鳥見散歩<N貯水池編>2023年8月 ヨシゴイを追いかけて
先日、N貯水池に行ってきました。
大雨が降って川が氾濫しそうなときに水を逃がすための施設です。
普段はハスや葦が生い茂り、たくさんの鳥が暮らしています。
貯水池の水が減ってしまったのと、ハスや葦が一層こんもりと茂ってしまったのとで、鳥が全く見えませんでした。
空を飛ぶところは見られるのですが、どこかに降り立つと見えなくなってしまうのです。
私はカワセミを見たいなというのもありました。
カワセミなら泥のところではなく、水っぽい場所だろうと考えて、水とハスの境界が見えるところで待ちました。
今のN貯水池は条件が悪いという噂が広まっているのでしょう、いつも大勢のカメラを持った人がいるのですけど、今日は人影が見当たりません。
車が停止して、バタンとドアを閉じる音がしました。
車から降りてきたのは年配の男性と女性でした。
こちらに来なければいいのに、他に人がいないので私の方に来たのでした。
「何かいたかい」
「そこにオオヨシキリ、そこにヨシゴイが入りました」
私は情報を大盤振る舞いしましたが、どちらも草深い茂みで鳥の姿は見えませんでした。
その人は私が撮影しているとこちらにやってきて隣でパシャパシャ撮っていきました。
そして黙って去って行きました。
あからさまだなぁ。
ま、いいんですけどね……。
そのふたりがいつの間にかいなくなって、またしばらくした後。
車が停止して、バタンとドアを閉じる音がしました。
今度は年配の女性がひとり。
こちらに来なければいいのに、他に人がいないのでやっぱり私の方に来たのでした。
「今年はじめてきたの、どこで見たらいいか教えてくださる?」
「私はハスとカワセミが目当てなので、水が多い、ここにいるんですよ」
私は鳥屋さんたちがいつも居る場所を教えたのですが、その人は私の隣から移動しようとしませんでした。
その人は、いろんな話をし始めました。
大昔、N貯水池はこんなにハスが生えていなくて、鳥が見やすかった。
先週、大きなヒョウが降って、買って1年目の車がボコボコになった。
軽井沢に行ったらトキがいた、足輪を確認してトキ保護センターに連絡したら「環境省の仕事だから知りません」と言われてショックだった。
娘がコロナで仕事をクビになって家にいる。旦那も定年退職で家にいる。お昼にはコンビニ弁当でも食べているだろう。
この時期はコアジサシが来ているから川や池を探すといい。
こんな感じで、家庭の愚痴と鳥の話が半々くらいでした。
その人は、カワセミが来れば教えてくれるし、ヨシゴイが見えれば教えてくれるのでした。
ヨシゴイのことを「素敵な紫の羽根」と褒めるのも楽しく聞いていました。
なんだかんだで話していて楽しかったのですが、私はランチに素敵計画を立てていたので、タイミングをはかって辞去してきました。