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📖この本で孊んだ぀のこず 『教育珟堎は困っおる 薄っぺらな倧人を぀くる実孊志向』 抎本博明

①読曞は抜象思考を高める

本をよく読み、知識も倚く取り蟌み、語圙を豊富に持぀孊生の方が、抜象的な抂念を駆䜿しお思考を深めるこずができる。

②日本教育には、協同はいらない

個人が自己拡匵の原理で働く瀟䌚では、他者ずの協同を教育する必芁があるかもしれないが、日本のように個人が絶えず他者に配慮しながら自己芏制しお行動する瀟䌚では、あえお教育の䞭に、他者ずの協同を意識的に組み蟌む必芁は無い。

③耇雑的な芖点があるからこそ自分の意芋を蚀えない日本人

日本人がどうだず自分の意芋を述べるこずができないのは、日本文化においおは、認知的耇雑性の高さに䟡倀が眮かれおきたのではないかず考える。自分の意芋がないわけではなく、しっかりあったずしおも、人の意芋を聞いおいるずその人の立堎もわかるし、そう蚀いたくなる気持ちもわかるし、盞手の芖点から芋ればそういう理屈も成り立぀ように感じられるため、反論しにくくなる。あるいは自分の意芋を蚀う際にもそれが絶察的なものずは思えず、別の芖点から芋れば違う理屈もあるだろうなず思うからこそ、自信たっぷりに述べるこずができない。

④教育界における䞻匵 「知識䌝達ヌ知識需芁」からの逞脱

倉化の乏しい静的な瀟䌚では、知識の䌝達が䟡倀を持ち、知識䌝達ヌ知識受容型ず蚀う圢の教育が有効だった。しかしこれからの倉化が激しく予枬䞍可胜な瀟䌚では、既存の知識の䌝達の䟡倀は薄れるため、知識䌝達ヌ知識受容ずいった圢の教育では察応できない。故に知識䌝達ヌ知識受容型教育から出しお、孊習者が受け身にならずに、胜動的に孊び、孊んだこずを生掻実践の䞭に生かせるようにしないずいけない。このずこの教育改革においおは、そのような䞻匵が盛んに蚀われおいる。

⑀孊習者ず教員の盞互䜜甚によっお生たれる䞻䜓的な孊び

わかるこずによっお、授業や教授者に察しお心が開かれおいる時、授業が楜しいず思うようになり、「もっず孊びたい」ず思うようになるこずを指摘したが、できるだけわかりやすい授業を工倫するこずで孊習者の䞭に眠っおいる「わかりたい」ず蚀う思いを目芚めさせるこずが必芁。
わからないこずがわかるようになるのは、誰にずっおも嬉しいこずであり、もずもず誰もが「わかりたい」ず蚀う思いを持っおいるはずである。ずころがわからない授業を数限りなく経隓するこずでわかりたいず蚀う思いが抑圧されおしたっおいるこずが少なくない。ただし、孊習者の偎にいくら孊びに察する積極的な姿勢があったずしおも、教員の偎に知的奜奇心や自分の生掻に掻かしたいず蚀った思いを満たす力量がなかったり、孊習者の心を刺激したいず蚀う情熱が乏しかったり、授業の圢匏が、孊習者の知的奜奇心を満たすものでなかったりすれば、胜動的、䞻䜓的な孊びにはなっおいかない。ゆえに、胜動的、䞻䜓的な孊びず蚀うのは、孊習者ず教授者の盞互䜜甚によっおみなされるものず蚀える。

⑥日本ずアメリカの母芪が子䟛に芪が期埅するこず

【日本】
・埓順さ
・情緒的成熟、情緒のコントロヌル
・共感・同情・他人ぞの心配り
・協調性
【アメリカ】
・瀟䌚的スキル
・自己䞻匵
・自信

理想ずする人間像が党く察照的であるので、教育によっお人栌圢成をしおいく方向性も倧いに違っおいるのが、自然。

⑊胜動的な孊び手に取っお挫談は満たされない

胜動的に孊ぶ意欲があり、知的奜奇心が匷く、知的満足が埗られるものを吞収したいずいう気持ちのある者にずっおは、わかりやすく、か぀知的刺数に満ちた授業が楜しいずいうこずになる。
もちろん胜動的に孊ぶ意欲のある孊生にずっおも遊びの芁玠は楜しいし、挫談はおもしろいだろうが、それが孊びに぀ながっおいないず満足には結び぀かない。ただの遊び、ずくに知的芁玠が感じられない挫談では、授業の意味が感じられない

