青い空と蒼いダム底 探鳥会レポート<Yダム編>2/3話 2024年12月
先日、ゆる支部が主催した探鳥会に参加してきました。
観察場所はYダムです。
探鳥会ご一行が歩き始めたところ、大きめの鳥が慌てて飛んで逃げました。
「キジ!」
飛ぶときに膨らませた尾羽、頭の両横に付いたひらひら、確かにあれはキジのシルエットだと思いました。
これに異を唱えた人がいました。
「ヤマドリ!」
えぇー、どこが?
スコープ隊のOさんが
「あれは絶対に『ヤマドリだ』と言い張るぞ」
と、いい顔をしませんでした。
ヤマドリだと言ったのは首都圏の人でした。
その人はカメラを持っていたけれどみんなにヤマドリの写真を披露しようとはしませんでした。
ゆる支部はもめ事を嫌って、ヤマドリになってしまうかもしれないと思いました。
近くにいた女性が
「向こうにいるのは何?」
そうに言われて、カメラの望遠レンズを使ってみてみると、カルガモでした。
Yダムではカルガモの方が珍しいようでした。
なぜか知らない女性がいろいろ話しかけてくれました。
リュックサックに日本野鳥の会歴代ピンバッジが並んでいたことから私より鳥見歴は長そうだと思いました。
私が役員の腕章を付けているから話しかけてくれたのかもしれませんが、本当はヒヨッコ役員なので申し訳なく思いました。
探鳥会ご一行は、少し歩いては湖の鳥を伺いました。
「オオバン!」
スコープ隊のOさんが
「世界のオオバン」
と言いながらオオバンをスコープに入れてくれました。
説明すると長いのですが、SNSで「世界のオバハン」という看板をオオバンと読み間違えた人を見かけたことがあるのです。
元は誰かの勘違いだけど、「世界のオオバン」は私のお気に入りフレーズというところ。
よく覚えているなと感心しながらスコープを覗かせてもらったらオオバンは左に泳いで抜けて行ってしまいました。
スコープ隊のOさんがもう一回入れ直してくれて、オオバンを楽しみました。
植物担当Nさんが
「ダムができたばかりの頃はこの辺にオオバンがたくさんいた」
「夏はダムの水を抜いて、冬はダムの水を貯めます。その水位の差は30メートル」
こんなことを話して教えてくれました。
ダムの水はきれいと言うより、引きずり込まれそうな深い蒼色です。
水没林の淡い色が湖の蒼をいっそう深い色に見せました。
いつの間にか雪は止んでいました。
青い空も雲の間から見えました。
「トビ」
「2羽いる。あっ、3羽」
日が差して気温が上がったのか、トビが上空を飛び始めました。
前を歩く参加者がダムの反対にあるやぶを覗きこんでいました。
「何かいました?」
「シジュウカラ」
やぶを見ていると、確かにカサカサ動いたような。
「あの辺ですね」
シジュウカラが3羽ほど枯れ木を移動していました。
小鳥を見て、やっと探鳥会らしくなりました。
さらに前方から「ノスリ」と聞こえました。
上空に猛禽類が見えましたが、ノスリかどうか判別する前に遠くへ消えて行ってしまいました。
3につづく。