読書人間📚『世界の仰天「むかし話」』由良弥生/ 悪魔.妖怪.呪い🦹♀️
『世界の仰天「むかし話」』由良弥生
2014年 初版第一刷発行/文芸社文庫/ 281頁
(1999年.廣済堂出版『身の毛もよだつ世界「残酷」むかし話』の改題、加筆・修正、文庫版)
ヨーロッパの仰天「昔ばなし」
日本の仰天「昔ばなし」
中国の仰天「昔ばなし」
▶︎五月の三つの桃(フランス)
これはどっちもどっち。悪い。身分の低いものも低俗、身分の高いものも傲慢。身分の違いなだけで、人間としてはどちらも最低。
この時代、階級を越えられない現実から、身分の低い者たちは空想し、人々の口により伝えられてきたお話。人は怒り、憤懣にあらゆる悪さを想像してしまうのでしょうが、このお話、想像の域を越えていました。びっくり。まぁでも愛人なら目を瞑ってもらえると言う格差は今でも、どこでもあるかもしれませんね。
これは一般的に日本では胸糞系と言われるところに分類されると思います。大衆向けではありません。わたしは人間の愚かな醜さを表現する作品を好んで読みますが、皆さまはむやみに触れぬよう気をつけてお読みください。
▶︎死せる花嫁(ブルガリア)
『悪魔の花嫁』(デイモスのはなよめ)と言う漫画を小学生低学年の頃、むさぼるように読んでいたのを思い出します。怖いけれど、ちくんとする胸の痛み。恐怖と愛を同時に感じさせる癖になる作品です(悪魔が美形だなんてずるい)。
この『死せる花嫁』は吸血鬼ドラキュラを連想させますが、実際、15世紀、ルーマニア地方でドラキュラと呼ばれた男が存在したそう。後世、作家たちが、彼とスラブ世界の伝説を重ね合わせたと言われています。蠱惑的でわたしには好みのお話です。
『悪魔の花嫁』(デイモスのはなよめ)
漫画コミック全17巻/ホラー・ファンタジー
原作・原案 /池田悦子
作画 /あしべゆうほ
▶︎生き埋め(スウェーデン)
日本でも、川に橋を架けるときに人柱(ひとばしら)と言う生き埋めの儀式があったと言います。
このお話は伝染病で気を狂わせた人間たちが行った異常な振る舞いですが、日本だとて変わりません。他国を蔑むばかりではいられません。同じ人間です。落ち着いて正常に物事を見なければなりませんね。
▶︎腸を掻き出された女『聊斎志異』(りょうさいしい)中国の短編集
作者:蒲 松齢(ほ しょうれい)
この本はたびたび、呻きの声が書き出されます。
「げっ......ッ」
この農夫の驚きはわたしにもわかりますが、はて、農夫が目にした男女は一体何者だったのか...。
聊斎は大飢饉の年に生まれ、食べられるものは何でも、墓に埋められた死者の肉まで口に入れたと言われているそう。そんな環境に秀才が生まれ出た事が日本文学の宝になっています。芥川龍之介『酒虫』、太宰治『竹青』など『聊斎志異』の原案を題材に書かれているとのこと。オォ、何も知らずさらっと読んでしまうところでした。
(『聊斎志異』(りょうさいしい)全16巻、431篇。
怪異文学の最高峰とも言われている。)
▶︎『新著聞集』(しんちょもんしゅう)日本三大説話集の一つ。18巻。377話。
奇怪篇▶︎忘れられない人肉の味
まさかの行動にわたしも思わず「あ」と声が漏れる。
冤魂篇▶︎夫を狂わせた妻の霊
妻に本気で憑依されてしまう悪い夫。狂い死にも致し方ない。そして死んでも逃げられない。
雑事篇▶︎人面瘡
ところで、何故、その蛇のごとき妖怪は憑いてしまったのか。
メモ✍🏻
「説話集」とは、神話・伝説・童話などの総称。
説話は、時代・人物が固有名詞で語られるもの。
小泉八雲の『茶碗の中』の元話や、第二次世界大戦前の道徳の教科書に掲載された元話もある。
日本の怪奇彈は面白いですね。
妖怪と言えば、江戸時代後期に活躍した浮世絵師、鳥山 石燕(とりやま せきえん)。石燕に影響を受けた水木しげる。去年、図録で見たばかりの葛飾北斎の絵が頭に浮かびます。
こちらのサイト▶︎https://news.line.me/articles/oa-japaaan/df11037a5846
記事の一番最後に石燕の『画図百鬼夜行』のフルデータが添付されています。オォ! なんか凄い。得した気分です。ここに↓掲載しますが、直接ダウンロードされた方が断然明瞭です(切り抜いた画像はわたしの好みです)。
水木しげる(1922年〜2015年)93歳没
わたしは"小豆洗い"妖怪がツボかな。
葛飾北斎『大北斎展・図版』1993年 朝日新聞社刊行から。知人宅で発見した立派な図版。有名な大波の絵も写真を撮りましたが、一番惹かれて写真を撮ったのはやっぱり妖怪たちでした。
ポルターガイスト、黒魔術、ドッペルゲンガーなどは、海外だけのお話かと思いきや日本にもあります。人間、空想する事は同じなんですね。呪いは世界中にあり、その分悲しむ人も大勢いる。怪奇だけに、血生臭く終わる話もあれば、こころを解くようなお話もある。人はそうやってバランスを取って生きているのかもしれませんね。
こういう本は楽しくて、時間と懐が許せばいくらでも耽っていられます。むかし話系の本はまだ控えているのでまたご紹介します。
カバーイラスト 北見 隆
カバーデザイン 熊澤正人+平本祐子
🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。
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