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石砂山のギフチョウ撮影に関して

春の女神、とも呼ばれているギフチョウは、現在関東地方においては一箇所のみ、石砂山(いしざれやま)でしか見ることが出来ない。登山愛好家なら、もしかしたら登山の楽しみとギフチョウに出合う事の喜びで馴染みの方もいるかもしれない。


ギフチョウの思い出

その昔、東京がまだ「都」ではなく「市」であった頃には東京市中でも普通に見られたらしい。
私が中学生の頃、生物部に所属し昆虫や動物に触れる事も多かった。当時、私の先輩達数人で東京都下の高尾山にギフチョウを採集に行った。戦後、高尾山にはギフチョウがいた・・のだろう。有名であったが私が中学のころには、ほぼ存在しないと思われていた。そんな幻を追い求めてもどうせボウズで帰ってくると思っていた。が、現実には1匹だけではあるが採集できたのであった。なんと、車が沢山通走る舗装された2車線道路横の草に止まっていたとの事であった。それも散々探したあげく、もう帰ろうとトボトボ皆で歩いているときに発見した。

要するに当時でもそれだけ珍しい存在となっていた。
「春の女神」と異名を与えられるだけあって美しい蝶である。美しいが故に受難を背負わされたのは、ギフチョウだけでは無い。多くの美しい蝶が乱獲によって種の絶滅の危機に瀕しているのは事実である。なぜ人は蝶を捕るのか? 美しい存在、プラス経済的な市場原理というものが発生する。例えば某有名ネットオークションサイトの検索で「ギフチョウ」と入れてみればすぐに理解できる。非常に悲しい現実を目にすることとなる。美しくなおかつお金になる・・という理由で、世の中から消えていくわけだ。

ギフチョウの撮影に必要なこと

前置きが長くなってしまった。
今ではそんな珍しい蝶を撮影するにはどうすれば良いのか?
1.蝶の生息地を調べる
2.蝶の発生時期を調べる
3.蝶の幼虫の食草を調べる
4.どんな天候の時に現れるのか
5.どのような習性があるのか
おおよそ以上の事が判れば、後は行動するだけである。

そもそもギフチョウとはどんな蝶なのか?
wikiによると、

ギフチョウ(岐阜蝶・学名 Luehdorfia japonica)は、チョウ目アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科ギフチョウ属に分類されるチョウの一種。日本本州里山に生息するチョウで、成虫はに発生する。近年、里山の放棄、開発などにより個体数の減少が著しい。」と表記されている。

1 に関しては、既に表題にあるとおり石砂山である・・関東では。
関東以外ではあちこち生息地がありまだまだ普通に目撃される存在の所もある。例えば新潟県の日本海側にある弥彦神社周辺は私も過去何度も行ったが発生最盛時期にはかなりの個体数が乱舞する。

2 の発生時期であるが、石砂山の場合は、4月1日を中心にして前後約1週間の間が発生時期となる。もちろん年によって発生の最盛期は微妙に違ってくる。ちなみに、先に雄が発生し、後に雌が発生する。故に、最盛期を過ぎると雌ばかりとなる。具体的な撮影時期の判断は、3月中頃くらいからネットで「石砂山 ギフチョウ」と入れると、その目撃事例や関係掲示板などへの書込を発見しそれによってある程度アタリをつける。もしくは、何度が実際に足を運んで最盛期の予想をする、という2つの方法がある。

3 幼虫はカンアオイという植物の葉を食する。カンアオイの葉っぱを片っ端から裏返して卵を探す人もいる。その調査で具体的な生息域が判るわけだ。

4 いくら適切な発生時期だと言っても天候が良好でなければ目の前に出てきてくれない。やはり天気がよく気温も高く、なおかつ、あまり風の無い日が一番良い。逆に曇りとか雨では絶対に見ることは無い。
ではそんな時、彼らは何処にいるのか? 強風だったり、曇りになり気温が下がったりするとギフチョウの場合翅を畳んで秋から冬に落ち積もった枯れ葉の中に入って行ってしまう。実際、その瞬間を何度か目撃した。

5 ギフチョウに限らず蝶には蝶なりの習性がある。種類によっても違うが、アゲハ蝶やギフチョウの仲間は、同じルートを何度も飛行していく。つまり「蝶道」という彼らなりの通り道がある。闇雲にあちこちを飛んでいるわけでは無い。その為、先ずは蝶道を見極めて、そのルート沿いでじっくり待つことからはじめる。30分くらいで同じ個体が飛来する場合もあれば、もっと長い時間を待たされる場合もある。蝶の撮影は「待つ事」との戦いでもある。
更に、1日の中でも発生する時間帯、と言うものがあり、石砂山において私が調査したところ、一番早い時間で、朝8時半。逆に飛来しなくなる時間が午後3時くらいであった。一番活発に活動するは、午前中の10時頃から午後1時半くらいであった。そして、ちょうど12時前後に一時的に飛来がなくなる時間帯があった。

石砂山へのアクセス

石砂山は、丹沢の北部、神奈川県にある標高578mの山で、公共の交通機関を使用するとなかなか行きにくい。

電車で行く場合: 中央線で藤野駅で下車して、神奈川中央交通バス「やまなみ温泉」行 15分 「やまなみ温泉入口」下車。以前はここから町内運営の様なバスが石砂山の麓の篠原の里まで運行していたが今は無いと思う。
やまなみ温泉入口から篠原の里まで歩くと約40分ほどかかる。
藤野駅からの具体的なタイムテーブルは、以下の神奈川中交通バスのサイトで最新情報を確認してほしい。

藤野駅からタクシーを使用する方法もある。マイカーで行くのが一番良い。
篠原の里には駐車場もある。

撮影ポイント

具体的な撮影ポイントは幾つかあるが一番ポピュラーな場所は、石砂山山頂である。登山は別として、とにかく苦労せずにギフチョウと出合うのであれば、山頂にいればかなりの確率で撮影出来る。麓から風にのって山頂目指して飛んでくる。その蝶が、日当たりのよい山頂の南側に集まってくる。
その山頂で撮影した写真が以下である。

とにかく撮影出来ればOKという方は、これで問題は無いのだが、「どうもバックが土なのはいただけない」と思う方は花に来ているギフチョウにチャレンジするべきだろう。しかし、山頂には目立った花が無い。わずかにではあるが、スミレが咲いておりそこに吸蜜に飛来する。しかし留まる時間はほんの一瞬なのでなかなか撮影することが難しい。

上の写真は何とかがんばってスミレに来ているギフチョウを撮影出来た。

山頂以外での撮影ポイントが幾つかあり、そこでの撮影なら花に来ているギフチョウの撮影も可能である。


梅の花やツツジ、イヌフグリ、桜等に吸蜜にくるギフチョウの撮影も可能である。ちなみに染井吉野やカタクリに来るギフチョウを撮影するのであれば、新潟県の弥彦神社まで行かれることをお勧めする。

上の4枚は弥彦神社周辺で撮影した。桜の開花時期とカタクリの花の開花時期、それとギフチョウの発生時期が重なる為に良い絵が撮れる。

新潟まで足を伸ばすのは大変と思う方は石砂山近辺のポイントでの撮影をお勧めする。
以下はメンバーシップオンリーとなってしまうが、過去に石砂山近辺の撮影ポイントを具体的に記した略図のPDF作成したのでそれを参照して頂きたい。
それと追記として、一眼レフカメラで撮影される方は、撮影モードを「連写」モードにしておくことをお勧めする。

以下は、石砂山ギフチョウの撮影ポイントpdfファイル。

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