タスク管理(4) あるいは「流氓の小さな夢」
第3回までの内容のまとめ
我々の組織は香港の油麻磡村のはずれの方にシマを持つ、
「老王盟」の下部組織で「十四虎」の下の「五娘会」で、
大窩口站からも遠く、大きな売りはありません。
売りは主に葉っぱで、後はサウナへの派遣業と、
地元のからの、みかじめ料ぐらいです。
最近、「十四虎」からの上納金の要求が増えたようで、
あねごから、もっと稼げと言われました。
うちと同じような規模の、
「斧頭会」の下部組織「龍の眼」が「天使の粉」と「葉っぱ」を
主に扱っています。
うちも売り上げをあげるために、
「天使の粉」を売ることにしました。
サムの兄貴とキョンの兄弟が、
タイに「天使の粉」を仕入れに行っている内に、
「龍の眼」より先に販売ルートと売人の確保をするように言われ、
情報集を始めたところ、
「龍の眼」にブツが入荷するのは来月の末と分かった。
タスク管理(4)あるいは「流氓の小さな夢」
シマにいる売人は全部で20人ほど、
うち、5人は「斧頭会」の杯を受けているので、
こちらには流れないだろうから、
残り15人を今月中に、うちの傘下に入れるか、繋ぎをつける。
少なくとも、来月のはじめ、3週間後には繋ぎを付けなければいけない。
俺とDで、大まかは決めて、ダメな時は、
南哥に出張ってもらうように、お願いした。
Dには5人の売人を割り振り、残りを俺が引き受ける。
15Kgもの「天使の粉」をさばくのだから、
どの売人がどれぐらいの販売能力があるのか、
どの売人がうちに付きやすいか、
どの売人が信用できるかなどの情報収集を先に行い、
それから優先順位を決めて、売人に声を掛けるしかないが、時間がない。
タスク(1)情報収集 4日で終了する
終わらない場合、交渉を行いながら、売人の情報収集も並行して行う
タスク(2)売人の重要度を決めて、交渉順番と頻度を決める
大まかな筋道を作る
タスク(3)売人と繋ぎをつける
状況によっては、繋ぎを付けながら、順番と頻度は変更する
いつもの食堂で飯を食っていると、Dが声を掛けてきた。
「龍哥、売人に繋ぎをつけるって、どうすりゃいいんで?」
「まぁ、まだ、ブツがあるわけじゃないから、
売人と酒でも飲んで、今回は頼むと、声を掛けて、
どれぐらいさばけそうか、どれくらい信用できそうかを調べろ。」
「そんなぁ、売人が信用できるわきゃないスょ。」
「少なくとも、300gの粉の代金を払えるかどうかだな。」
「あいつらは、後払いが多いス。信用なんかできないス。」
「半分は、一割増で後払いでもいいから、交渉するしかないな。」
「そんなぁ、あにき、難しいことできないスょ。」
「しゃーないな、じゃぁ、売人をうちの賭場に引き入れて、
後は、南哥に出張ってもらうしかないな。」
「南哥スか?
いつも笑いながらぶん殴っているので、怖いスょ。」
「ありゃ、笑ってんじゃないぜ。
抗争の時の障害で笑っているように見えるだけだ。
俺から、伝えとくから、いつ来るかだけは俺に連絡しろよ。」
「ういっス。」
「飯でも食うか?」
「ごちになりますッ。」
二人で、飯を食いながらビールを飲んで、
知っている売人のヤサの場所を共有した。
( 第4回/第1672回 )
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