読書:澤村御影『准教授・高槻彰良の推察11』(12/6読了)
現実と異界の狭間にいる己に心が揺れながらも、高槻のことは引こうとしない尚哉が印象に残る巻でした。
以前なら欠席を選んだだろうゼミ合宿に参加した尚哉。楽しい思い出を重ねる一方、怪異絡みらしい案件に出くわす。
普通の人間と違ってしまった部分に心が冷えて、人ではない存在と何がどの程度違うのかと考えて。人でいられるかどうかの瀬戸際に立つ尚哉の動揺にぐらりとする。
でも、人から遠ざかってしまった身で、異界に近づいたゆえの力で、過去に向き合おうとする高槻のためにと行動する彼に惹かれるんです。
高槻を『あちら側』に渡すまいと向ける眼差しの強さにも、口にした“約束”にも、尚哉の強い意志が宿っていたし……さんざん傷つき苦しんできた高槻に対する想いと願いがぐっと来た。
協力を得ながら真実に近づく高槻に、けれど残酷な報せがもたらされて。続きも気になるし、EX3の発売も楽しみです。