社会をつくる力を育てる授業づくり70 復興のまちづくりプロジェクト
国や地方公共団体の政治についてのプロジェクトの2つ目は、自然災害からの復旧や復興についてのプロジェクトです。
東日本大震災以降は、この単元の指導を通して政治の働きについて学ぶことが多くなったように感じています。
災害が起きたときに、被害に遭われた方々を助けたり、壊れた建物や道路などを直したりするのに、自衛隊の方々が派遣されて活動しているのを見たことがあるのではないでしょうか。
下記の陸上自衛隊のウェブサイトには、その仕組みについて解説がされています。
https://www.mod.go.jp/gsdf/about/dro/
自衛隊というと、安全保障の分野で、有事が起きた際のために訓練をしている方々というイメージがある子どもたちもいるのではないでしょうか。
災害が起きたときのために、あらゆる状況を想定して訓練をしている、救助のエキスパートの方々です。
この自衛隊の派遣は、市町村長の要求があったときに、都道府県知事の要請により行われるものです。
このようなところにも、市町村と都道府県、そして国の政治との関係を見ることができます。
この単元の中心は、復興に向けたまちづくりが、住民の願いによってどのように実現していくのかを追究していくことになります。
災害による被害を受けてしまった地域が、その災害を乗り越えて新たなまちづくりをしていくのに、どのようなまちづくりをしていくのかは簡単な問題ではありません。
例えば、津波による被害を受けた地域で、新たに防潮堤を築く際に、どのようなものをつくるのか、という事例があります。
防潮堤なので、高ければ大きな津波にも耐えることができるかもしれませんが、その分景観を犠牲にしなくてはいけません。
このように、一つの出来事について様々な立場の意見がある時に、それをどのように解決していくのか、というのも政治の働きとして重要なものとなります。
この、災害からの復興のまちづくりをテーマにして、プロジェクト型の学習を計画してみます。
仮に、自分たちの住んでいる地域で災害が起こってしまった場合、想定される被害をもとに、地域にどのようなダメージがあるのかを考えます。
その被害を防ぐために、どのようなまちづくりをしていけばよいのかを考えるプロジェクトとします。
仮想のまちづくりプロジェクトになるので、子どもたちも意欲的に取り組めるのではないでしょうか。
ご参考になれば幸いです。