20文字で「ウミガメのスープ」を書きました
この企画は小牧幸助様が部長を務めておられるシロクマ文芸部なるnote内部活の一環として行なわれているもので、要件としては「20字で小説を書く」という極めてシンプルなものです。
「ウミガメのスープを小説って言っていいのか?」
「これ扱いとしてはむしろゲームじゃないの?」
…等々のご意見ご批判があることは承知の介ですが、ウミガメのスープについて何の予備知識もない方がこれを見たら小説に見えないこともないんじゃないかと思い、参加させていただきました。まぁ選外だったとして、別にこれで賞を狙っているわけでもないですし。
ところでこの話をご存知ない方が「ウミガメのスープを飲んだ男が自殺した理由」についてどれだけ考えても、おそらく真実にたどり着くことはないでしょう。これはそういった推理小説の類ではありません。
このゲームはプレイするにあたり、参加者が最低でも2人以上は必要です。
プレイヤーは出題者(1人)と回答者(その他全員)に分かれます。
あなたが出題者になるのであれば、あなたは以下のサイトなどを見て物語の真相を知ってください。
いかがでしたか?初見の方でしたら「そんなもんあれだけの文章から分かるワケないじゃないか!」と言うことでしょう(あ、ちなみに「あの正体」のバリエーションには「仲間」「息子」「恋人」など諸説あるようです)。
上記のサイトを見て真相を知ってしまったあなた(もしくはそんなのとっくに知ってるよというあなた)は、残念ながら回答者としてこのゲームに参加することはできません。誰か回答者になる方を探してきたください。
回答者となるプレイヤーが1人以上いたら、ゲームを始めてください。
もう一度、問題文を書いておきますね。
回答者はこれに対して、出題者に質問をすることができます。
出題者は回答者に対し、どんな質問に対しても
「はい」
「いいえ」
「関係ありません」
の3通りしか回答することができません。
(「分かりません」という回答を認めている場合もあるようです)
つまり回答者は、出題者に対して「はい」か「いいえ」で答えられる質問しかしてはならないということです。
「そのスープは美味しかったですか?」という質問はOKですが、「そのスープを飲んで男はどう感じましたか?」といった質問はNGです(「はい」か「いいえ」で答えられないため)。
では、少しやってみましょう。
質問を繰り返せば繰り返すほど、回答者は物語の真相に近付いていくことでしょう(見当外れの方向に推理が広がっていくこともありますが…)。
その末に回答者が男の自殺した真相らしきものにたどり着けたと判断されたなら、このゲームはそこで終了となります。お疲れ様でした!!
この類のゲームは「水平思考推理ゲーム」(Lateral Thinking Puzzles)と呼ばれています。与えられた問題に対し、様々な角度から質問し、推論することで水平思考(Lateral thinking)、すなわち既成の理論や概念にとらわれない問題解決の手法を鍛えるゲームとされています。
まぁそこまで堅苦しく考えなくとも、この類の「ウミガメのスープ」的な話を2~3知っているだけで、ドライブ中や電車の中でのヒマ時間が楽しいものになることでしょう。しかもこのゲーム、プレイするのに特別なゲームボードは必要ありません。しゃべる口と聴こえる耳さえあれば誰でも参加可能です。人が大勢集まる場のレクリエーションにどうですかこれ。
ということで、今回は20文字で書く小説というテーマから広げて「水平思考推理ゲーム」の紹介をさせていただきました。「ウミガメのスープ」自体は有名な話なので多くの人にネタバレしてると思いますが、これのバリエーションがこの通りたくさんありますし、何ならこれをお読みのあなたがオリジナルの問題を考案したっていいと思います。秋の夜長のヒマつぶしになれば幸いです。
ちなみに私は「ウミガメのスープ」なる食い物をこれまでに如何なる飲食店でも目にしたことはありませんし、実在するのかも知りません(笑)。
(了)