マラウイでは当たり前!?水没したスマホの対処法と電気の「味」
スマホが水没したら米につっこめ
「米の中にスマホうめておくといいよ」
友人と世界遺産でもあるマラウイ湖に旅行にいった。あまりにもきれいな水、そしてカラフルな魚たちに夢中になり、彼はスマホを湖に水没させた。せっかくの楽しい旅行も台無しとばかりに途方に暮れていた彼に、マラウイ人の青年がかけてきたセリフだ。
確かにそれは、米の吸湿性を利用した、スマホの復活方法だった。
マラウイは内陸国で身の回りに淡水しかないから、海水にスマホをしずめてしまう心配はない。だから、とりあえず乾燥するまでじっと待つ、というシンプルに使える知恵は、みんなの常識となっていた。
「まあ、ここらへんじゃあ常識だよ。それからすぐ電源入れちゃだめ。2~3日、じっくり待った方がいい。」
親切に、完全に乾燥を待ってから通電させないと、せっかくの辛抱も水の泡になることまで教えてくれた。
マラウイにも修理屋はあるにはあるが、すぐに部品の交換ができるわけではない。自分でできることは自分で、しかもその場にあるあり合わせで取りあえず対処するしかないのだ。人づてに多くの情報を収集しているのだろう、不具合が出た時の対処方法はやけにくわしい。
はやる気持ちを抑えることができなかった私
私もマラウイの最高峰であるムランジェ山を登山中、スコールに降られ、ズボンのポケットの中でずぶぬれになったせいで、スマホの表示がおかしくなってしまったことがあった。我慢できずに、スマホの電源をつけたり消したりを繰り返したら、うんともすんともいわなくなってしまった。
早く復活させたい、というはやる気持ちをいかに抑えられるかが、米につっこむのと同じくらい大事なのだと知った。
山から下山し、町に戻った時に、ダメもとで修理屋さんに持っていった。中の基盤部分を歯ブラシでゴシゴシしてくれたが、それでも復活しなかった。歯ブラシでゴシゴシの効果のほどはよくわからないが、多少含まれていたであろう汗に含まれた塩分を落としていたのかもしれない。
「電気の味」はマラウイではメジャー
電気関係でもう1つ。
マラウイ人の青年は「電気の味」を知っている。
バッテリーにコードをつないで、通電するかを確かめるのに舌をペロッと出して、その上にコードのむき出しの線をのせる。電気が流れれば、ピリピリして、酸っぱいような味がするらしい。
場合によっては大変危険なシチュエーションもあるだろうから、安易におすすめはできないが、ちょっとした不具合の原因を探るのにマラウイでは一般的な方法だそうだ。
体験的に学ぶことと体系的に学ぶことが理科教育には必要
「理科の授業で学んだことが日常生活に役に立つと思いますか?」
理科教育の分野で、子どもたちがよく問われるアンケートだ。
日常と関連させながら学習すると、定着度や意欲が上がるなんていうのも、日本の学校教育でよくやられる、やり尽くされた研究だ。かく言う自分も、それをテーマに授業研究をして、レポートまで書いたことがある。
頭だけではなく、体験的にものを学ぶと、確かにみなが「使える」知識となっていた。生活体験が豊富なマラウイが強くて、日本が弱い部分だ。
ただ、それを他でも汎用性のある学力に昇華させるのが、理科教育の役目だ。ここは、マラウイが弱くて、日本が強い。
日常の生活体験の量から考えたら、マラウイの子どもたちのポテンシャルは半端ないはず。そんなマラウイで、体系的な理科教育が確実に行われたなら、きっとものすごく力が伸びるのだろうと思っている。
だから、青年海外協力隊を始め、発展途上国で理科教育に携わっている人たちはとっても重要なことをしているのだ。心から応援したい。
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