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『現代短歌新聞』2024年10月号

①佐藤文香「現代俳句採集」
〈「一方で(季語の本意は)短詩系文学の自由な表現を制限するものとして、その近代化を遅らせる要因となった」とあるように、本意をどう裏切るか、更新するかというのが、現在季題を中心に書く俳人にとってはやり甲斐のひとつである。〉
 俳句の人にとっては当たり前のことかもしれないが、新鮮に感じた。これに続く、芭蕉の句の話も新鮮。制約の大きさがやり甲斐に繋がるというのは分かる。ちょっと読んだだけでも、季語って怖いなあと思う。

②中川佐和子「人間の心の底 川本千栄『裸眼』書評」
裸眼で見る海の底にんげんの心の底のように荒んで
〈海の底を裸眼でみているときに、人間の心を思った。結句の「荒んで」に、抑えきれない自らの感情があふれ出ている。〉
 とてもうれしい評をいただきました!

③小塩卓哉「短歌文法道場 「ひろごる」か「ひろがる」か」
〈「ひろごる」が和歌で使われているケースは稀なので、近代歌人が好んで使用することで、文語的な雰囲気を醸し出す語として定着した歌語と言えるかもしれません。〉
 こうした語は結構多いのではないか。

④藤島秀憲「短歌の小道具 小さい秋」
その時もそうだったそしてあの時も 曼珠沙華ぞくぞくと起き上がり咲く 川本千栄『裸眼』
〈曼珠沙華が「ぞくぞくと起き上が」るように、次々と思い返されることがある(…)〉
 評していただきました。皆様ぜひお読み下さい!

2024.11.9. Twitterより編集再掲

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