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美術の感想・批評

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2020年6月の記事一覧

くるりの「悪魔」試論

くるりの「悪魔」試論

1 はじめに 人を傷つけた後悔で、自分は悪魔だと感じることはないだろうか。ここでさらに考える。人は悪魔になるのか、それとも悪魔が人の中に入ってくるのか、と。過ちを避けるには、悪魔が入ってこないようにすればよいのか。それとも自分が悪魔であったならどうすればよいのか。

 そんなことをつらつら考えていたとき、くるりの「心のなかの悪魔」を聴いた。そういえば、くるりの歌には「悪魔」がよく出てくる印象がある

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明るさ (岸田劉生「初夏の麦畑と石垣」)

明るさ (岸田劉生「初夏の麦畑と石垣」)

画家の岸田劉生(1891年〜1929年)を知ったのは、中学校の美術の教科書に載っていた「麗子像」がきっかけだった。その後、この麗子像には多くのバージョンがあると知った。どの絵からも麗子への愛憎が感じられ、怖くなった僕は少し距離を取っていた。

最近、ウェブ版「美術手帖」の記事で、展示「日々を象(かたど)る」が紹介されており、そこで岸田劉生の「初夏の麦畑と石垣」という絵を知った。

「初夏の麦畑と石

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