スコープを持って沼へ 鳥見散歩<A沼編> 2024年3月
鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんと梅花公園で待ち合わせをしました。
ところが、梅の花見客が多くて、これでは鳥がいないだろうと、近くのA沼に移動しました。
そういうわけでA沼へ。
早くも水を貯めはじめたようで、A沼は満水状態でした。
モカさんと
「渇水だと言われているから、早くから水を貯めはじめたんじゃない?」
「雪解け水が期待できないものね」
そう言いあいました。
屋根のあるベンチを見つけてそこに腰掛けました。
A沼の真ん中にはサギ島があります。
今この時も白いサギの背が見えました。
「ちょうどいいね」
そう言って私は持っていたフィールドスコープの三脚を広げました。
先日、ついに買ってしまったフィールドスコープ。
日本野鳥の会で販売している初心者用セット(KOWA社のTSN-664)、ゆる支部を通して注文したらちょっと安く買えました。
私が20倍でサギ島にいる白鷺に焦点を合わせて、モカさんに見るように進めました。
するとモカさんはスコープをちょいちょいと操作。
それから私に見るように促しました。
「でかっっ」
モカさんは60倍にして返したのでした。
私の反応に、満足そう。
「でも、おかげであれがコサギだって分かりました」
小枝の間から、くちばしが黒く見えたからです。
「ハシビロガモがいるね」
「1羽だけコガモがいる」
「オオバン」
沼のまわりを少し歩くことにしました。
スコープを持って、どのくらい歩けるかも把握しておきたいですから。
先ほどのベンチからは見えない位置にカルガモが隠れていました。
道路を挟んだ隣にA小沼があります。
私たちは道路を渡ってそちらの沼に行きました。
早速見つけたのはコサギで、さらさらの羽根を揺らしながら水面を歩いていました。
「きれいだね」
「繁殖羽根ね」
A小沼にも真ん中に島がありました。
葦の影にコガモがたくさん集まっていました。
私の目は周辺の桜に行きました。
「これ、河津桜ですかね」
花盛りの角度を探して撮っていると、モカさんの声が聞こえました。
「カワセミ!!カーワーセーミー!」
慌ててモカさんのそばに行くと、葦の中ちょこんとカワセミがいました。
「本当だ」
さっそくスコープを合わせようと思いましたが、カワセミの前に細い葦が何本もあったので、かぶらない位置を探しました。
そういう場所はモカさんが先に見つけていて「こっちこっち」と手招きしました。
モカさんのおすすめはカワセミの真正面でした。
さえぎるものがなく、カワセミがよく見えました。
さっそくスコープで合わせて、モカさんに見るように仕草で言いました。
スコープをのぞいたモカさんは調節をちょいちょいと動かして自分好みに変えました。
モカさんが、どうぞと仕草でいうのでのぞいたら、そこには拡大カワセミが!
カワセミは右の羽根を上げて、脇の下をくちばしで整えはじめました。
くちばしをおなかに強く当てて、おなかの羽も整えました。
おなかをくちばしでかき分けると、奥の方の羽根は真っ黒でした。
こんなにゆっくりカワセミを見られるのも珍しいです。
せっかくなのでと思って、周囲をキョロキョロ。
通りすがりの誰かにスコープをのぞいてみてもらえたらと思ったのですが、近くにはあいにく誰もいませんでした。
少し離れたところに花撮りの高齢者、壮年のアベックがいたくらい。
カワセミの周囲にはコガモがたくさんいて、オスがメスへのアピールの真っ最中でした。
胸を反らせたり、おしりの黄色い羽根を高く持ち上げたり。
それに対してクールな反応のメス。
見ている方はドキドキ。
「そろそろお茶の時間にしようか」
そういうことになって、A小沼の周囲を歩き始めました。
壮年のアベックが、私たちが元いたところに立って沼を見ていました。
それを見ながら
「カワセミ、分かったかね?」
「コガモを見ているんじゃない」
興味があるなら近くに来てくれればいいのにと思いました。
私はモカさんに
「探鳥会で『スコープをみんなに見てもらうのが好き』って言っていた人がいるんだけど」
「その気持ちが分かった気がするよ」
そんな話をしてA小沼をあとにしました。