空と水の境界 :: 冬の四尾連湖 - 水明荘
1泊2日かけて山梨県の四尾連湖の撮影に行ってきた。
春、新緑の頃の四尾連湖には何度も訪れた事がある。しかし真冬の四尾連湖は一度も見たことが無い。
文化のごった煮
そんなわけで中央線で甲府駅に。そして身延線のホームに移動。
身延線のホームから、すぐ横にある甲府城の稲荷櫓が見える。
帰りに撮影によろうかと思い、視線を右に向けると・・
な、なんと、オベリスクがそびえていた。
この風景で撮影意欲は急転直下、盛り下がった。
なんで城郭にオベリスクがあるのか意味不明!!
そもそも、駅前には武田信玄の巨大な像がある。
信玄は、武田節にもある様に、
人は石垣、人は濠、情けは味方、仇は敵・
という趣旨の元、城は造らなかった。もちろん、甲府城は、武田家が滅んだ後、江戸時代に建造されたのは理解できる。
要するに、城を否定していた武田信玄の像がある横に城があり、そして復元されたその城にはオベリスクがある・・という矛盾した文化のごった煮の世界を見せてもらった訳だ。
キリスト教とイスラム教と仏教を折衷して建物を建てたイメージ・・どんなイメージなのか、自分で書いといて悩む訳だが、そんな悩み多き闇鍋の造作物を見せられて、一気に撮影意欲がなくなった。
もっとも、今回の撮影対象は上記の甲府城では無いから良いのだけども、恥ずかしいという意識は無いものなのか ???
自分たちの(企画者たちの)恥の証であり物証でもあるのだか・・
そんな事を想いつつ身延線に揺られて、四尾連湖最寄りの市川大門駅で下車。
この駅も屋根がなんで中国風なのか意味不明。
駅から四尾連湖までは10数キロほどある。バスなどはほとんど無い。
通常は歩く。登山道もあるのだが基本的に使わない。雨の後は道が川となり、次の日でもぬかるんでいる。そして眺望が良くない。眺望の良い舗装された四尾連湖公園線を歩く。
次第に標高が高くなり振り向くと市川大門の町がみえる。
更に歩くと帯那トンネルがある。
このトンネルを抜けると帯那(おびな)という村がある。村を通り抜け、あがってく行くと藤田(とうだ)という集落がある。
さらに進むと、道路脇に湧き水がある。
特に夏場の暑い日にはとても助かる水場である。
登って行って振り返ると・・
南アルプスの山々がみえる。恐らく甲斐駒ケ岳であろう。
そしてしばらく行くと、
水明荘と龍雲荘の看板が出てくる。
湖畔には、2つの宿があり、私はいつも水明荘の方に御世話になっている。
なぜか・・それは、湖の対岸のキャンプエリアが水明荘の管理であるからだ。テント泊をするなら水明荘一択しかない。今回はテント泊では無く1泊2食付きで部屋に泊めていただいた。
四尾連湖
アニメで紹介された事もあり、ゆるキャンの聖地になってしまっている。
真冬の四尾連湖を見たくて来たわけだが・・
やはり美しかった。
標高850メートルにあるカルデラ湖で、4つの尾を持つ龍神が住むという伝説がある。不思議なことにウナギがいる。水の出入りの全く無いこの湖のウナギはどのように海に産卵に行くのであろうか。
子安神社
湖から少し山中に入ったところに子安神社がある。
数年前に来た時より荒廃が進んでいた。
屋根瓦も落ちかかっている。
「無形文化財」として指定されている。
一言いいたい。
市川大門町には、中国風の碑林公園がある。
いくら紙の町、書の町と言えども中国風の建物をあちこち建て、さらに駅舎まで中国風にして一体何がしたいのか良く判らない。
中国風の建物を乱立する金があるなら、この廃墟となりつつある子安神社をちゃんと修復すべきである。思いつきで観光客目当ての施設をつくるなら、伝統的な遺産に対してもちゃんと予算をつけるべきだ。当の市川大門町が「無形文化財」と謳っているかぎり、町にその維持管理の責任がある。
廃墟となるまで放置するつもりなのだろうか。
水明荘
過去何度かテント泊をした。素泊まりで部屋に泊めていただいた事もあったが、この度は1泊2食付きで部屋に泊めていただいた。
夕食と朝食に驚いた。
夕食
山女魚の甘露煮を初めて食べた。とても柔らかく頭から全部たべられる。あっさりとした味付けでとても美味しい。山女魚の左側にあるお刺身を当初サーモンだとばっかり思っていたが、これが何と、鱒の刺身だそうだ。サーモンよりも美味しかった。ドレッシングとも調和した味付けであった。山女魚は水にこだわって養殖した魚との事であった。おでんの入った鉢とは別に鍋物も出てきた。寒い冬にはとってもありがたい。写真には無いが後から茶碗蒸しが来た。もちろんご飯もある。お酒も熱燗1合を頼んだ。出てきた日本酒にさらにびっくり・・辛口でキレのあるお酒。今まで飲んだことの無い美味しい日本酒であった。ご主人に伺うと山梨の地酒で春鶯囀(しゅんのうてん)というお酒との事。調べたらネットでも販売しているので帰宅してから早速注文。
付け添えの蕗の佃煮をはじめ、その他の品々どれも舌を驚かされる味付けであった。
朝食
一品一品説明はしないが、味付けなどに一工夫されている。根本的にビジネスホテルの朝のバイキングとは全く別物。
これに、ご飯とお味噌汁が付くのだが、ご飯が何と・・黒米。旨かった。
あまりの美味しさに完食。
一泊5万以上の宿も泊まった事がある。食事のクオリティに関してはそれらの宿と同等かそれ以上であった。
美味しい食事とさらに熱燗1合つけて、1泊1万2千円でおつりが来たのでさらにびっくり。料亭並みの食事で細やかな味付けを堪能できて久々の感動であった。それぞれ甲乙付けがたかったが、やはり山女魚はうまかったぁ。宿のご主人のこだわりが伝わって来る食事であった。
5月の風景
過去撮影した5月の四尾連湖の姿も掲載しておく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?