【勝手に読書感想部】世にも奇妙な君物語:朝井リョウ①
ちょっとブラックで後味の悪い。
ありえない話なんだけど、すごくリアリティがある。
私の大好きな、「世にも奇妙な物語」風のショートストーリーを集めた、朝井リョウ先生の短編集です。
面白かったので、1話ずつ感想を書いていこうと思います。
第1話 シェアハウさない
[あらすじ]
主人公の浩子は、居酒屋で酔い潰れ、介抱されたことがきっかけで、ちょっと不思議なシェアハウスの住人の4人組に出会う。
年齢も職業も性別も趣味趣向もバラバラで経済的にも安定していそうなのに、なぜシェアハウスをしているのか?
フリーライターである浩子は、このシェアハウスに興味を持ち、企画記事を書くために潜入取材を決意する。
そんな彼女は若い頃に性犯罪の被害にあった過去があり、トラウマを抱えながらも将来的には同じ苦しみを抱える人たちを救うような本を出版することを目指していた。
[ネタバレと感想]
*以下ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。
序盤から、なんとなく違和感のある住人たち。
みんな浩子に対して歓迎ムードで接しやすいし、優しくおもてなししてくれるんだけど、確信を付くような質問をするとはぐらかされたり、細かい部分で嘘をついたり。。。
そのちょっとした違和感が終盤にかけて、たたみかけるようにこっちに襲いかかってくる感じがたまらなく気持ち悪かった。
このシェアハウスに住む住人は皆、異常性愛者。
彼らは何かをシェアするのではなく、一緒に住むことでお互いの性的衝動を抑制しあっていたのだ。
文字通り「シェアハウさない」という、キレイなタイトルの回収。
違和感があって気持ち悪いと思っていた部分が、徐々に明瞭になっていくことの心地よさと、この事実が明るみになることによってさらなる気持ち悪さを獲得してしまう感じが、たまらなかった。
「世にも」ファンの私にとっては、特に。笑
かっこよくて料理上手なジェントルマンだと思っていた良治からのラストのセリフ。
「首、細くてかわいいね。」
これはかつて性被害にあった時に犯人に言われた言葉。
この最後の一行にゾワゾワと鳥肌がたった。
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