【映画・読書感想】エデンの東(映画1955年)
高一15歳の時に映画を見て、名作とか言うけど、この映画、いいか??とモヤモヤした。双子のお兄さんのアロン、可哀想じゃないか‥
アメリカが戦勝パレードで町が浮かれてる中、「戦争は人道に反する」と、一人暗く険しい顔をしてた兄さん、良かったのに‥
兄アロンと恋人のアブラとの婚約を、「こんな嬉しいことはない」と喜んでいた双子の父親。
なのにその日に、アロンの弟がアブラとキスするのを見て、父ちゃん微笑むって、そんなラストでいいのか!?真面目な兄さん、どうしてくれんだって思った。
時代は、今から100年以上前の、1900年代初頭のアメリカ。日本なら明治か…
アメリカとドイツの戦争のことで、町に住むドイツ人を巡って住民に喧嘩が起こり、それを止めようとして殴られるアロン。
兄を助けようとして喧嘩に入ってきた弟のキャル。でもお前のせいで余計に乱闘が酷くなったと弟を責めるアロン。。
アロンの恋人アブラと、弟キャルの関係が怪しいというのも、アロンの大きな苛立ちの原因に違いない‥
この、町の騒動に駆けつけたでっぷりした保安官さん。人々のいろんな事情、汚いことも辛いことも知っていて、厳しくあたたかい、この町の良心という感じで、ほっとする。
死んだことになっている母親が実は生きていて、娼婦であることを突き止めた、弟キャル。
しかし娼館でトラブルになり、昔からこの双子の父親のことや、事情をある程度知っている保安官さんが、母親に会いに行こうとしたキャルを温かい貫禄で接するシーン。
過去に、妻とうまくいかず、妻に撃たれまでした父親が、今、レタスの冷蔵輸送という新しい事業に夢を託している様子に、キャルは応援したい思いを持つようになる。
しかし、事業は失敗に終わる。。
キャルもとてもショックを受けるが、なんとか父親の助けになりたいと考える。
キャルは、戦争で大豆が高騰することを踏んで、大金を持つ娼館の主人である母親に、資金を借りに行く。
こうやって、ぺたんと腹ばいになったり、飛んだり跳ねたり、イタズラ大好きで、キャルの身軽な柔らかいところはとても可愛い❤️
父親の誕生日、キャルは大豆の高騰で得たお金を綺麗にラッピングして、レタスで失った分にと、緊張してそわそわしながら、父に贈る。
しかし、父親は「戦争で金儲けだと?」と怒り、キャルに「盗んだ農夫に返して来い」と突き返す‥
向かないのに徴兵委員になって、辟易している思いもあり、父親の気持ち、正義感もわかるけど。。これはひどい
「気持ちは嬉しいが」とちらっとは言ってるけど、せっかくキャルがこんなに行動して、心開いて愛情を向けたのに‥
ちょっと「武士の家計簿」の四文銭のシーンを思い出した。
時代、というのも大きいんだろうけど。。
最近、久しぶりにこの映画見たけど、双子はまだ高校生だというのに、そんな大金を成功するかわからないものに賭けるの、父ちゃんどうかしてるわ💦💦
これからの学費、生活費、どうするつもりだったんだ、、、ローン??いやいやいや
そんなんで「善人として生きろ」とか、ないわ~💦清貧とは違うだろうに
「金のことなんか」っていう台詞があったけど、綺麗事ばかり強くて金銭感覚ヒドイ😥
母ちゃんも撃って逃げるわ、と、15歳の時にはわからなかった、ちょっと同情😅キャルは偉いよ
兄は破滅、父親はショックで卒中、弟はこの地を出ていこうとするが、聖書の「カインは立ってアベルを殺し、エデンの東ノドの地に住めり」とはならず、父親のもと、ここに留まる、という最後。
高一で映画を観てすぐ、スタインベックの原作も読んだ。小説は長かった。。映画と全然違う。。。こんなにも変えていいのか??と思った。
まず、主人公が違う!映画は双子の弟、キャル(ジェームズ・ディーン)が主役だけど、小説はその父親が主人公で、父親が生まれる前の話から始まる。しかも実は父親ではない!母親は「魔性」の女で、「私が、あんたみたいな間抜けな男の子どもなんか生むわけないだろ?」とかせせら笑ってたはず。
原作で、とっても重要な中国人のリーという人物が、映画にはいない。
これはやっぱり、映画はアメリカのもの、という時代だったんだろうな。
ああ、なんてものを読んでしまったんだ‥と思った。
すっごい怖かった。。二度は読めない
奴隷として連れてこられた、大勢の中国人の男たちの中で生まれたリーのくだりは、あまりに恐ろしくショックで、しばらく本を閉じて読めなかったほど、私のそれまでの、男性に対する見方を大きく変えた本なのは間違いない。
男性を嫌だと思ったというより、可哀想だと思った。男に生まれたら、こんなにも凄まじいものを背負って生きなければならないのか‥そう思った。
男を相手に火遊びしようだとか、そんな発想は恐ろし過ぎてできない
「魔性」の女の存在、頷ける。
魔女裁判に多くの無実の女性を吊るした、少女アビゲイルとか、「3月のライオン」の、ひなちゃんが中学の時に執拗にいじめてきた女とか、根に同じようなもの感じる。
サイコパス‥ になるんだろうか?確かにいる、っていうの、ある。
そんな、深刻な深刻なストーリーの上に、それでも生まれつきだけでなく、映画では「人は道を選べる」という言葉にあたる、「ティムシェル」という、小説の最後の言葉は、希望だった。