読書記録〜あの光〜
先日、香月夕花さんの「あの光」を読了しました。まずはこの小説の内容紹介を引用させて頂きます。
誰しも弱っている時に何かにすがり、頼りたくなります。また迷い悩んでいる時に導いてもらえるものがあればそこに惹かれていくのではないでしょうか。必ずしもそのこと全てを否定するつもりはありません。
例えば私は子どもの頃に入院生活が長かったのですが、今よりもセキュリティが低かった小児科病棟には怪しげな勧誘を目的とした人が出入りすることもありました。病気で苦しんでいる子どもの親にとっては「子どもが治るなら何でもしたい」と思う気持ちは痛いほどわかります。
たった一度の偶然でも自分が望んだ結果になれば「きっとこのおかげだ」と思うし、SNSで他の人も同じように書いていれば「自分だけじゃない」と信憑性が高まり、情報はどんどん拡散されていきます。
そこで自分が納得して周りに迷惑をかけなければ問題はないけれど、大体そこには強引な勧誘や金銭問題が絡んできます。また集団組織になってくるとそこから抜け出しにくい心理状況があり、自分の中に違和感が生まれてもそのまま依存してしまいます。正しいかどうかさえどうでもよく思えて、小さな偶然や嘘を見て見ぬふりをする怖さがあります。依存から抜け出せない理由の一つには「時間もお金も投資してきたからそれを否定することは今までの自分を否定することになる」という葛藤も影響していると思います。
何かを信じることで自分が明るく前向きに生きられるのであれば、それもその人の生き方の一つです。でもたった一つのことや一人のことだけを信じて周りが見えなくなったり依存しすぎることは怖いことだと思います。
信じて依存していたものが何らかの理由で崩れ去った時の反動があまりに大きすぎるからです。
今はネットで一つ調べればそれに関する情報が関連づいて出てきます。
初めは自分の興味のあるものや知りたいことがどんどん出てくることに嬉しさもありましたが、そのうちに偏った情報だけを見て知ることに不安を感じてきました。自分が好きなことや自分の意見と同じものだけに囲まれて居心地が良いだけでは新しい発見は何も生まれません。
これからはもう少し広い視野で情報を得て学んでいきたいなと思います。
最後に。この本を通して、嘘をつくことは悪であるけれど「どうして嘘をつくのか」「どうして嘘であっても希望を信じてついていく人がいるのか」ということも考えさせられました。