⑧自信満々さの裏にあるコンプレックス

欧米コンプレックスのせいなのか、䜕かずアメリカ流を取り入れようずする日本の教育政策だが、前項で囜語の授業に関しお指摘したように、どの授業でも意芋の発衚や蚎論を重芖し、プレれンテヌション・スキルばかりを磚かせようずしおいる。
その結果、薄っぺらいのに自満々な人間が量産されおいく。
ものごずをより耇県的にずらえるべく、ただただ倚くの知識や芖点を取り入れ、さたざたな経隓を積んでいかねばならないずきに、単现胞な頭でたずめた意芋を効果的にプレれンテヌションするスキルを磚くのに授業時間を費やす。それでいいのだろうか。深い孊びを目指しおいるのではなかったのか。
欧米人のように堂々ずプレれンテヌションができるのは玠晎らしい、自分もあんなふうに堂々ずできるようになりたい。そんなふうに思うコンプレックスの匷い人が倚いずいうこずだろう。
私などは、自信満々にプレれンテヌションしおいる人の姿を芋るず、䞭身の乏しさを、衚珟力で必死で、内容で薄っぺらさを感じおしたうこずが倚い。䞭身が充実しおいるなら、もっず自然䜓で話せばいいのにず思っおしたう。そんな時、劣等コンプレックスを軞に据えた心理孊を打ち立おたアドラヌによる次のような蚀葉を思い出す。
䟋えば、われわれが、もし誰か傲慢な人を芋るならば、われわれは、圌が、「他の人々は私を芋䞋しがちだ。私は自分が倧した者なのだずいうこずを芋せねばならぬ」ず感じおいるず掚枬できる。もし、われわれが、話すずきにゞェスチャヌたっぷりな人を芋るならば、われわれは、圌が、「私の蚀葉は、もし私がそれらを匷調しないなら、䜕の重みも持たないだろう」ず感じおいるのだず掚枬しうる。自分が他者に察しお優越しおいるかのように振舞うすべおの人の背埌には、隠そうずいう特別な努力を芁求するような劣等感がうかがわれる。
それは、あたかも、背が䜎すぎるず恐れおいる人が、自分を倧きく芋せるために぀た先だっお歩くようなものである。
䞭身が充実しおいれば、衚面的なテクニックを磚かなくおも、ふ぀うに話すだけで説埗力がある。その方が奜感が持おるし、信頌もできる。
教育を受ける段階では、䞭身を充実させるこずに力を入れるべきではないのそれずも、芋かけ䞊の衚面的なテクニックで説埗されるような、いわば読解力の乏しい人々ばかりの瀟䌚になっおしたったから、もはや衚面的なテクニックを孊ぶたけで足りるずでもいうのだろうか。

⑚日本文化の良さは傟聎ず盞互理解

日本人の吞収力は䜕に由来するのかそれは人の話にじっず耳を傟ける。姿勢によるずころが倧きい。アメリカの授業ではしきりに蚎論をする。だから、日本の授業でももっず蚎論を取り入れるべきだず蚀うこずなんだろうが、それは文化的背景を無芖した愚かな発想ではないだろうか。自分ず違う考えに察しおすぐに反応するような文化では、耇県的思考の習慣を身に付かないだろう。自分の芖点からしか物事を捉えるこずができないためすぐに議論になる。そのため争い事が絶えず蚎蚟瀟䌚になっおいる。自分の芖点を絶察化しお、盞手をやり蟌めないず生きおいけない文化ず、お互いに盞手の芖点に想像力を働かせながら協調しようずする文化には孊び方が違っお圓然だろう。
そもそも日本ずアメリカでは人々の話す蚀葉が違うだけでなく、コミュニケヌションの様匏も異なる。たずは盞手の意芋をよく聞こうず蚀う文化では傟聎ず盞互理解が倧切になる。だが、ずにかく自分の意芋を積極的に䞻匵しようずする文化では、盞手を説埗するこずが倧切なる。埌者では自己䞻匵や蚎論のスキルが重芖されるのは圓たり前だが、前者の文化圏でそれを真䌌る必芁があるのだろうか。薄っぺらい自己䞻匵より思慮深さが日本文化の特城だったのではないのか。
ある心理孊者は、アメリカ人は人の話を聞くずきに頭の䞭を自分の考えでいっぱいにしお聞くが、日本人はブランクの空間を䜜っお聞くず蚀われたず蚀う。
぀たり、アメリカ人が入っおくる意芋に、垞に自分の意芋を察眮しお、い぀もむ゚スノヌずチェックする態床で聞くのに察し、日本人の聞き方はそういう門番を眮かずずにかくそのたた頭のブランクの郚分に取り組み、それから埌で頭の別のずころにしたっおある自分の意芋ず照らし合わせるず蚀うのである。
自己芖聎力や説埗力を身に付けないず生き抜いおいけない。欧米瀟䌚ず謙虚さや協調性を身に付けないず受け入れおもらえない。日本瀟䌚ではコミニケヌションの方が異なり、教育によっお身に付けおいくべき性質や胜力も異なっおいる。

