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読書と映画の感想文

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読んだ本の感想です。
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#読書感想文

知られざる焼き物の世界。紺青の鈴

紺青の鈴 高橋治 著   紺青の鈴という小説を読んだ。 これを読んだには理由がある。石川の銘…

ちいさな島
3週間前
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新規事業家必読の書。よろずや平四郎活人剣 藤沢周平著

神奈平四郎は武家の出だが妾腹の子で冷や飯食いである。家に居場所がないので浪人となって知人…

ちいさな島
1か月前
5

「武蔵野」 国木田独歩

武蔵野の地に住むものとして、国木田独歩の武蔵野を読まずにはいられない。 武蔵野は武蔵野丘…

ちいさな島
4か月前
9

ぼくは本を壁に投げつけた。"NEVER LET ME GO"

もともと映画を見たのが先である。Youtubeで予告編を観て不思議な雰囲気のSF作品という印象を…

ちいさな島
7か月前
7

勘違い甚だしいのが腹ただしい「それから」

「それから」はこれも二十年以上前に読んではみたものの暗くて途中で投げ出したままにしていた…

ちいさな島
7か月前
4

胸糞悪い小説「坊っちゃん」

立て続けに日本の古典ばかり読んでいる。この本も20年くらい前に読んだはずだが中身をまるで覚…

ちいさな島
7か月前
14

最後まで読みましたか?「雪国」

雪国を最初に読んだのは2000年始めのことだからもう20年も昔のことである。そして内容はまるで覚えていなかったから再読だけど初めてみたいなもんだ。   暖かい日に冬の本を読むのも悪くない。だけど別に涼しくなったりもしない。雪国が舞台だが春もあれば夏も秋もある。割合としては冬7割、その他3割といったところか。あとがきで本作はなんども継ぎ足し継ぎ足しで書いたのでまとまりに欠けるとあってなるほどそういうことかと納得する。 主人公の島村は親の遺産で食っていて、やはり小説の主人公とい

めったにない凄い小説「荒涼館」

チャールズ・ディケンズの小説はどれもデイヴィッド・コッパーフィールド的と言えるようなもの…

ちいさな島
7か月前
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欲望の果てに得るものなし「遺産相続ゲーム」

ミヒャエル・エンデの戯曲である。 劇の評価は散々だったらしい。エンデと言えば「ネバーエン…

ちいさな島
7か月前
3

あなたは本当の余暇を知っているか?「アダム・ビード」

上下二段組。本の厚みは三センチある。細かい文字がびっちりとページを埋め尽くす。ぼくはこう…

ちいさな島
7か月前
6

何度も読むよ。「夢の木坂分岐点」

著者の筒井康隆はぼくの好きな作家の筆頭である。中学生の頃作品に出会って図書館で貪るように…

ちいさな島
7か月前
16

どこまでも透明な「銀河鉄道の夜」

何度も読み返したい本というのがある。そして小説の場合は短編であることが多い。なぜ長編を何…

ちいさな島
7か月前
8

またぎの精神世界に触れる。山嶽巨人伝

「山嶽巨人伝」戸川幸夫 昭和34年(1959年) 前回Hunterというアフリカの狩猟家の本を読んだ…

ちいさな島
8か月前
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死ぬ前に読めて良かった!「スマイリーと仲間たち」

原題を”SMILEYS PEOPLE”という。仲間たちにしたのは少々物足りない感じがしないでもない。仲間だけではないだろうという気がするからだ。それにしても前作のスクールボーイ閣下といいジョン・ル・カレはタイトルに執着しないというかその線のセンスはなかったとみえる。もちろん中身で勝負だといえばこちらは一級品である。スパイ三部作の最後を飾るにふさわしい展開と結末が待っている。 いよいよ物語が佳境に入って終わりが見えてくると細かい情景描写が疎ましく感じてくる。こちらはもっと先へ