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【ちょっと考察】アンリ・ルソーの夢二夜:「眠るジプシー女」と「夢」
【眠るジプシー女】
夜の砂漠に身を横たえる、ジプシーの女。
ぐっすり眠る彼女の傍らには、一頭のライオン。
百獣の王は、何故か彼女を襲いもせずに、じっと横目で睨んでいる。
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どうして?
ジプシー女の見ている夢だから?
アンリ・ルソー本人曰く
「月の光が詩的だから」だそうです。
よく分からない。
まあ、要はポエムの世界なんだよ~と、ざっくり解釈しますか。
アンリ・ルソーの絵は、だいたい変。
この絵も、やっぱり変。
ジプシー女は、裸足だ。
熱砂の上を、靴も履かずに歩いて来たのか。
寝る前に靴を脱いだ?
いや、靴は描かれていない。
そう暑くない地方で、裸足で歩けたとか?
よく見て。足は綺麗。砂まみれになっていない。
そう。まるでこのジプシー女は、ひょいと運ばれてきて、この砂漠に置かれたように見える。
対して、ライオンには動きを感じる。
高く上がった尻尾。
びっしりと靡く、たてがみ。
こちらに向けた丸い目は、なんだか不安そう……。
じゃあ、これはジプシー女が見た夢ではなくて。
ライオンの方が見ている夢だとしたら。
と思って詩を書きました。
【夢】
こちらのタイトルは、ずばり「夢」。
ルソーが絵に添えた詩があります。
そのまま転記するのも芸がないので、超訳してしまいました。
美しの君
名は ヤドヴィガ
穏やかな眠りの中
縦笛の調べに ふと気づく
おお! そこはジャングル
獣や蛇も揃って 月夜に耳を傾ける
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まあ、この絵は彼女の見ている夢だと、アンリ・ルソーは言っているわけです。
でも、彼女がいるのは、ソファーの上。
そこだけは、現実の地点。
もし、この「夢」が、憧れや幸せに満ちた世界であるならば。
ヤドヴィガは、ソファーなんかじゃなく、ジャングルの中にいて遊んでいるのではないか。
裸の彼女は、そこから動かない。
「ここにいれば安心」とでもいうように。
がっしりしたソファーは、危険な世界にポツンと置かれたシェルターみたいに見える。
描かれたジャングルは、本当のジャングルではなくて。
「ジャングルのような」という、比喩表現であったとしたら。
と思って詩を書きました。
ちなみに、このアンリ・ルソー。
Henri Julien Félix Rousseau(1844-1910)
一息に紹介すると。
生前は評価されず、極貧で、それでも描き続けた我流の画家。
その根性の欠片を分けてもらいたいです。
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