が多いです。
宮ノ下 太閤の岩風呂
ここから太閤の岩風呂を目指します。その名の通り、豊臣秀吉が、北条氏の小田原攻めの時に、兵のために造った岩風呂ということで、言い伝えられています。秀吉の温泉好きは有馬温泉にも足繫く通っており有名ですが、秀吉自身は湯本の早雲寺に陣を構え、宮ノ下には何度か兵をねぎらうために慰問に来ていた模様。秀吉も浸かったのか!?
一号線を登っていくと、まず見えるのが、富士屋ホテル。
アメリカ帰りの27歳の青年が創設者。福沢諭吉の門下生だったとのこと。戦後は一時、GHQに接収された経験もある、それくらい欧米の人たちに、気に入られたということでしょう。
国道に別れを告げて、蛇骨川沿いの歩道をしばらく歩きます。
左側は崖、右側は蛇骨川の谷底。左側の石垣間からは、温泉が流れ出しており、頑張れば、着替えるところないですが、野湯できそう==33
江戸末期の書物によるとこの付近に大蛇の湯という風呂があり、自然石の間から湯が湧き出ていたとのことです。小田原攻めの軍は日本の合戦の動員数でも一桁違ったので、そこかしこで風呂に入れる場所が必要だったのでしょう。この滝の手前に太閤の岩風呂。
このエリアは今でも湯の採取を行っているため、関係者以外立ち入り禁止になっていて、川沿いに降りられないのです、残念。
ココはもう一つ歴史のエピソードがあり、小田原攻めの時に、若干24歳の伊達政宗が小田原攻めに二か月も参戦が遅れ、秀吉の怒りを買い、この底倉に幽閉してしまったとのこと。しかし、その後は一部領地の返還だけで許されたようです。
秀吉にちなんでの「太閤湯」
そんな歴史的なエピソードにちなんでの宮ノ下の外風呂は、「太閤湯」
もう15年以上前に来た記憶しかないですが、外観は変わりましたが、中はそのままでした。狭くて、熱かったなぁ~という思い出どおり、今日も熱いは熱い!しかし、湯舟は広々として、以前と印象が違う。
湯舟は入れ替えるか確認しませんでしたが、以前は手前が男性だったような。男性の方からは春の箱根の山を眺めながら、入ることができまして、景色にも、癒されました。
宮ノ下から終点強羅へ
宮ノ下からは駅を出て、小涌谷駅まで急カーブ、80‰の勾配は続きますが
、小涌谷駅からはだいぶ緩やかな登りになります。
小涌谷駅の近くには、国道一号線の踏切があり、こちら、箱根駅伝の時には、選手ではなく、電車が止まってくれます。昔は選手が立ち往生、何時の頃からか逆に電車が止まるようになりました。
小涌谷駅を過ぎれば、急勾配はほぼなくなります。緩やかに登りながら、右側には緑の芝生に、野外の作品が置かれた彫刻の森美術館が見えてきます。
強羅からはケーブルカーが早雲山へ向けて伸びています。
箱根ゴールデンコースで、箱根をぐるっとを巡るなら、こちらに乗り換え。
終点強羅。登山電車の終着駅らしい山小屋風の作りで、昔から変わりません。さてこの駅に左側から駅の反対側に抜ける地下道をくぐります。
強羅 太陽山荘の「にごり湯」
強羅は、箱根の中では新しめのエリアですが、それでも登山電車の終着点であり、老舗の旅館から若者向けの宿まで多様にあります。企業の保養所もかつては多かったですが、今はだいぶ様変わりしてきました。
太陽山荘は共同浴場ではないのですが、国民宿舎であり、比較的安価で泊まれるのと、こちらのお湯は大涌谷から引湯してきているので、硫黄泉の「にごり湯」なので、東京近郊から硫黄のお湯に入りたいのであれば、一番近いのがこの強羅になりそうです。
強羅駅から歩いて5分も満たないうちに、太陽山荘に到着です。
露天風呂ではないですが、天井と横に広い窓があり、明るい岩風呂です。女性が木風呂でしたが、宿泊したら入れ替えるのだったか、忘れてしまいました… (日帰りではいつも男性が岩風呂だと思います)
温泉データとしては以下の通り。強酸性です!
源泉名 :大涌谷温泉(一部箱根登山鉄道所有温泉を含む)
泉 質 :酸性-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉
(旧泉質名 酸性-含石膏食塩泉)
泉 温 :源泉 56.3℃ PH :2.5
湯上りはスカッとして、硫黄も効いていて、温泉浸かった~という気分になれます。大涌谷から引いているので、温泉成分の濃度も変わるようで、色も変化があるらしいです。
お昼は「餃子センター」
さて私、お食事でおススメのお店を紹介することが少ないのですが、今回は、一軒おススメの餃子屋さん。
何と言っても、線路脇のお店ということで、登山電車を眺めながら、食事ができます!
本日は「エビ餃子の定食」、美味しい餃子は、皮が柔らかくもあり歯ごたえもあり、なんとも違うんですよね。具材はおそらく白菜ベース。とても食べやすくて、外国人、女性にも人気のお店です!
本日最後の外湯は二ノ平温泉 「亀の湯」
餃子センターを後にして、本日最後の共同浴場に向かいます。
先に目に入って来るのは、源泉のやぐらです。二ノ平温泉はここが源泉供給しているということで、むき出しのやぐらが国道から見れます。
入る前に、湯舟にふたがかけてあり、ややぬるめ。
源泉温度が59℃、泉質は「ナトリウムー炭酸水素塩泉・硫酸泉・塩化物温泉」、アルカリ泉で、これまでの外湯の中では、大平台に近い感じでした。
ただ、ちょっとぬるかったので、源泉の蛇口を開けて、ゆっくり浸かりました。こちらも最後までお一人様でした~
こんな「亀の湯」是非いかがでしょう~。
鄙び度 ♨♨♨
源泉近し・かけ流し度♨♨♨♨
温泉マニア度♨♨♨♨
さて、箱根の共同浴場はもう一軒、強羅の駅から早川の谷底に下った宮城野にありますが、それ以外はこれで全て紹介しました。どれも、登山電車の駅からの徒歩圏内です。どの温泉も個性的で、箱根の湯を再認識できました。温泉って、やはり天の恵みです。是非、有名どころの日帰り温泉にはない外湯の良さを、是非体験してみてください。
ご覧いただきありがとうございます!
登山電車のおまけコーナー
おまけで、登山電車の雰囲気を味わえる動画二本、以下になります。
小雨交じりで、やや見にくいですが、雰囲気だけでもどうぞ。
もう一つ、小鉄時代に作った登山電車のNゲージ。まだキット販売されているのだろうか…。