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#スキしてみて
フランスでショコラトリー店員になる#9 契約
私は、部屋探しに明け暮れていた。
Perrache駅の近くのシェアハウスは予算オーバーで断念。それから、リヨンの端にあるGrange-Blanche駅のアパルトマンも内覧した。
埃まみれのがらんどうの部屋を見て、改めて気付いた。
そうだ、家具なしに住んだら、一から揃えないといけないんだ…。
途方に暮れ、ガードレールに寄りかかり、道路を行き交う車を暫く眺めていた。
1年以上住むなら家具なし
フランスでショコラトリー店員になる#6突然の嵐
こうして、地方のパティスリーでの販売の仕事が白紙になった私は、残りの内定先、つまり、ムッシュが紹介してくれた近所のショコラトリーでの仕事を考え始めていた。
葡萄摘みの仕事から帰って来たら、すぐに仕事が始まるだろう。だったらそれまでに、ある程度の商品を少しずつ味見して覚えておいた方が良い。
そう思って、時間を見つけてはちょくちょくと通い、食べていないケーキを少しずつ購入して、ノートに書き留めてい
フランスでショコラトリー店員になる#5 白紙に戻る
フランスに到着して、間もなく―。
朝、起きてマダムと話していると、
「そうそう、ちょっと来てくれる?」
とシャワールームへ連れていかれた。
「上を見て」
こちらのシャワールームは、バスタブもあり綺麗だったが、窓がない。それなのに、備え付けの換気扇がとても小さかった。マダムが言うには、この換気扇に水滴が付いて壊れてしまっても、業者はすぐには来てくれない上に、費用が高いという。
つまり、何
フランスでショコラトリー店員になる#4 リヨン到着
パリからTGVに乗り、約2時間―。
遂に、リヨンに辿り着いた。
駅まで迎えに来てくれたステイ先のムッシュは、南仏育ちの元気の良いおじいちゃんだった。日本を発つ直前に決定した、例の新しいステイ先だ。私達は駅から真っすぐに伸びる通りを、ゆっくりと歩き始めた。商店街のような通りだった。右にも左にも小さな商店が並び、賑わっていた。小さなパティスリーを通りかかると、入口付近に小さな赤いテントがあり、その