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タスク管理(7) あるいは「流氓の小さな夢」
第6回までの内容のまとめ
我々の組織は香港の油麻磡村のはずれの方にシマを持つ、
「老王盟」の下部組織で「十四虎」の下の「五娘会」です。
うちも売り上げをあげるために、
「天使の粉」を売ることにしました。
シマにいる売人は全部で20人ほど、
うち、5人は「斧頭会」の杯を受けているので、
こちらには流れないだろうから、
残り15人を今月中に、
うちの傘下に入れるか、繋ぎをつけるために、
タスク管理をすることとしました。
15人の売人のうち、白一大 に
話が付いて、値段も良く、6kgをさばいてもらえるようになり、
前祝いで、飲まされて事務所で寝てしまいました。
タスク管理(7)あるいは「流氓の小さな夢」
「龍哥、龍哥、起きてくださいよ!」
「うん?なんだ、何か問題でも起きたか?D?」
「もうすぐ、サムの兄貴が帰って来るのに、
一人も売人と話が付いてません。
これじゃ、南哥に半殺しにされますっ。
助けてくださいっ。龍哥。」
「確か、おめぇの担当しているので取り扱いが多いのは、
红鼻子と狂犬の明と卖家罗だったな。」
「あと、菜館の用心棒をやっている魏ですっ。」
「誰も話が付いていないのか?」
「はいっ。」と、泣きそうな顔をしているDが答える。
「今から会える奴はいるか?」
「魏はお店にいるはずですっ。」
「そうか、それじゃ、魏に会いに行ってみるか。」
「お願いしやすっ!」
魏が用心棒をしている菜館まで、歩いて小一時間、
その間に、ほかの売人の状況をDに聞く。
「红鼻子は、夕方になると、十二味で飲んでいることが多く、
狂犬の明はもっと遅くなると、屋台で飲んでいるのを見かけます。
卖家罗は、うちの賭場にも時々、顔を見せますが、
必ずいる場所はわかりません。」
「そうか、魏と話が付いたら、賭場を周り、夕方には十二味を見て、
その後、屋台を探そう。」
「はいっ!」相変わらず、返事だけは元気がいい、Dだ。
「そうだ、俺は魏を知らないから、チャーハンを頼むから、魏だったら、
玉子チャーハンに変更しろ。」
「わかりました、龍哥!」
魏が居る小魚兒川菜館に着いて、
まだ、早いせいか開いてはいるようだが誰もいない。
「唔該! 可不可以?」
と声を掛けると、奥の方から
「可以!」と返事が聞こえる。
適当に座ると、すぐに、が体のいい男が現れ、
「魚香炒茄子とチャーハンをくれるか?」
「あいよ。」
Dが玉子チャーハンにしてくれと言いながら、目配せをする。
「ところで、俺は『五娘会』の龍と言うのだが、
後で、裏の商売の話をしたいんだが、どうだ?」
奥と、周りを見回して、
「今でも大丈夫だ。」
「そうか。今回、うちでも粉を扱うので、幾らかさばいてもらえねーか?」
「値段は?」
「これくらい」と指数字で知らせると、
「量は?」
同様に指数字で知らせる。
「これくらいにまからないか?」と指数字を見せる。
「OK!」と答え、
「来週にはブツが届くので、こいつDがブツを届けるので、
現金で頼むよ。」
「没問題!」と言って奥に消える。
「D、これで800gはさばけるな。値段もまぁまぁだ。」
「ありがとうございますっ!」
チャーハンと魚香炒茄子が出てきたが、
二人で食べるには多すぎた。
「買単!」
50HK$でお釣りが来た。
残り 3人に話が付けば、Dのノルマはかたが付く。
( 第7回/第1672回 )
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