⑩キャリア教育の意味

䜜家の塩野䞃生は、出身校の高校生掻の若い頃に䜕をやりたかったず尋ねられるず、倧孊生の時に自分がやりたいこずなんおわかるわけがない。わからないほうが健党だず答えおいる。さらには自分はどの山に登ろうかなど党然考えない。䜕かの山に登るずたた別の山が芋えおくる。今の日本の匱いずころは先を読たないず前に進めないずころじゃないかず述べおいる先がたすたす読みにくくなる時代に、将来のキャリアをデザむンするこずに、果たしお意味があるだろうか。

⑪䞍確実な未来にポゞティブに備える力

キャリア心理孊者たちの新しい理論では、私たちの距離は、偶然の出来事によっお倧きく巊右されるず蚀う前提に立ち、将来の予枬に基づいお行動蚈画を立おようずするよりも、偶然を自分のために生かすにはどうしたら良いかに力点を眮くべきだずする。70%の孊生が自分の経歎は、予想倖の出来事に重倧な圱響を受けたず答えおいる。18歳の時に考えおいた職業に぀いおいる人はわずか2%しかいなかった。それなのに3幎埌、5幎埌、10幎埌、20幎埌30幎埌の自分のキャリアをデザむンさせるような教育に意味がないだろう。倧孊生を察象に実斜した調査では、10幎前どころか、5幎前でさえ今の自分を予想しおいなかったず蚀う孊生が61%で予想しおいたず蚀う。ゞェラットは積極的䞍確実性ず蚀う新たな枠組みを瀺した。ここで匷調されるのは、将来ず蚀うのは䞍確実なものであり、その䞍確実性を吊定的にではなく、肯定的に捉えようず蚀うこずである。そこでは予枬䞍可胜で曖昧さに満ちおいる。䞖の䞭の動きにうたく察凊しながら、自分のキャリアを䜜っおいくのサポヌトするこずが重芖されるどのような出来事が起こるかコントロヌルできないが、たたたた起こった出来事ぞの理解ず察凊の仕方がその埌のキャリア圢成を倧きく方向付けるず考える。

⑫チクセントミハむ フロヌ䜓隓

チクセントミハむが唱えるフロヌ䜓隓ずいうものがある。勉匷、仕事、趣味などにおいお、楜しいず蚀うこずの意味を考える際の参考になる遊びの性栌を持぀。䜕かをしおる時こそ人はワクワクしながら楜しめその掻動に没頭できる。ただしそこには自分の胜力を最高に䜿っお䜕かに挑戊しおいるこずが条件ずなる。その時。集䞭力が高たり、散挫差がなくなり、時間を忘れ、自意識も消滅し、そのこず自䜓に没頭する。そのような状態のこずをフロヌず呌ぶ。

⑬自己コントロヌル力こそが日本教育が育おる力

2000幎にノヌベル賞受賞した経枈孊者ゞェヌムズヘックマンは、人生のどの時点においお教育に金をかけるのが効果的であるかを探る研究を行っおいる。そしお小孊校に入る前の教育がその埌の人生を聞く䜜業するこずを実蚌しお芋せた。しかも修孊前教育で特に重芁なのは、IQのような認知胜力、いわゆる知的な胜力を高めるこずよりも、忍耐力や感情コントロヌル力、共感性やる気などの非認知胜力を高めるこずだず蚀うこずを芋出した。非認知胜力ず蚀うのは、自分を動機づける力、自分を信じる力、他者を信頌する力、自分の感情をコントロヌルする力など、知的胜力ずは異なる胜力を指す。その栞ずなる芁玠が自己コントロヌル力である。最新の心理孊研究でも自己コントロヌル力が人生の成功を倧きく採甚するこずが匷調されおいる。アメリカでは1000人の子䟛を察象に生たれた時から32幎にわたっお远跡調査を行った結果、子䟛時代の自己コントロヌル力が、将来の健康や富や犯眪を予枬するこずを発芋した぀たり我慢する力、衝動コントロヌルする力、必芁に応じお、感情衚珟を抑制する力など自己コントロヌルが高いほど倧人になっおから健康床が高く、収入も高く、犯眪を犯すこずが少ないこずがわかった。このような自己コントロヌル力はたさに日本の子育おや教育においお䌝統的に重芖されおきたものである。


いいなず思ったら応揎しよう